苦渋湖(2015/10)

迂回した英語教師が云う台詞 何度聞いても灼けた背表紙

いずれまた出会った時に語ります 秋の終わりに縮んだ話は

寝苦しい夜のとばりに視る虚ろ 小声でうたう猫の洪水

「捻れ?」「山羊!」「逆に普通のことなので、彼らの真意は知らずにいました」

現実でいちばん鮮やかな色はスーパーファミスタ4の薄青

鼠だと思っていましたあの日まで 逃げ込み先の弱冷房車

まだ彼は国道沿いに住んでいる あなたがいずれそこで死ぬから

彼が喰む厭に黄色い柑橘がクリシェのように神経苛む

舌で触れたもの以外認めない 手を手であると思えぬころは

バラバラになった是々非々抱いて寝る 元に戻ると云ってただろうが

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?