見出し画像

(小説)リリック・アンシューン(5)最終話



 リリックは、エブニーザを殺すという役割を無視して、何ヶ月か平穏に暮らした。
 エブニーザは毎晩、寝る前にリリックの部屋に様子を見に来た。
 リリックはその度に『なんで来るんだろう?』と思いながらも、いつのまにか、彼が来るのを心待ちにしている自分に気がついた。
 しかし、そんな平和がいつまでも続くはずがない。
 洗濯物を持って裏口から出た時、庭に、見覚えのある男が立っていた。
 リリックはあわてて館の中に戻ろうとしたが、男がリリックをつかまえる方が早かった。

ここから先は

9,581字
この記事のみ ¥ 200

お読みいただきありがとうございます。 いただいたサポートは、学習・創作のための資料、趣味、生活費などに使わせていただきます。