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セレッソの2023シーズンを振り返る

セレサポの皆さん、お疲れ様です。

34節のアルビレックス新潟戦を終えて、セレッソ大阪の今シーズンが終了したので、今季のまとめというか、改めてどんなシーズンだったかを振り返りたいと思います。

長くなりますがお付き合いいただけると嬉しいです。

あくまで個人的な意見です。
批判的なところもあります。
ご容赦ください。


理想と現実の狭間で生じた迷い

今季のセレッソは、ハッキリ言ってしまうがあまり戦い方を固めることは出来なかった。あっち行ったりこっち行ったりという形になってしまった。理想とする433やボール保持からの攻撃を構築できず、442へと移行した時期もあった。

442か433かというシステムのところもそうだが、ビルドアップをするのかしないのか、どうやってボール保持の仕組みを作るのか、誰がスタメンなのか・・・小菊監督はその辺を柔軟に変えるタイプの監督とはいえ、今季に関してはあまりにも右往左往してしまった。

まずは怪我人の多さが大きな理由の一つだろう。

リーグ戦・カップ戦含めた公式戦全43試合で、果たして何試合が本当に組みたいメンツで挑むことが出来たか。半分もないかもしれない。いや、清武がシーズン前に離脱してしまったことを考えたら、もしかしたら「本当に組みたい11人」は1試合も組むことが出来なかったのかもしれない。

かといって、強度が命のセレッソにとって、練習強度を下げるという決断も下せなかったのだと推察する。
たしかに、怪我人を減らすために練習の強度を落としてしまって、それで怪我人は減っても試合の強度まで落ちてしまえばそれこそ本末転倒。

なので個人的には、このサッカーをする上で怪我人が増えるというのは仕方のない副作用みたいなものではないかと思っている。
もちろん、どうにかして怪我人を減らす方策を取ってほしいが…そんな簡単な話ではないんだろう。

そして、怪我人の多さとは関係のないところでも迷いはあったと思う。

序盤にチャレンジしていた433は、5月頃には見切りをつけていた。

ここには、多少なりとも小菊監督へのプレッシャーも関係があったのではないだろうか。

開幕から指揮を取り始めるのは今季で2回目。
昨季惜しいところまでいったメンバーはほとんどが残留し、国内からは実力のある外国人選手を補強することにも成功した。そしてセレッソの前評判は非常に高かった。

つまり、ある程度の結果を求められる立場で、それは小菊監督が就任して以降、初めてのことだった。
スクランブル登板だった2021年。
そして実質的な新人監督として、前年下位に沈んだところからのチャレンジャーとして挑んだ2022年。
しかし2023年は、一定の成果を残した2022年を受けて、敵から追われ研究され、そして味方からは結果を求められるシーズンだった。

決してセレッソは結果に対してうるさいチームではないとはいえ、このプレッシャーの違いはあったと思う。

そんな中で開幕を迎えたものの、待っていたのは3戦未勝利という結果。たしかにたった3試合…と思うが、内容的にはかなり厳しい3試合だったことも事実だ。

433でボールを持ちたい意図は見えたが、その仕組みづくりはまだまだ進んでいないんだなと感じさせられた。
それに、ボールを失った瞬間のリスク管理が甘く、ブロックの強度が微妙に落ちている気がした。
要はセレッソ最大の強みである"強度"が失われていたように感じた。

そこへ、前述の(多少なりともあったであろう)結果を残さなければならないというプレッシャーが働いた。

だから第4節のサガン鳥栖戦で、早くもクルークスとレオセアラを一旦はスタメンから外し、昨季のメンバーに寄せた構成で挑むことになったんだろう。

これは、この時点で結果を残すという意味では最善の一手だったと言える。現にこの試合で、今季のリーグ戦初勝利を飾ることができたし、その一つの勝利がキッカケで、それまでの3試合で感じていた重苦しい雰囲気も一気に吹っ飛んだ。

だが一方で、この決断が今季の迷いの始まりだったとも思う。

その後も勝ったり負けたりが続く。昨季終盤戦は苦労したが、でもたしかにベースは昨季にある。

だからベースは昨季のメンバー、そこに真司を加えた433を…という試行錯誤があったが、相変わらずビルドアップにも苦労していた中で、次の決断が下されることになる。それが13節のサンガ戦。この試合以降は最終ラインからのビルドアップを試みる回数を大きく減らした。

その後すぐにレオ・カピシャーバ・クルークスら強力な外国人アタッカーにとにかく勝負させる回数を増やすサッカーへと転じていき、後方のボール回しは香川真司の力を借りて解決するという方向へと舵を切る。

この辺はいわゆる「現実路線」といったところなんだろう。
出来ないことはしない、それより現実的に勝ち点を積み重ねられるサッカーをしよう、ということ。つまり、今季トライしていた433は、この辺の時期で完全に見切りをつけた形だ。

となると、特に攻撃面に関しては個人の力に頼る方向へとなっていく。組織としての仕組みづくりに苦労している以上、そうならざるを得ない。今この場で一人で何とかしてくれる人に頼ることになる。

そのサッカーで勝ち点を伸ばすことは出来た。8月終了時点では、優勝争いに加わるまであと一歩のところまで行った。
しかしそこで限界が来てしまい、9月の3連敗で実質的には終戦。

以降は、再び433によるボール保持を磨くことを志向していく。外国人アタッカーに頼る戦法が完全に通用しなくなっていたので、柴山を入れたり真司をアンカーに置いたりと、もう一度433でボール保持の仕組みを作っていこうとしたんだろう。

だが、シーズンを通して右往左往していた分、失ったものもかなりあるなと思わされる終盤戦だった。

非常に悪い言い方にはなるが、今季のセレッソはさまざまな課題を個人の力に頼って一時的に隠すサッカーをしてきてしまっていた。強烈な個が存在する分、困ったら彼らの力に頼り切ることになる。それで実際に何とかなってしまう試合もたくさんあった。

難しいのが、一つ一つの決断を見ていけば、その時点での結果を求めるという視点から考えたとき、その決断は適切だと言えるものが多かったと思うところ。
つまり、今季のセレッソに関して「あのとき、ああしていれば」と言ってしまうのは、ただの結果論に過ぎないと個人的には感じている。

今季のセレッソを語る際に、その辺の事情がすごく難しい。
その時点で「そんなことしちゃダメだ!」と思うようなことは、ゼロではないにせよ、ほとんどなかったと考えているからだ。

だが、最後には自分たちがどんなサッカーがしたいのか、どんな状況を作りたいのか、曖昧になってしまった。いろいろやった結果、強みも薄まってしまったような気がした。

ボールは運べない、カウンターも威力がない、プレスはハマらないしブロックを作ってもさほど強度は出せない。終盤の数試合、いくら新しいことにチャレンジしている最中とはいえ、あまりにも苦しい試合が続いた。

そして、残念ながら2年連続で、閉塞感を持ちつつシーズンが終わることになった。

監督批判と受け取られるかもしれないが、小菊監督は別に自らの理想を曲げる必要はないと思っている。

何度頓挫しても433のボール保持に再挑戦するということは、それが小菊監督の理想なんだろう。もしくは、今のセレッソがもう一つ上を目指すなら、後方から再現性高くボールを運べるようにならなければならないと考えているんだろう。

じゃあ、とことん突き詰めてほしい。

強度の高いプレスとブロック、その使い分けと、433によるボール保持を両立させる方法をとことん突き詰めてほしい。

ここからは完全に僕個人の思想の話になってしまうが、小菊監督に限らず、監督は自分の理想を曲げる必要はないと思っている。
なぜなら、その人はそのサッカーこそが最も勝てるサッカーだと信じて、その理想を持っているんだろうし、その理想を体現するために監督をしているんだろう。そしてその人の理想のサッカーが必要とされて、そのクラブに監督として雇われているはずだ。

なら、そんな理想を曲げちゃダメだ。

日本人監督ではよく理想を捨てて違うサッカーをする人を見かけるし、見ているファンやサポーターもよく「理想的なサッカーを捨てて、勝ち点を稼ぐべく現実的なサッカーを」とかいう表現をするが、個人的にはこの表現は大嫌いだ。

そもそもの話、勝ち点を稼げる現実的なサッカーなんて世の中には存在しないと思う。

多くの人は、「守備をたくさんの人数で固めて、強力な個の力によるカウンターを浴びせるサッカー」を現実的なサッカーとか何とか言いがちだが、そんな簡単な話などあるはずがない。
あるのなら全世界でそういうサッカーが主流になっているだろう。
でも実際は、世の中にはたくさんの戦術があって、たくさんのタイプの監督がいる。要はサッカーに答えなんてないということだ。

だから小菊監督には、自分の理想を追い求めてほしい。もちろん、チーム事情によって多少のアレンジは必要だが、「442で早めに前線へ放り込んで外国人アタッカーにとにかく回数を勝負させるサッカー」と「433で最終ラインからボールを保持するサッカー」はいくらなんでもかけ離れすぎている。それが同一シーズンで行われたことは、決して良くないと思う。

それが、その時々の最適解であったとしても、良くないと思う。

あまりにも右往左往すると、チームは「自分たちがどんなチームだったか」を忘れてしまう。

だからシーズン終盤、もちろん相手の研究・対策が進んだことや怪我人の多発という事態はあったにせよ、自慢の外国人アタッカーは鳴りを潜めてしまったし、プレスとブロックの強度もイマイチなものになってしまった。

最も極端な例を挙げるなら2014年のセレッソだろう。開幕してしばらくはポポヴィッチ監督の下でポゼッションサッカーを志し、夏はペッツァイオリ監督の下でゲーゲンプレッシングに手を出し、最後は大熊裕司監督の下でとにかく走るサッカーに転換し、最後はもう何が何だか訳がわからないくらいグチャグチャになってシーズンを終えてしまった。

もちろん、小菊監督があの年のセレッソのようにズタボロになるとは思っていないが、ただ色んなものに手を出しすぎると原点が分からなくなってしまうのは間違いないと思う。

小菊セレッソの原点は何度も繰り返すが守備の強度だと思う。そこを失ってしまうのが、最も避けたいところ。

ラスト数試合では、そこが微妙に失われていた。決して失点が多かったわけではないが、攻め込まれる回数は増え、ボールを奪う位置は低くなっていた。

だから攻撃面で苦労したのだと考えている。

確かにラスト8試合で1得点という得点力不足は深刻だが、僕はこれを攻撃面だけの課題だとは思っていない。
むしろ守備、非保持のところ。プレスの強度が落ちて前で奪えない、ブロックの強度が落ちて攻め込まれる。最後のところで耐えるが、奪う位置は低くなる。一方でビルドアップの面にも不安があるので、低い位置で奪っても前までボールを運べない。だから得点が減るし、そもそもチャンス自体減る。

小菊監督はおそらく似たようなことを悩んでいると思う。
たぶんだけど、これが分かっているからシーズン途中では最終ラインからのビルドアップを止めた。でもそれはそれで限界が来たから、また433によるビルドアップに手をつけた。するとかえって得点が奪えなくなった。

本当にやりたいこと、やるべきだと感じていることと、今その時点で結果を出すための最善策。その狭間で、揺れ続けたように思う。

迷いに始まり、迷いに終わったシーズン。

来季はもう一度、小菊セレッソはどういうチームなのかに立ち返ってほしいし、必要だと思うのなら433もボール保持も諦めないでほしい。

その両立が無理だと判断したのなら、まずはプレスとブロックの強度を維持する方を優先してほしい。

個人的にはそう思っている。

最後に、来季、小菊監督に期待したいのは、「個に頼る」ではなくて「個を活かす」という方向へ行くこと。真司に回りを活かしてもらうことも大事だが、それよりも真司を活かすために周りがどうするか。カピシャーバという強烈な個を活かすために、どうするか。クルークスだって同じだ。

個に頼ることと個を活かすことは紙一重だし、個を活かすサッカーをしても「頼っているだけじゃないか」と言われることもあるだろうし(もしかしたら自分が今まさにそれをしているかもしれない)、非常に難しいところであることは理解しているつもりだ。

困ったときに「個」で何とかしてもらうのではなく、「個」を活かすために組織としてどうするのか。
この部分の改善を期待したい。

監督と統括部長 それぞれの理想

二人と直接話したことはないので完全に予想というか。
いや、妄想と言われるかもしれない。

小菊監督のこれまでの発言を読む限り、チームに最も求めるのはハードワーク。特に非保持時(+失った瞬間)でのハードワークだろう。
もう少し具体的に言うと球際の強度、切り替えの素早さ、サボらずに帰陣すること、プレスに出るときは中途半端にならずちゃんとアタックすること。

これが出来ないと、まず試合には使われない。
逆に言うと、どんな11人が選ばれようがここは今のセレッソで絶対に変わらないものともいえる。

これを土台としたうえで、ボール保持時の仕組み作りやアタッキングサードでの崩し方を積み重ねたり、システムを決めていく。これらはいわば後付けに近いので、チーム状況によって大きく変わる。

どちらかというとフィジカル色の強いサッカーを志向していると思う。
大事なのは走力や素早い切り替え、当たりの強さ。素早い切り替えとプレスで、クリーンに相手の攻撃を封じていくスタイルだ。

では、梶野統括部長はどうか。

彼は昔からそうだが、とにかく足元のテクニックに優れた選手を好む。
特に、10年以上前に香川真司や乾貴士らを育て上げた実績があるからなのか、小柄なドリブラーを好む傾向が強い。

今なら例えば柴山だろうか。柴山のような選手はまさに梶野統括部長らしい補強と言えそうだ。

そして、これは前にも後ろにも言えることだが、あまり長身の選手は好まない傾向にある。なので今も昔も、梶野統括部長が作るチームは高さ不足になりがちだ。

要は2009年~2011年のような、小柄ながらスピードとテクニックに長けるアタッカーたちが自由な発想で攻撃を仕掛けていくことで、デザインされた攻撃では生み出せないような”アドリブによる爆発力”を期待したいのだと思う。

その理想を今もなお追いかけているようには見える。

念のために言っておくが、決して長身の選手にクロスを上げ続けろとか、ゴリゴリの外国人ストライカーに頼るサッカーをしろとか、そういったことが言いたいわけではない。

とにかく、梶野氏にとって最も大事なのは「足元の技術」と「アドリブによる爆発力」。
言ってしまえば、ハードワークやブロックの強度というのは(決して軽視しているわけではないが)優先順位としては二番目以下。もちろん高さの優先順位も低い。

足元の技術がある俊敏な選手がたくさん集まって、ずっとボールを握り続け、ポジションチェンジを繰り返し相手をかく乱しながら攻め続けることこそが、勝利への近道だと考えているのだろうし、そういうサッカーこそが魅力的なサッカーだと定義しているんだろう。

だからこそ、風間氏と通じる部分があって、彼を技術委員長に招聘したのではないか。

風間氏も、ボールは取られないものだ、ずっとボールを握っていれば失点はしない、という考え方の持ち主だ。そのために、いかなる状況でもボールを受けて、止めて、蹴る技術を磨く。正直、彼が作るチームにとって守備なんてものは二の次だ。なぜならボールを失わないでいれば守備のことなんて考えなくて済むからだ。なので守備を磨くのではなく、ボール保持をひたすら磨く。それは今のユースを見ていれば明らかだ。

僕には、統括部長と監督が違う方向を向いているように思う。

そう思う理由は他にもある。

例えば昨季のセレッソの課題として「試合終盤の失点癖」があった。後半アディショナルタイムに喫した失点の数は、数えきれないくらい多かった。

今季が始まる前のチーム始動時の会見で、梶野統括部長はこの試合終盤の失点が多いことをクラブとして課題だと認識しており、解決策として「後ろに引かず攻撃的に、最後まで敵陣でプレーする」としていた。

そもそも、その話を聞いた時点で違和感はあった。

なぜなら昨季の「試合終盤の失点」の多くは、何も後ろに引いた結果耐えきれずに喫したものではなかったからだ。

どちらかというと、前掛かりになったところを裏返されての失点、体力が残ってなくて戻りきれずに喫した失点の方が多かった。

じゃあ今季、小菊監督はどうしたのか。

監督が導き出した解決策は、5バックによる逃げ切り体制の構築だった。
現に、試合終盤の5バックを導入してから試合終盤の失点は劇的に減った。
割り切って、後ろの枚数を増やすことで耐え切る。そしてそれが大成功だったと思う。

しかし、少し嫌なことを言ってしまうが、梶野統括部長の言っていたこととは真逆のことをやってしまっている。

ここが、チームとしてどうなのか?と思うところだ。

どちらが正しいか?ということが言いたいのではない。

それに、結果として試合終盤の失点を減らすということ自体は成功しているのだから細かいことを言うなと思われるかもしれない。

でも、こういったフロントと現場の微妙な不一致が、(結果は上手くいったとしても)少しずつ積み重なっており、これがどこかでチームの足を引っ張るような気がしてならない。

フロントはここ数年ずっと「ワクワクする攻撃的なサッカー」を掲げているが、小菊監督のサッカーは決してワクワクするような攻撃ではないだろう。口癖のように「いい守備からいい攻撃へ」と言っているし、どちらかというと手堅く試合を進めるサッカーを志向しているように見える。

そこも、梶野統括部長はどう考えているのか。

僕が何度か書いてきた、「監督がやりたいのは433、でも編成は442仕様」というところだって同じだ。

もしかしたら、ここの不一致こそがタイトル獲得へ後少し足りない部分なのではないかとすら思う。

そして、この編成と監督の不一致が、今季チーム作りに迷いが生じた原因だと個人的には考える。

この辺の齟齬を、結局は現場で解消せざるを得ない。結果、監督は自分のやりたいサッカーを諦める部分も出てきてしまう。最適解を探さなきゃいけないし、それにはそれ相応の時間を要してしまう。そうしているうちに、タイトルレースからは遅れをとってしまう。

たしかに小菊監督は、今いる選手によって大きく戦い方を変えるタイプの監督だ。

しかし、根底には「こういうサッカーがしたい」というものがあるはずだ。

でなければ、これほど繰り返し433によるボール保持を追求しないし、しつこいくらいにハードワークと規律の徹底も求めないだろう。
本当は、保持時は433によるビルドアップがしたいし、非保持時には積極的なプレスと強固なブロックを臨機応変に・適切に使い分けるチームを作りたいのだと思う。

じゃあ、いっそ小菊監督のやりたいサッカーに合わせた選手編成をすべきではないか。監督の希望を聞いて、監督のやりたいサッカーができる人材を集める。

もちろん金満クラブではないので、欲しいもの全部買うというのは不可能。あくまでも、可能な範囲で…の話だ。

梶野氏の好みがあるのは分かる。それ自体は否定しない。人にはそれぞれ好きなサッカーのスタイルがあるだろう。

しかし忘れてはいけないのは、小菊さんを監督に据えたのは梶野統括部長だ。小菊監督で長期政権を、とまで言っている。

ならば、小菊監督が本当にやりたいサッカーをフロントと共有して、惜しみないサポートをして、そして小菊監督に対しても結果を求めるべきではないか。

少なくとも今季の最初のような、監督は433をやりたがっているのに編成はどう考えても442ベース、なんてことはあってはならない。

昨季も今季も、(怪我人等のやむを得ない理由があるとはいえ)シーズン中にチームの性格が大きく変わった。
そして、戦い方が変わり勢いが出たものの10試合と持たずに失速してしまったのも2年連続だ。

来年もまた、最初は理想を追い求めるところから始めるのか。

そしてその理想はいつ完成するのか。もう2年連続で、理想が完成することはなかった。

じゃあもし、また上手くいかなかったら別の路線へ転換するのか。
そしてまたその路線が頭打ちになったら、他の新しい何かを作り始めるところからやり直すのか。

このやり方は正直、厳しいと思う。

さすがに3年続けて同じことを繰り返してはいけない。

そうならないために、監督がやりたいサッカーを完成させるために必要な選手を揃える。
必要であれば、コーチも用意する。特にビルドアップの構築に長けたコーチはすぐにでも招聘すべきだろう。最終ラインから繋ぐことを志向しているのに、左CBが1名しかいないというのも大問題。

とにかく、万全のサポートをすべきだ。
監督はどんなサッカーがしたいか。どんな選手を好むか。どういうタイプの選手が必要か。そこまで考えてあげてほしい。

それでもし結果が残せないなら・・・そのときは監督交代もやむなしだろう。

というか、それこそが本来あるべき姿であるはずだ。

セレッソでいう梶野統括部長、他のチームによってはGMや強化部長と呼ばれる役職の人たちは、選手や監督に評価を降すのが仕事なはず。

統括部長は自分の好みで選手を集め、監督は本当にやりたいことを押し殺して最適解を探しの旅をして、結局チーム作りに時間を要してしまい、掲げた目標を全く達成できず。でも選手と監督は頑張ったからヨシ。感動したからヨシ。来季はまた団結してガンバロー。

・・・それでは、今より上は目指せないかもしれない。

正直言って、梶野氏や風間氏一派と比べたら、小菊監督の方が現代的な感性は持ち合わせていると思っている。

最終ラインからのビルドアップや、プレスとブロックの使い分け、切り替え時の強度など、小菊監督がチームに求めるものは、それこそヨーロッパの最先端でも求められるようなものだし、Jリーグでも主流になりつつあるものだ。

一方で梶野氏や風間氏の標榜する、小柄なアタッカー陣による自由な発想と足元の技術で蹂躙するようなサッカーは、あまり現代的とは言えない。かなり無理があるものだと思う。

だからこそ、ここは一旦、小菊監督をサポートする体制を徹底的に作ってほしい。

どうせ現フロントの事なので、次の監督候補なんて手札に持っていないだろう。
あるとしたら、風間氏の哲学を受け継いだ指導者か。
ユースの悲惨さを見てると、僕は風間イズムをトップチームで見たいとは思わない。

だから小菊セレッソで、結果を残してほしい。

小菊セレッソが結果を残せるように、万全のサポートをしてほしい。

最後に

かなりフロントに対して辛口な文章になってしまったが、それでも昔に比べたら今のセレッソは随分と一枚岩になっているとは思う。

ここでフロントを替えたら、また方針がガラッと変わって、また迷走して…となってしまう可能性もあるし、そっちの方がマズいかもしれない。

財政的にも厳しい局面であることは理解しているので、少なくともこの先数年はじっくり地道にチームを作っていくことになるだろう。

だから、繰り返しにはなるが、今のフロントが小菊監督で行くと決めた以上、小菊監督のやりたいサッカーを実現できるようなサポートをしてほしい。

そして、必要であれば厳しい決断を下すこともしてほしい。

クラブは最近よく「セレッソファミリー」という言葉を用いる。たしかにファミリーだし、ファミリーであるべきだとは思う。

でも、上を目指すということだけは、辞めないでほしい。
真の意味で、一枚岩になってほしい。

幸い、来季に向けて補強の噂もいくつか出ている。残念ながら退団の噂もいくつか出ている。

今のところ、その全てに異論はない。残念に思うことはあっても、情を捨てたら妥当と言える決断が多い。

だから、これだけウダウダ言った後で大変申し訳ないが、来季もまた期待しているし、精一杯楽しみたいと思う。

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