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怖い話②

前に怖い話を書いた。
変な体験をした話。

この話を書いた後、そういえば私の周りに起こったことを二つ思い出した。書いてみる。

一つ目
私の1番古い記憶。
私は誰かに抱かれている。なぜか父方の祖父だと分かる。
狭い廊下の白い壁が目の前にあって、少し揺らされると段ボールから出る赤い布。

これが1番古い記憶。
一体何の風景なのか長らく分からなかった。
この白い壁は、実家のものではないし。

そして、中学生くらいになって、たまたまアルバムをめくっていた時に分かった。
私が一歳になるまで暮らしたアパートの壁だった。

そして雛人形の前で私が座らされている写真を見つけた。そして祖父と祖母も一緒だった。
この布か。

雛人形を飾っているということは、ひな祭りの前。2月か3月だろう。
私は8月生まれなので、生後4ヶ月。
そんな小さな赤ちゃんの時の記憶が残っているのだろうか。
自分を疑っているけれど、間違いなくその白い壁が1番古い記憶なのだ。

この雛人形。祖母が宝くじで10万円を当て、そのお金で、初孫である私に買ったものだと聞いた。
確かに9段だったか、10段だったか、もう忘れてしまったけれど、とても大きくて実家の小さな和室が2月になると、人形で埋まってしまっていた。


私は4歳の時に難病と呼ばれる病気にかかった。
4歳の2月28日。私は入院した。

4歳の2月27日の夜。身体中に赤い斑点ができた。
アトピー持ちだったこともあったが、両親は気味悪がり、明日病院に行こうね。と言われた記憶がある。

そして次の日の朝。
母の声で目覚める。体が動かない。首さえも。1ミリも動かない。
精一杯声を出して、母を呼ぶ。

そのまま病院に担ぎ込まれたが、たらい回しになったのを覚えている。
いつの間にか、遠方にいるはずの祖父と祖母がいて、泣いていた。
私は母に抱かれ、そのまま入院となった。

入院生活のことも鮮明に覚えている。
幼少時の体験としては、衝撃的だったのだろう。

体に麻痺が残るかもと言われていたらしいが、特に後遺症もなく、そこから私は半年ほどで元気に幼稚園へと復帰した。


次の年の2月半ば。
家族で雛人形を出していた。何段目の誰だったかは知らない。
女の人形だった。
母がその人形を出して、ヒャっと叫んだ。

その人形の白い顔に赤い斑点が、びっしりとできていた。
それはまるで一年前の私のようだった。

その人形をどうしたかは知らない。

実は私が入院する年は、「今年は面倒だから出さないでおこう。」と両親は決めていたらしい。
その後。私の入院などもあって、ひなまつりのことなんかすっかり忘れていたらしい。


そして、8歳か9歳のある日。
いつも母のパートの帰りを妹と待っていたが、その日は帰ってこない。
いつまで経っても帰ってこなくて、天気も悪くて、少し怖かった。
そうしたら近所に住んでいた、私の同級生のお母さんが、血相を変えてうちに来た。

「お母さんが事故に遭ったの。お父さんが帰ってくるまで、一緒にうちに居ましょう。」

母は幸い、足を折っただけで大事には至らなかった。
そして、その年、雛人形を開けたら、また赤い斑点が出ていた。

その前の年も、雛人形を飾らなかったのだ。

両親はそこから「呪いの人形だ。」と言うようになり、そこから毎年、その大きな雛人形は我が家の和室を占領することになった。


そうして年が過ぎ、私たち姉妹は家を出て、それと共に雛人形も処分されたようだ。
今思えば、カビだったんじゃないかなあとか思うけれど、赤い斑点が出るのは一人だけだった。
捨ててしまったけれど、大丈夫なんだろうか。

そして、1番古い記憶の癖に、私が愛着を持てなかったからかな。大きくて邪魔な雛人形としか思っていなかったから。
それに顔怖いし。薄情な初孫でごめん。

こんな不思議な体験を思い出した。


二つ目。
私が12歳の時。叔父が死んだ。自殺だった。
母の兄だ。あんまり関わりもなかったけれど、
憔悴しきった祖母の顔は覚えている。
泣いてる母も。
頭蓋骨が半分なくなってしまったから、変な柄の似合ってないニット帽を被せられた、綺麗すぎる叔父の顔も覚えている。

この話は、その後、私が大人たちの話を聞き耳した話だ。

49日の夜。
母と父は、寝室で寝ていたが、オルゴールが鳴っていることに気づき、目が冷めたのだという。
不思議に思ったが、一向にオルゴールは鳴り止まない。

母が父に見てきて。と言った。
父が寝室のドアを開けると、廊下の先に叔父が立っていたらしい。
そしてオルゴールを回していた。

一声かけるといなくなった。

と。
こっそり大人たちが話していた。
子供には聞かれないように。静かに。

私は、なんでそんな嘘言うんだろう。
幽霊っていないんじゃないの?
わたしたちに隠して言うってことは本当は幽霊いるのかな?
なんて思っていた。

次に祖母の家に行ったとき仏壇に、うちにあったはずのオルゴールが飾られているのに気づいた。

ショパンの「別れの曲」だった。

このオルゴールを鳴らしていたんだ。お兄ちゃんは。
お別れを言いに来たんだね、突然だったからね。

叔父の遺品で、私は将棋盤とウォークマンとコンポをもらった。小学生が持つには随分本格派だ。

お兄ちゃんのおかげで、私は音楽好きになったのかな。
将棋も好きだよ。うまくはないけれど。
あと、お兄ちゃんは頭が良かったから、同じ大学に入りなさいって言われて、その通りに結局なったけど、
普通の中堅校じゃん、騙されたよ。


なんかこう書くと、母に霊が憑いてる気もするけど
幽霊っているのかもね。

悪いのも良いのも、魂だけの世界があって、時には何かを伝えに来てるって思っても良いよね。
わたしにも教えてよ。
秘密の話をしようよ。幽霊さん。



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