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ふあんにもがいて

夜のお月さまはふしぎだ。

真っ黒な空にただひとつだけ、白く輝いている。

ずっとうさぎがもちつきしていて、だいたい雲の
なかからこっちに顔をだす。

よくかたちを変えながら、たまに見えなくなって、
いつでも僕たちを遠くから照らしている。


お月さまの光はほんとうによくわかる。

その光は、真っ暗な空だからわかるのかな。

それとも、その輝きが強すぎるからわかるのかな。

黒のなかに白がぽつんとあるからわかるのかな。

白が黒のなかで目立つからわかるのかな。

どうなんだろうな。

よくわからない。



いいことがあると、だいたいよくないこと、いや
自分がふあんになることもセットでついてくる。

特にさいきんは、ふあんがとても大きく感じる。

校内模試の倫理政経で上位になったと思えば、
共通テスト模試の結果はとにかくひどくやばい。

自分の進路が、行きたいとこが分かってくれば、
周りのひとはもう受験を終えて内定が決まってる。

前よりも数学が理解できるようになってきたら、
国語と英語の力のなさがよりはっきりとする。

みんなの未来が確実に、かたちになっているのに、
僕の未来はまだまだぜんぜん固まらない。

こんなふあんが、僕のこころを押しつぶす。

先の見えない未来と、ただひたすらに生きる今を、
もっともっとぐちゃぐちゃにする。


べつに、そんなことばかりに目を向けてるわけじゃない。

自分のいいこと、よかったこと、
できるようになったことは素直に目を向けて、
「僕、昨日よりも成長できてるよね」って、
ちゃんと今のままの自分を認めてあげられてる。

ただ、それよりもっと大きなふあんが、
押し寄せる津波みたいなものすごい勢いで、
僕の自分を信じる気持ちをめちゃくちゃにしてしまいそうな気がする。



たぶん、みんなそうだ。

僕だけじゃなくて、受験生のみんなそうなんだ。

みんなそう。


でも。

想像してしまう。

共通テストがうまくいかなかったらどうしよう。

志望校に受からなかったらどうしよう。

浪人するのか、現役にこだわるのか、どうしよう。

まして試験を受ける直前にインフルとかコロナに
かかったらどうしよう。

どうしようもないのに。

誰かのとこにも、どこにもない、たぶん自分しか
もっていない答えがわからないまま、
決めかねているまま、ふあんでいっぱいになる。



僕は生きることへのふあんじゃなくて、
生きるうえでのふあんに潰されそうになっている。

でもそのなかで、ひたすらになんとかもがいて、
今できることと、目の前のことに集中して、
せめて明日目を覚ましたときには、
「昨日よりも成長できた」って感じられるように、
毎日を一生懸命に生きている。
(つもりかもしれない。)


ふあんは尽きないし、考えれば考えるだけあふれてくる。

未確定な明日にとらわれてしまうことは、
僕のなかではどうしようもないことなんだ。

でもそれを押し上げるためには、
今の僕が頑張らないと。

それを否定して、自分自身を肯定するには、
今の僕が精一杯に努力しないと。

これまで頑張ってきた自分と、
これから頑張っていく自分を応援できるのは、
他でもない、この僕だから。

がんばろう。

ときどき僕をいたわりながらね。

甘いもの、食べながらね。

ふあんのなかで、もがいて、あがいて、
受験が終わったそのときに、後悔しないように。

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