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とある女の読書日記

読書日記、ときどき自問自答を添えて。

ここ数年読書らしい読書をしていなかったのですが、ここ最近数冊ちゃんとした類の本(マンガやラノベ以外の本)を手に取ることがあったので、その記録です。何かと自問自答に結びつけたがる傾向があるので、大きくくくれば自問自答ファッション関連かとここに書かせていただきます。(まだ読了していない本もあります)

『さみしい夜にはペンを持て』

著:古賀史健

装丁がとってもかわいくて手にとってしまった本。海の生物たちがかわいい。本の作りもとってもおしゃれ。全体がスミ+青系の2色刷りかと思いきや、突然真ん中にスミ1色のページが差し込まれていたり、はたまた数ページはスミ+茶色?っぽい2色だったり、とっても凝っている〜!

自分が日記を書こうとしても続かない理由が分かった気がします。「話すように書いている」からどうでもいいことばかりで埋まってしまって本当に記すべきことに辿り着かなくて挫折するんです、きっと。こうしてnoteに記事として書こうとするのもそうですが、誰かに説明すること、誰かに見てもらうことを意識すると、何とか続けられるのかも。

帯の推薦文にもあるように、「書くこと」の起源について考えさせられたり、実践する上での心の持ちようみたいなことが書かれていてとても参考になるんですが、これ多分小説仕立てになっているから、何の抵抗なく読めたんだと思います。普通の自己啓発系の本として書かれてたらきっと私は手に取らなかったし、読み進めることもできなかった気がするんですよね。(ヴァージニア・ウルフの『A Room of One's Own』みたいに自分の本質に近づくために書くことをあげているような類の本ではなくて、「書くこと」について上から目線で語られるハウツー本が好きじゃないというか…)

脱線しましたがこちらの本は、絵のかわいらしさだったり物語仕立てになっていたり、そういう仕掛けがうまいこと作用していて、とっても読みやすいし、たくさんの発見に満ちています。というと私が上から目線なこと言っているみたい…小難しいことを言っても良さが伝わらないので一言、おもしろかったです!

『タコの心身問題』

著:ピーター・ゴドフリー=スミス

科学哲学・生物哲学の専門家が書いた本。ときどき小難しい本が読みたくなりませんか? 私はよくあります。じっくり読むんじゃなくて図鑑を眺めるような感覚で読みたい類の本です。

総じて、自分が見ている世界が、他者が見ている世界と同じとは限らないんだな、と強く実感させられる本でした。以下覚え書き。正しく理解できていない可能性は大。

  • 人間とタコが見ている世界は違う。(専門家に言われなくてもそれはそう)

  • タコはどこからどこまでが脳みそで身体なのかがはっきりしない。人間は脳と身体が明確に分かれ、人が見る世界は「脳」で認識するものなのか「身体」で知覚するものなのか議論が醸し出される一方で、タコは身体と脳、両方をもって世界を認知しているよう。

  • 性格によって備わる能力が変わる。

  • 主観的経験と呼ばれるものには根源的感情が伴うことが多い。

  • 人はさまざまなことを知覚することができ、「それらを知覚している自分」を感じることはできるが、「自己」と呼ぶものを把握しているとは言い難い。(私たちが理解できるのは一時的な感情や感覚だけで、「それらを感じている自分」を分析するまでには至らない)

『星占い的思考』

著:石井ゆかり

私は占いが好きです。石井ゆかりさんの星占いは結構見るんですが、この本は星占い的な物の見方をエッセイにまとめたような本で、いつもの占い(=予測)とは少し違うアプローチで書かれています。石井ゆかりさんの語彙力の豊富さ、インプットの幅広さを実感する本です。

なるほどなと思ったのは、この部分。

『私は、占いというものを、倫理や道徳という世界観からのアジール(避難所)だと考えている』

星占い的思考 p209

これ、別の占い師さんが書かれていたコラムにも通じていました。

真木あかりさんが幻冬舎plusで連載されている『眠れぬ夜のひとりごと』。占いに関するコラムではなくてこちらもほぼエッセイ的な内容で、2年前にアップされたこちらの記事は今はもう会員限定になってしまっているので記憶が朧げなのですが。確か、ご自身が昔住んでいたアパートの部屋について書かれていて、大家さんが「この部屋に住んでいた子たちは皆幸せになっているから、あなたもきっと幸せになるわ」と何の根拠もなく言われて、信じてみようかなと思ったときのことを書かれていました。

つまりは「吉兆、ということにしておこう」というだめ押し。石井ゆかりさんの本と真木あかりさんのコラムの共通点を自分なりに見出したところで、多分、自問自答ガールズたちもそうなんじゃないかな、と私は勝手に想像しました。「運命の靴」「運命のバッグ」「運命のコート」。何を根拠に運命なのかは人それぞれ。音楽が頭の中で鳴り始めたり、ポエムが天から降ってきたりと言う方もいらっしゃるようですが、そういう啓示を受けない方もいるでしょう。いつの間にかそれが運命だった、そんな具合に。本当に運命かどうかななんて誰も保証してくれないそれを、でも運命だと思うことに決めた、そんなアイテムこそが「運命の靴」であり「運命のバッグ」であり「運命のコート」なのではないでしょうか。

そして、私が今の自分のコンセプトに求めるのも、こういった「避難所」めいた「言い訳」に近い要素があります。「とりあえずこれを着ておけば大丈夫」「これなら私らしくいられる」「きっとうまくいく」。科学が発展した社会でいかにも理屈や根拠が求められる世の中になってきたからこそ、自分の心を助けるのは、非科学的なおまじないめいた「占い」や「最高の1セット」だったりするのかもしれないです。

そんなことを考えながら、これからも自問自答を続けます。(そしてこれらの本を読み進めます、まだ終わってないよ、特にタコの本…)いずれも紙媒体で読んでいただきたいなと思う本でした。ご興味がある方はぜひ手にとってみてください〜