佐藤のぶよし

ファンタジックな短編小説をめざしています。

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閻魔の控え室

閻魔は午後五時半となったので、仕事を切り上げて控え室に入った。 頭にかぶっている冠(かんむり)を投げすて、重い衣装をはぎ取るように脱ぐと、下着姿のまま、緑色のベルベットが張られた大きな長椅子に、倒れるように寝ころび、ため息をついて、目を閉じた。しばらくすると、大きなイビキが部屋中に鳴り響き、部屋を揺らさんばかりだったが、自分のイビキに驚いて目をさまし、目をあけると、目の前に丸坊主の男の子が立っている。「これはこれは地蔵菩薩殿、いや失礼、今着替えをしますので」と、閻魔はもともと

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