ずっともやもやしている

吉本興業の一件。

以下は、私の寝言みたいなものだと思って。

私が吉本の芸人にどっぷり浸かることになったのは高校生の時だ。
「カボスケ」という番組でココリコを知り好きになった。プライムタイムのバラエティには出ていない芸人さんがこんなにいるのか!と夢中になった。
当時演劇部に所属していてお芝居を見るのは好きだったけれど、お笑いは生で見たことがないなと思い、今のようにネット検索なんてできなかったので、ぴあの雑誌を買って調べた(当時は各所のイベントが網羅されていたのはweeklyぴあだったので毎週買っていた)それが、銀座7丁目劇場だった。
お芝居に比べて格段に安いチケット代に感激し、それからはバイト代を劇場代にほぼつぎ込んで通った。当時7丁目劇場に出ている東京吉本の芸人は養成所出身ではなく、オーディションで受かった人たちだった。ココリコもその1つで養成所出身ではない。東京NSCができたのはそのあとの話だ。極楽とんぼやロンドンブーツ1号2号、ペナルティがよく劇場に出ていて、その中でもロンブーは大人気だった。当時路上でライブをやっていて、深夜の番組でレギュラーもあったので、ロンブー目当てのお客さんは結構いたと思う。
雨上がり決死隊は吉本印天然素材(通称てんそ)というユニットのメンバーで、人気もあった。ナインティナインが早々にてんそから抜けて、残ったメンバーは東京の劇場に出る事もたびたびあった。でもそう多くはなかったのでチケットも取りにくく、正月興行で見られたのが嬉しかった記憶がある。
今思えば私がオタクの道を歩き出したのはお笑いがきっかけだったと思う。
出待ちもしたし、写真もたくさん撮った。初めて一眼レフ(当時もちろんフィルム)を買ってもらったのも芸人さんの写真が撮りたかったからだ(劇場は撮影不可のイベントでなければ自由に撮影できた)もう解散してしまったけれど、劇場に通うようになってから大好きになったツインカムの出るイベントは、行ける限り行っていた。学校帰り、制服のまま銀座に向かう女子高生だった。銀座に通う女子高生はそう多くなかったと思う。渋谷から銀座線に乗り、時間がある時は一駅手前の新橋で降りて歩く。交通費が少しだけ安かったからだ。

劇場だけでは食べていけないであろうことは当時から察していた。だけど皆舞台ではそんな様子は微塵もなくて、ずっと笑っていられるこの時間が大好きだった。劇場ならではの客いじりもあって、私もいじられたことがある。
トークイベントでは真剣にお笑いについて話すときもあれば、終始下らない話しかないこともあったけど、どのイベントでも芸人さんは全力だった(と感じていた)

7丁目劇場は数年後に閉館することになった。ラストイベントにも行った。
長く通った劇場がなくなるというのは、ファンよりも出演していた側の方が感慨深かっただろう。そして不安だっただろう。
劇場がなくなった芸人は(まだルミネに劇場ができる前)レンタルホールで転々と、不定期にイベントをやっていた。今までよりも劇場出演が減ったので、大変だったと思う。
私はその後、ツインカムが解散し、別の芸人のファンになったりもしたけれど、結局段々と劇場が疎遠になっていった。
でもお笑いは好きだったし、ネタ番組があると録画して見たりしていた。
東京に養成所ができ、7丁目劇場で黒服でネタをやっていた芸人がバラエティ番組やネタ番組で活躍する姿を見るのが、純粋に嬉しかった。

今、この状況が、ただ悲しい。
嘘をついてしまったことは事実で、確かに悪いことかもしれない。それが大事になってしまった発端でもあるわけだし、実際に起こってしまったことだから、謹慎だというのもわからないわけじゃない。
けれど人の命を奪うようなことでもないし、生活を破綻させるまでのことであるとは思えない。
非難する人は彼らに何をされたのだろう。
「謝れ」「辞めろ」「引退しろ」というのが、直接詐欺被害を被った人ならまだわかる。ただのガヤだ。匿名だからといえ、なぜそこまで自信満々に糾弾できるのか。真実なのか、事実なのか。それは関わっていない人が語るべきことではない。

「ファンを裏切った」というけれど、裏切られたと語る人はどれだけ彼らの泥水時代を知っているのだろう。そもそもファンと芸人の間の信頼関係なんて、ただの思い上がりなのではないだろうか。長年追ってきた、認知を得たような人だとしたらまだわかるけれど。ファンは、彼らの生活の保障をしてあげられるわけでもない。ただ応援して、何らかの形でお金を落すことしかできないのだ。見返りを求めるような行為はファンではないと私は思っているから。

そして事務所が会見をした映像や文字起こしされた記事を見て、私があの時感動していた気持ちは、こんな人前でろくに話もできないようなぺらっぺらの大人の飯の種になったのかと思うと、ただ悲しかった。

私は私が劇場で見ていた頃の宮迫さんや亮さんが今もいると思いたいし、事務所が解雇を撤回したり語れもしない会見を開いたりという状況がとても気持ちが悪い。
いっそ間口を開けて、別の事務所に移籍交渉をする人が出ても、圧力をかけて干したりせずに、選択肢を与えてあげてほしい。
(ファンから見ても圧力は明らかにあったように見えてるのであえて)

ただお笑いが好きなだけなんだよ。
吉本が好きなわけじゃないんだ。応援してた芸人が、吉本にいただけなんだ。

この悲しみがずっともやもやしたまま、渦巻いている。
悲しい出来事ばかりが続く日々だ。
私の楽しかったあの頃の思い出は、なかったことになんてしたくない。
だから早く、ただ笑える日が戻ってきてほしい。

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