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セレッソの移籍市場について語ります

セレサポの皆様、かなり遅いタイミングで新年のご挨拶となりますが、あけましておめでとうございます。本年も何卒よろしくお願い申し上げます。

今回は移籍市場がほぼ終わったってことで、移籍関連のnoteを書いていこうと思います。
毎度くどいですがあくまでも個人の感想です。ご容赦ください。


移籍市場の動き

まずは移籍市場での動きを軽く振り返る。

退団選手について


大前提として、僕も退団選手にはいろいろな思い入れがあるし、情もある。
おそらく皆さん同じだと思う。好きな選手、特別に応援している選手はいるだろう。

今オフ退団していった選手にも、ユースからの生え抜き選手、タイトル獲得に貢献した選手、在籍期間は短くともインパクトのある活躍をした選手など様々居る。

厳しい言い方にはなるが、そういった情を抜きに考えた場合、今回退団した選手は妥当な移籍だと言わざるを得ないと思う。

ヨニッチを除き、退団選手はレギュラーではない。
それも、(怪我等のやむを得ない理由含めて)小菊監督の求めるものに応えられないが故に序列が下がってしまった選手ばかりだった。

このnoteでも何度か書いてきたが、小菊監督はとにかくプレー強度を求める。

退団していった選手の多くは、ボールを持てば上手い選手ではあった。
しかし、失った瞬間の切り替えや守備の強度で言うと、レギュラーには敵わない選手たちばかりだった。なので序列は下がり、出場機会は減る。

出場機会が減ることを、良しとする選手はいないだろう。自身のキャリアのためにも、移籍を模索する。より多くの出場機会を求めて外へ行く。これは仕方のないこと。

なので個人的には、出場機会の少なさを憂いインスタでお気持ち表明するような場合を除き、移籍に関しては何の遺恨もない。鈴木徳真のように移籍先にガンバを選択してしまう選手が出たのは残念だが、仕方のないことだ。鈴木にとってポヤトスは元恩師だし、ポヤトスがやりたいサッカーはまさに鈴木が活きるものだろう。

そんな中でも僕が残念だと思った退団は3名。
ヨニッチと中原、そして藤尾。

ヨニッチについては、たしかに全盛期に比べれば若干の衰えは見られたが、依然として高い守備力を誇る鉄壁だった。
それにヨニッチはその守備力に加えて、ボールを持つことを嫌がらない選手でもあった。それはユンジョンファン監督時代からそうだったし、さらにロティーナ監督の下で経験を積んだことにより、運ぶ・縦に送る・一旦下げるの判断力にも磨きが掛かっていた。

ビルドアップを志向するチームにおいて、ヨニッチの離脱は想像以上に大きいかもしれない。

一方で、年齢と年俸の兼ね合いを考えたときに、退団も仕方ないと思えることもまた事実だ。これは難しい。

あとは中原だが、こちらはヴェルディでの印象的な活躍を見た後なので、もう一度セレッソで見てみたかったと余計に思ってしまう。

中原はセレッソにおいて「向いていないことを求められ続けた」という印象がある。具体的に言えば坂元達裕と同じことを求められていたように思う。
中原は中でもプレーしたい、どちらかといえばシャドーのような選手であり、坂元やクルークスのように大外でプレーできる、所謂ウインガ-ではない。中原はドリブルで抜けない…というようなことも言われいたが、それは立ち止まった状態から仕掛けるタイプの選手ではないというだけで、スピードに乗ってボールを受ければそのままスルスルとドリブルで抜いていける選手だ。

だが残念ながら今のセレッソにはシャドーというポジションはなく、サイドの選手は大外でのプレーを求められる。ここに終始苦戦していた。

ならば、433のIHならどうか?と個人的には思っていた。
昨季終盤、柴山がやっていたようなことを中原も出来ないか、と。

だが、中原本人は出場機会を欲して、移籍を希望してしまった。
これも仕方がない。本人はヴェルディでの経験もあって、おそらくだが「J1だろうとレギュラーでやれる」という自信を持ったことだろう。僕もその通りだと思う。彼はきっとJ1でレギュラーとして戦えるはずだ。だから今すぐにでもJ1でレギュラーとして勝負できる環境を欲したのだろう。

だが、セレッソとしては、彼に出場機会を約束することはどうしてもできなかったのだろうということも想像がつく。この気持ちも、理解できるものだ。それなら、選手のキャリアのためにも、本人の希望を踏まえ放出を選択しよう、と。一部報道では移籍金も入ることのこと。であれば、選手のキャリアを考えるという側面からも、一方でドライに移籍金を得るという側面からも、他クラブへ放出することを選択した。

そして最後に藤尾。
彼に関してはシンプルで、セレッソで試合に絡むところが見たかった。
だがセレッソには絶対的なFWレオ・セアラがいる以上、藤尾の出場機会は限られてしまう。五輪の事を考えても、今このタイミングでベンチを温めるわけにはいかない。町田でもレギュラーというわけではないが、セレッソに比べたらチャンスはあるという判断だろう。
気持ちは分かるが、セレッソのトップチームでほとんど試合に出ないまま退団してしまったのは残念でならない。

入団選手について

入団選手については、その多くが「433を本格的に導入するためなんだろうな」と思わされるものだった。しかもそれを、田中駿汰のようなJ1で不動の地位を築いている選手で実現できたのは、本当に大きい。彼一人いることで、編成面の柔軟さは一気に増したと思う。それに、守備的でサイズのある選手はセレッソに最も足りなかった部分と言っても過言ではないだろう。

ルーカスフェルナンデスは昨季こそ怪我の影響で出場時間が伸びなかったが、J1での実績は十分。おそらく433の右WGで、ドリブルによる仕掛けで攻撃に厚みをもたらしてくれるだろう。

平野佑一もここ数年はレギュラーではなかったかもしれないが、Jリーグではもう名の知れた選手。彼の組み立て能力は、ビルドアップが課題のセレッソにとって助けになるはずだ。

陣容が大きく変わった左SBには、登里亨平が加入。
山中・丸橋が抜けたことでちょっとパニックバイ感が出てしまったが、彼の実績とキャラクターはセレッソに必要不可欠なものになるだろう。持ち前の明るさで、早くもサポーターの心を鷲掴みにしている。まだまだレギュラー出れる実力者だと思うが、もし仮にレギュラーが舩木で、登里はサブに回ったとしても、登里を中心にサブ組からチームを盛り上げてくれるのではないだろうか。

奥田は昨季からセレッソでプレーしていたが、ポジショニングや足下の技術に優れた、いかにも現代的なSBというイメージ。守備面の強度が出せるようになればきっと小菊セレッソにおいて欠かせない存在にもなっていくと思う。

山田寛人には、前線のユーティリティとして様々なポジションをこなす役割が与えられそうか。

補強の目玉はヴィトール・ブエノかもしれない。
移籍金は記事によって差があり2億円とも5億円ともいわれるが、いずれにしても億単位の出費で獲得したとなればこれはもう相当な期待が込められているのだろう。

動画で確認する限り、ポジションは前線の真ん中寄り。強烈なミドルシュートを持っていることが分かる。

だが、こういったプレー集はあまり参考にはならないというのが個人的な意見。動画通りの選手もいれば、全然違う選手もいた。こればっかりは見てみないと判断はできない。
それに、プレー集は基本的に良いプレーやボールを持っているときのプレーを集めているものなので、今のセレッソのように失った瞬間の切り替えや帰陣の速さを求めるチームにおいては正直あまり当てにはならない。
それに、ブラジルのリーグレベルも判断がつかない。

と書くとなんだか期待薄なように受け取られるかもしれないが、そんなことはなくて、彼が活躍するときっとチームは大きく変わることが出来ると思うし、活躍してもらわなくちゃ困ると思っている。
おそらく433のIHで香川、清武、奥埜、と横並びでプレーすることになると思うが、前述の3人はどちらかというと後方でのプレーも出来る選手なので、ブエノにはより前方でゴールに向かってプレーすることが求められるだろうか。となるとライバルは上門かもしれない。
この辺はやってみないと分からないけど。

で、よく「この加入選手は評価B、100点満点中80点」みたいな採点記事も見かけるんだけど、個人的には名前やスペックだけで判断も採点も出来ないと思っているので、僕はそういった書き方はしない。
様々な理由で思ったより活躍できなかった選手、逆に期待以上の活躍をしてくれる選手はたくさん見てきた。

繰り返しになるがやってみないと分からないし、時間が経ってからあの時のあの補強は正解だった、となることもある。

今だと為田と鳥海はまさにそんな感じではないだろうか。
正直、僕も彼らが加入した当時は「J2の中位に沈むチームからW獲りって本当に必要なのか?」と思っていた。2021年シーズンを終えた段階では、よりその気持ちが強くなった。やっぱりJ1では通用しなかったじゃないか、と。
が、今となっては為田も鳥海も欠かせない存在だ。彼らがいないと、この2年のセレッソはなかった。そう断言できるほどに、欠かせない選手だ。

要はやってみなくちゃ分からない。くどいけど。

その他の雑感

昨年不足していたアンカー、そして中盤を厚くする補強は出来たので、今季はいよいよ433の完成に向けて歩みを進めていくことになるかと思う。
前線の層に不安はない。いろいろなタイプの選手がいて、様々な組み合わせが考えられる。

気になるのは守備陣の枚数不足。
特にCBは単純にヨニッチが退団しただけの「昨年比で一枚減」の状態なので、不安が残る。さすがに4枚でシーズンを乗り切るのは厳しい。しかもこの4枚には、アンダー世代代表で離脱が見込まれる西尾、昨季ほとんど出番に恵まれなかった山下が含まれている。

ビルドアップ面に不安を抱えるセレッソが、CBの人材不足によってまたビルドアップの整備を諦めざるを得なくなる・・・という事態にはなってほしくない。
さらに瀬古歩夢の退団以降、左CBは鳥海のみという状態がかれこれ2年も続いている。

が、それでもヨニッチが退団して空いた外国人枠を前線に使ったということは、クラブとしては後ろの補強は優先順位としては高くなく、得点力不足は前線のクオリティ向上によって解決したいということなんだと思う。

それは小菊監督のやりたいサッカーとマッチしていない気がするが、なってしまったものは仕方がないので、このメンバーでやりくりしていくしかない。

それに獲りたい選手を全員獲るというのは無理な話だ。
どうしても優先順位は決めざるを得ない。
今回はその優先順位の中で、「得点力不足は前線のクオリティ向上で解決する」ということを最優先事項に置いたんだろう。
ビルドアップに長けた左CBなんて日本中で不足しているし、もしかしたら世界中で不足しているかもしれない。
だから、それならいっそ前線を補強する・・・というのは、理屈としては分かる。

「育成型クラブ」とは


今回、かなり話題になった部分だろう。
セレッソはクラブとして「育成型クラブ」を掲げているものの、近年、ユースから昇格して「セレッソで出番を得る選手」というのはかなり少なくなってきている。

なので、今のセレッソの”育成”の何が問題なのか?について考えてみたいと思う。

今更説明することではないが、セレッソにはハナサカクラブというものがある。

ご存じない方のために簡単に説明すると、ハナサカクラブはセレッソの育成組織をサポートするための組織で、出資者は我々サポーター自身。たとえばシーズンシートの価格はハナサカクラブ会員費3000円を含んだもので、要はシーズンシートを買えば自動的にハナサカクラブへ3000円を収めていることになる。(そのことは発売時にハッキリと明記されている。)

そうして集めたお金はユースが活動するための補助資金になって、設備投資やら海外遠征やらに使われる。つまりサポーターが出したお金が、未来の桜の戦士たちのために使われているということ。

かなり省略した説明なので、知らない方がもしいたら是非一度ハナサカクラブとは何か?と調べてほしいし、周りの詳しい方に聞いてみてほしい。

じゃあなんでこういう仕組みを作ったのか?という話なんだけど、ハナサカクラブを設立したのは2007年のこと。

前年の2006年に降格を喫してしまったセレッソは、2007年をJ2で戦うことになった。必ずや一年で昇格を・・・と言いたいところなんだが、この頃のセレッソは資金もなければ明確なビジョンもない、毎年その場しのぎで監督をコロコロ交代させて、色んな選手を補強してはすぐに退団して・・・という感じで、クラブ全体がグチャグチャになっていた。

そこにトドメのJ2降格と来たので、一気に主力は退団し、かといって大きな補強も出来ず、クラブとしてかなり苦境に立たされていた時期。

セレッソはこのままじゃダメだってことで、クラブの中心となる哲学として「育成型クラブになる」というものを掲げる。
ぶっちゃけ、それまでのセレッソは育成なんてものには一切興味なしだったが、ここで初めて、明確に育成の強化に取り組み始めた。

実はセレッソが育成型クラブを掲げたのは17年も前の話になるということだ。
森島社長や梶野統括部長が始めた話ではない。彼らが要職に就く前から、セレッソは育成型クラブを掲げていた。

このときに、宮本功(みやもといさお)という方が中心となって考えられた仕組みが、先ほどのハナサカクラブ。

クラブの資金が乏しいので、選手は補強ばかりではなく自前で用意できるようにする。そのために、ユース組織をより強化する。ユースの強化費・活動費はハナサカクラブの財布で補助する。ハナサカクラブの財布にお金を入れるのは、セレッソのトップチームのサポーター達だ。

セレッソのサポーターは、ハナサカクラブの財布へお金を入れることを(もちろん全員が全員というワケではないだろうが)惜しんでいないと思う。

なぜなら、”未来のセレッソの選手”へ投資しているにすぎないからだ。
将来、自チームで活躍してくれる選手のためなら、サポーターは協力を惜しまない。その心理を利用した仕組みが、ハナサカクラブ。

心理を利用する、と書くと悪い言い方に聞こえるかもしれないが、むしろサポーターも喜んで利用される、将来のセレッソのためなら喜んで協力する、そんな方が多いのではないだろうか。
自分もその一人だ。シーズンシート代金にハナサカクラブへの協賛金が含まれていることに、一度たりとも不満など持ったことがない。喜んで協力する。偉そうな言い方だが、本当に素晴らしい仕組みだと思う。

が、この仕組みの根幹的な部分で、問題というか違和感が生じている。

セレッソサポーターがハナサカクラブへ協力するのは、それはあくまでも「セレッソの将来のため」だ。将来、セレッソで活躍する選手がそこにいると期待して、ユースの活動費への協力を惜しまない。

ところが今、セレッソのユースはトップチームで活躍する選手を育てる場・・・ではなくなりつつある。

個人的にずっと気になっていたんだけど、宮本氏はそもそもが上記のハナサカクラブの理念、つまり「トップチームで活躍するための育成組織、だからサポーターからの協力を得る」という考えだったと思うが、梶野統括部長は微妙に違う。

梶野統括部長は昔も今もそうだが、移籍市場におけるサイクルを重要視する。

梶野統括部長の理想は、選手を育てて、売って、セレッソの名を広めてもらうこと。
そしてまた次世代の有望株が「自分もセレッソに入ればプロへの道が開かれる、もしかしたら世界へ羽ばたけるかもしれない。」と考え、セレッソに入ってきてくれる。その選手をまた育てて、売って、セレッソの名を広める。

羽ばたいていった選手には、最後にはまたセレッソに帰ってきてもらい、自身の経験をチームに伝えてもらう。
セレッソのユース出身ではないが、香川真司はまさにこのサイクルを一周してセレッソに帰還した選手だ。既に退団してしまった乾貴士も、一周回ってセレッソへ帰還した。

また、こうして「セレッソから海外へ」という印象を作ることで、他クラブの海外移籍を志す有望株が、セレッソを選んでくれるようになる。今季で言えば田中駿汰はまさにそれだ。梶野統括部長が作り上げたサイクルがあるからこそ、セレッソを選んでくれた部分もあるだろう。

要は梶野統括部長にとって、育成出身者(含めチームの若手たち)にはトップで活躍してもらうのと同じくらい、海外へ羽ばたいてもらうのも重要なこと。ドライな話だがそれで移籍金も手に入る。セレッソの名前を売ることもできる。そのお金と、その知名度で、また新たな有望株を獲得する。

このサイクルを作り上げ、そして回すという点では、梶野統括部長が日本でもトップクラスに上手いと感じている。冗談抜きで日本一じゃないかとすら思う。

今、この梶野統括部長の掲げるテーマは育成組織にも徹底されている。
先日のキックオフデーでも、最大の目標は「ユースの選手を10代で世界の移籍市場に乗せる」ことだと丸山アカデミーダイレクターが語っていた。セレッソのトップチームで活躍する選手を育てるというのは、パワーポイントの資料の中では2段目に表記されていた。

風間氏の招聘だって同じだ。
風間氏を招聘したのは、風間氏のメソッドに則って選手を育成し、世界でも通用する圧倒的な個を作るためだ。マラドーナを作る、とよく言っている。
ゴール地点が、こちらもまた世界へ売ることになっている。

それはそれで理解はできる。必要なことだろう。

でも、じゃあサポーターは何のためにハナサカクラブへ金を払ったのか?ということだ。

ハナサカクラブへ協賛したサポーターは、おそらくだが多くの方が「将来セレッソで活躍する選手を支援したい」という思いを持っていることだろう。が、現実として、クラブは「売る」ということをメインに掲げてしまっている。

繰り返すが、売るのも必要なことではある。それに、自チームの育成出身者が海外へ羽ばたけばサポーターとしても誇らしいことだ。
だけど、それはあくまでもトップチームで活躍した後に得られる結果であるべきで、最初から売ることを目的としてしまっては、当初の設立理念とは異なるのではないか…と思う。

最近よく言われる「ハナサカクラブ設立当初の理念とかけ離れている」というのは、自チームで育成するか・しないかとか、残念ながらトップチームに定着できず他クラブへ移籍して行くユース出身者が多い…という問題ではなく、「何のための育成組織か、何のためのハナサカクラブか」ということではないだろうか。

トップで活躍した後に更なるステップアップが待っているのは、誰も否定しないだろう。
だが、売ること自体が目的となっていれば話は別だ。

あと問題だと思われるのは、今セレッソのユースが風間メソッドを色んな指導者に広めるための、いわば「実験場」になってしまっているという点だ。
こちらも同様に、セレサポは指導者養成のためにハナサカクラブへ出資しているのではなく、選手のために出資しているんだ、という気持ちになる。

しかも、実験場になった結果が2年でプレミアからプリンス2部への降格だとなれば、サポーター心情は穏やかに済むはずがない。

移籍してしまった選手や、ユースの選手たちを悪く言う人はほとんどいないだろう。むしろクラブに対して、あのときの設立理念はどこへ行った?サポーターは他チームで活躍する選手のために出資しているわけではないぞ?指導者を育てるためにセレッソユースの選手を利用していいわけではないぞ?という気持ちを持つ方が多くなっているのではないか。

そういった気持ちを持った方が、「育成クラブじゃなかったのか?」と言っておられるのではないかと推測する。

決して、森島社長や梶野統括部長が数年前に「セレッソは育成型クラブです」と言い始めたのに、全然できていないのではないか・・・という話ではない。

ハナサカクラブ設立当時と今とではクラブとして置かれた立場の違いがある、という話も、事実ではあるがそれほど重要でもないと思っている。

先ほども書いたように、ハナサカクラブ設立時は資金難で、クラブとしての柱もなく、ぐらぐらな状態だった。今は、仕上がり具合によってはリーグ戦の上位進出、カップ戦のタイトル争いが可能な立ち位置にいる。
となると、毎年それなりに戦力を揃えなくちゃならない。
だから、育成に関しては外部へのレンタルを活用する。これ自体は問題ないと思っている。育てる手段の違いだけの話だ。育てようとしていることに違いはない。

極端な話、プリンス2部への降格も、痛恨と言えば痛恨だが、ただの結果に過ぎないと思っている。これ自体は仕方のない部分だってある。どんな指導者でどんなメソッドであっても、降格していたかもしれない。

それよりも、もっと根本的なところ。
根本的なところで、サポーターの思惑と、フロントの思惑が違ってきているように思う。

トップチームで活躍する選手を育てて、海外移籍はその先にあるものなのか。
それとも、世界のマーケットに出すことをメインに据えて育成をして、セレッソでプレーするのはあくまでもそれが叶わなかった選手たち、という位置づけなのか。

セレッソのユースは特定の指導者のための実験場ではないし、選手たちは実験に使われるモルモットでもない。

梶野統括部長が作り上げた「育成→海外移籍→セレッソの知名度アップ→次世代の有望株獲得」のサイクルは、これからも維持すべきだし、既にかなりの完成度だと思っている。

だからこそ、ここにもう少し「トップチームで活躍する」という要素を取り入れてほしい。圧倒的な個を育てて10代で世界へ送り出すのが第一で、それが叶わない選手がセレッソで活躍する・・という絵の描き方は、個人的にはあまり好きにはなれない。

海外へ移籍するのは、トップで活躍した後に得られる結果であっても遅くないし、何の矛盾もないと思う。

だからもう一度、ハナサカクラブを設立した時の原点である「セレッソのトップチームで活躍する選手を育てる」というところに立ち戻ってほしい。

・・・というのが個人的な意見です。
僕なんかユースの試合も年に数試合しか見ないし、もっと熱心にユース支えられている方はたくさんいると思うので、これは部外者の独り言と思って聞き流しておいてください。

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