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[論文]Diversity in STS communities: A comparative analysis of topics. East Asian Science, Technology and Society: An International Journal


書誌情報

Shineha, R., & Nakamura, M. (2013). Diversity in STS communities: A comparative analysis of topics. East Asian Science, Technology and Society: An International Journal, 7(1), 145-158. doi:10.1215/18752160-2075813

Science of Science系で日本のSTS界隈を対象とした定量分析はないはず!と新規性を主張しようとしたら、例のごとく、優秀な同級生にこの論文を紹介されました。

著者情報

お二人ともSTSの第一線で活躍されている阪大の先生です。分野に疎い私でも知っているぐらいの有名度。

中村征樹先生は『ポスト3・11の科学と政治』で知りました。

標葉隆馬先生はSTSの入門書をまとめてくださっていて本当にお世話になっています。

要約

日本・台湾のローカルなSTSジャーナルと、EASTS・Scinece Technology, and Human Values ・ Social Studies of ScienceといったインターナショナルなSTSジャーナルのタイトルを対象として、共起語でネットワークを作って、分析と比較をした。インターナショナルなジャーナルは応用科学・市民参加・コロニアル=サイエンス・フェミニズムに関心がある、日本はそんなにっぽい。日本の事例をケーススタディとして定性分析したところ、コロニアル=サイエンスがネットワークでクラスターを形成しなかった原因として、日本のSTSコミュニティが細かく分化していることを挙げ、ジェンダーが他のクラスターとオーバーラップしていなかった原因として、日本のSTSは政策志向で研究が進んでいるからだとした。これらの事例を以て、STS間の共通点と相違点、またそこに文化的歴史的な構造が寄与していることが示された。

ポイント

①イントロがしっかりしている
STSの論文ということもあって、ただ共起語でネットワークを作るだけでなく、Sciology of translation(「翻訳の社会学」)ジャーナル共同体の概念に基づいたイントロが書かれていた。自分ももし書くときは参考にしたい。ただジャーナル共同体の説明の際に、妥当性境界や規範の話が書いてあったが、結局はそれらは単語に還元されるので、何か寂しかった。

②ディスカッションがしっかりしている
日本のSTS事情を定性的に分析して、Resultで生じたジャーナル間の差が文化的歴史的な背景によるものだということをしっかり示した。

気になった点

・今なら、対象の論文数(ジャーナルの種類も含めて)今は増やせそうだし、分析対象がタイトルだけじゃなくてアブストぐらいの規模でできたら説得力がよりでそうな気がした。

・時系列によるネットワークの変化とかも分析したら面白そう

・クラスタリング(コミュニティ)の仕方は何か基準があったのか、目視でやったのか。純粋にトピック分析とかするだけで面白そう。今度、論文を対象としたLDAの論文とか読みたい。





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