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ゲームで見る野球シーズン2020①ー投手編ー

始めに


 私はプロ野球スピリッツに凝っており、ペナントモードを進めながら自分が持つ野球論のレベルアップに励んでいる。
 以下のリンクの通り、シーズン結果をもとに10本もノートを書いてしまったが、あれからまた1シーズンプレーし終えてしまったので、今回も書いてみる。およそ半年で1シーズンプレーしているようだが、全盛期は四ヶ月で1シーズン回していたので、ペースとしてはややおとなしくはなっているようだ。

 2020福浦ロッテのシーズンについて書けるだけ書いていきたいが、2019シーズンを記す際に自分の野球論に関しては90%晒しているので、今回は前回書いたシリーズと比べて短くはなる。

去年以上に差をつけて優勝。補強と育成がうまくいった

2020福浦ロッテ・投手シーズンデータ

先発投手

石川 歩(32)
28試合 3.04 13勝11敗 180.2回 159奪三振 1.15(WHIP)
大嶺 祐太(32)
23試合 2.75 15勝2敗 147.1回 102奪三振 1.12
藤浪 晋太郎(26)
20試合 2.88 10勝7敗 144回 110奪三振 1.24
大谷 智久(35)
17試合 2.26 12勝1敗 111.1回 101奪三振 1.14
鶴井 秀人(29)
15試合 3.05 8勝5敗 91.1回 64奪三振 1.49
野村 祐輔(31)
7試合 3.91 4勝3敗 46回 36奪三振 1.48
田口 麗斗(25)
10試合 5.50 4勝4敗 52.1回 34奪三振 1.64
岩佐 幸博(19)
2試合 5.91 0勝2敗 10.2回 9奪三振 1.97
由規(31)
4試合 9.90 0勝0敗1HP 10回 4奪三振 2.40
板垣 憲人(19)
2試合 3.60 0勝0敗 10回 5奪三振 1.50

スウィングマン

田中 英祐(28)
23試合 2.86 0勝5敗1HP1S 78.2回 79奪三振 1.33
野元 政隆(27)
11試合 8.85 2勝1敗2HP0S 20.1回 15奪三振 2.21

リリーフ

オスーナ(25)
62試合 0.51 7勝1敗15HP34S 70.1回 88奪三振 0.64
西野 勇士(29)
55試合 1.79 3勝2敗40HP0S 50.1回 81奪三振 1.13
益田 直也(31)
52試合 2.08 0勝4敗29HP0S 47.2回 46奪三振 1.07
今野 龍太(25)
41試合 3.05 1勝0敗7HP0S 41.1回 33奪三振 1.50
内 竜也(35)
35試合 2.11 0勝1敗8HP0S 38.1回 56奪三振 0.94
中後 悠平(31)
53試合 4.11 0勝1敗18HP0S 35回 31奪三振 1.43
石川 直也(24)
26試合 1.57 0勝0敗1HP0S 28.2回 37奪三振 1.01
田中 健二朗(31)
32試合 4.91 2勝0敗8HP0S 22回 18奪三振 1.82
藤岡 貴裕(31)
3試合 11.17 0勝1敗1HP1S 9.2回 6奪三振 2.38
竹島 亮平(24)
1試合9.00 0勝1敗 5回 5奪三振 1.80(阪神での登板)
加賀 繁(35)
3試合 8.10 0勝0敗1HP0S 3.1回 2奪三振 2.40
南 昌輝(31)
3試合 9.00 0勝0敗1HP0S 2回 1奪三振 1.50
星野 大地(27)
3試合 4.50 0勝0敗 2回 2奪三振 4.00
公文 克彦(28)
2試合 0.00 0勝0敗2HP0S 1.2回 0奪三振 0.00
寺原 隼人(37)
1試合 9.00 0勝0敗 1回 0奪三振 1.00

登板無し
土田瑞起(30)、山本哲哉(35)、二木康太(25)、木村優太(35)
沢成樹(30)、藤澤敏浩(18)

投手力はこのチームの伝統の武器

先発投手編

先発ローテーションについて

 上記のデータをご覧いただければわかる通り、規定投球回に到達した投手は三人。石川、大嶺、藤浪の三人のみだった。
 昨年度も三人のみ(鶴井、野村、藤岡)で、二年続けて規定投球回に到達した投手は居なかったという事になる。

素晴らしい能力
能力はさほど前年までと変わらないが、体感コマンドが改善していた

 加えて今年規定投球回に到達した選手の中で、一年間ローテーションを回ったのは石川歩ただ一人。藤浪はシーズン序盤、大嶺はシーズン中盤に故障した。イニングも規定ギリギリでシーズンを終了している。好不調の波を小さくした上で怪我をせず、一年間稼働する事の大変さがわかる。

2018シーズンは16勝。6年で52勝はなんだかんだエースの投球

 開幕は、規定到達の三人に「大谷、鶴井、田口」の三名を加えたローテーションで迎えたのだが大谷は10日間の怪我、鶴井と田口は打ち込まれる試合も少なくなく、鶴井はシーズン終盤に盛り返したものの田口に至っては後半戦の一軍登板は0に終わっている。

チェンジアップが投球に組み込めるレベルに。

 去年2試合の登板だった田口は大きく登板数を伸ばしたものの、一軍の壁に当たった格好。スライダーを含む変化球の成長は見えるものの、もう一皮むけたい。

若手の起用法

 若手の育成はどのチームにとっても重要で、念頭に置いて采配を振るう必要がある。今年の目玉としては左腕の田口が開幕から投げた事だったが、一年回る事は出来なかった。
 先発事情を見ても、石川、大嶺、野村、大谷の四人が三十代を迎え大谷には少し陰りが見えるシーズンでもあった。

先発だけでなく中継ぎも経験したここ数年。
球威に衰えは来ており、
今年は怪我もあったが日本シリーズでも先発、絶対的な信頼

 そこで、去年と変わった事とすれば岩佐と板垣の起用である。岩佐は球団内プロスペクトランキング二位の右の本格派で板垣は横の変化が魅力の左投手。それぞれ2試合のみの登板でスタミナに課題を残したが、少しでも一群の登板機会を増やしていきたい。若手に必要なのは登板機会なのだ。

 去年先発登板させた投手の数は11人。これは現実世界のNPBでもあり得る数字で、調べると例年13,4人程度が先発マウンドに上がっている。
 引退登板を行った寺原を除いて、今年は13人が先発した。中には1試合のみの先発に終わった藤岡、先発ローテで回るも勝星に恵まれなかった田中英や中継ぎから配置転換になった野元も含むが、やはりやってみるとペナントを回すにあたり先発投手に回る機会は決して多くはない。今年のようにまずは表ローテが安定していた年であれば、枠は10人。倍率にして三倍ほどのチャンスを掴む必要がある。
 再建期を謳い、試す一年にするわけではないチームの中で、競争というのは常に激しいということが分かるデータだ。

 ローテーション投手が怪我をした、調子を落としたタイミングで、今年は若手を1試合か2試合(1週間か2週間)一軍に帯同させ登板させた。代役というよりもデビュー戦としてその選手にとっては大きな意味を持つ。
 恐らくこういった時は選手に対して、何試合で何イニングで交代するかを予め伝えておいた方が良いのかもしれない。打たれたから代えるという采配にならないように気を付けた方がよいだろう。

豊富な球種が魅力。
ドラフト三巡目指名ながら未来のエース候補。

失敗した選手の穴を埋める

 前半不調だった鶴井や勝ち星が付かなかった田中英の後を、若手で埋めたと前項で記した。とはいえ、それだけでは埋まらない。今年そのバックアップのポジションを任されたのは野村祐輔であった。

野村 祐輔(31)7試合 3.91 4勝3敗 46回 36奪三振 1.48

2020シーズン成績

 2019シーズンでは24試合に先発し10勝。オープン戦不調だったとはいえローテ入りが遅れてしまった。シーズンを回して今回わかったことだが、これは「中堅どころが割を食う」ということなのか。中継ぎではそれが顕著だったので後述するのだが、野村が僅か7試合の登板に終わってしまったのは31歳という微妙な年齢が原因だったか。岩佐や板垣を使うタイミングで野村を使っていれば当然登板試合数は増えていたはず。二十歳前後のプロスペクトを試したいのはどの球団も考える事だろうし、二十代前半の投手がここ数年のチーム運営で増えていた。

2016年にトレードで獲得してから常に安定しているものの、贅沢なバックアップ要員

 オフにリベロとのトレードで阪神から藤浪を獲得。前年の後半戦失速の原因を先発の駒不足と分析した結果の動き。大嶺がここに来てキャリアハイを叩き出すとんでもない大誤算があったのもあるが、由規の登板機会も減ったし、中堅どころには難しいシーズンとなった。田口のローテ入りによって藤岡のチャンスが減ったのもそういった話だろう。

QS率とERA+

 今年度のQS率の一覧がこちら。

前年度は70%なんていなかった

 これはとんでもなく良い成績。貧打だったシーズン序盤はさておきこれくらい試合を作る先発がいれば、優勝できるのは当然だったかもしれない。
 イニングに関しても藤浪が六度の完投、うち完封が四回。石川と大嶺がそれぞれ完封二回。支配的な投球が出来る藤浪晋太郎の補強は正解だったと言える。
 一方で以下が主な先発投手のERA+

石川歩144・大嶺159・藤浪152・大谷194・鶴井144

パークファクターの計算のしようがないので反映していない

 パークファクターの無いERA+に意味があるのかという話だが、現実世界においてロッテの本拠地のパークファクターはそこまで振れないようなので、まあ据え置きでもまあ・・・
 楽天イーグルスの壊滅的な投手力のせいでERA+は凄く高く出ている。それぞれ主導で補強をし、チーム力の底上げには手を加えているが、どうしても元の戦力の悪さに加えてそれぞれ各チームの打線が良い事も影響したか。

中継ぎ投手編

勝ちパターン

 2020シーズンは勝ちパターンに変化があった。益田を七回に配置転換し、オスーナをクローザーに持ってきた。
 2015年から数えて五年間で180セーブをあげる守護神を配置転換するのはナンセンスだったかもしれない。奪三振能力に長ける方から後ろに配置した方が理論上は良いと思って、今シーズンは動いてみた。

慣れ親しんだ職場でとんでもない成績

 一方の益田も今期は四敗したもののwhip1.07と安定した投球を見せ、勝利の方程式の一角を担った。前年の31HPに続いて八回を守り切った西野と合わせて三本柱を築くことが出来た。福浦ロッテの強みになっている。

中堅が割を食う

 今季登板が減った選手として加賀と南の名前が上がる。中継ぎ経験という点だと藤岡や登板無しに終わった山本も同様だが、複数年単位で活躍していた選手から選べば最初の二人。星野に割って入る隙がなかったりもしたが、今回は中堅所の話をしていこう。
 以下が加賀のロッテ入団以降の成績と南の年度別成績。

2017こそ対右要員を含め活躍したが・・・
三振の取れるフォークがあり重宝はしている
非常にフォークが優秀。ストレートも武器になる

 このように、登板数を減らす選手が出てきた一方で登板数を増やした投手がいる。

今野 龍太(25)41試合 3.05 1勝0敗7HP0S 41.1回 33奪三振 1.50
石川 直也(24)26試合 1.57 0勝0敗1HP0S 28.2回 37奪三振 1.01

現時点での完成度は石川の方が上

 この二人。今野は戦力外で楽天から市場に出ていた昨年オフ、大きな期待を込めて獲得。石川は一昨年トレードで獲得していた。獲得当時はまだプロスペクトの年齢でありながら共に直球に力があり、今野は球速、石川は変化球にストロングポイントがあった。これから2,3年のうちに勝ちパターンに入れるレベルの中継ぎ投手になる可能性がある。
 登板試合に対してホールド数が少ないのは、チームの層の厚さを伺わせるものだが、シーズン中盤から終盤にかけては大事な局面でも投入していった。
 このように活きのいい奴若手が出てくると先発だけでなく中継ぎでも、競争が激化し中堅の出番が減っていく。

リーグでも指折りの球速。球威はなくとも押し切れる。
今期の防御率・whipはかなりよく、将来が楽しみ

 田中英祐が中継ぎに場所を変えてから本来の投球をするようになったのも若手主体にかじを切らせた。速球派が増えれば増えるほど変則投手の需要もあるようだが、球速というのは案外正義で「目先を変える」だけでは抑えられないようになる。 左右のバランスはブルペン陣で考えたりしたが、加賀や久古といった変則投手の場所がブルペンから無くなっていった。「ワンポイント禁止」のルールなど無い世界なのだが、将来やスペックを考慮した結果で現在のブルペンへと行きついている。

ブルペンの左右割合(中継ぎ左腕の存在)

 来たる2023WBCの日本代表に左腕が少ない事(なんか練習試合で炎上してるのは別)はフォーカスされていたが、チームに最低でも一枚欲しい中継ぎ左腕。
 2020ロッテだとそのポジションは「中後、田中、公文」か。今期は序盤から中後が左のワンポイントを含め仕事をし、調子を落としてきた頃田中健二朗がブルペンを支えた。
 同時期に左腕を二人とも登録していた際は早いイニングから、左の強打者に対応する采配も可能で幅は広がった印象だ。
 リベロを放出したチーム状況だが、私はGMとして現有戦力でカバーできると考えていた。

徐々にドラフト二位の力を見せつつある。
コントロールの改善が大きい

 中後だけでなく、色々な状況での登板を考えて田中健二朗のトレード補強をオフに敢行していた。

田中 健二朗(31)32試合 4.91 2勝0敗8HP0S 22回 18奪三振

覚醒し、球威が上がってきた。

 見事最低限の活躍を見せてくれた。投手陣というのは「少し多いくらいかも?」と思っても物足りなくなるもの。それを実感したと共に、我々のオフから夏にかけての動きは間違えていなかったのだと感じた。

投手編総括

 投手陣の厚みが去年以上だったことが、今年の勝ちに繋がっている。

若手は試したが、まだ戦力には程遠かった
石川もそうだが、鶴井が九月上げてきたのは良かった
自由契約として市場に出ていた選手を獲得し、活躍するのは大きい

 リーグの中では圧倒的な投手力だが、勝負所で打たれてしまうのでは見かけ倒し。そこを対応するべく一軍戦力以上の人数確保に向かった。道中TDLなどで大きく入れ替えた部分もありながら、オフからシーズンの動きに対応するべく今野の獲得や田中の獲得を行ってきたこととなる。

 わかりやすい穴は投手陣の中にはなかったか。若手という点でも先発から中継ぎまで人数がおり、順調に育つのを待つのみだろう。

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