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vol.5 タケゾウ先生のボロ戸建て不動産投資講義

タケゾウ 聖丁倶楽部
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※試聴版。オリジナル版(56:25)は購入後に視聴可能。

第五話(全六話)
本作では「メンタル」「マインド」の解説にも重きを置いている。いくら知識や経験が増えたとしても、このメンタル・マインドという精神的な部分での成熟がなければ、ボロ戸建の再生と賃貸経営という「事業」を運営していくことはできないからだ。つまり「事業家マインド」を身につけることが必須だ。

そこでまずは、事業家マインドとは対極的な精神性である「消費者マインド」「勤め人マインド」について考えてみる。消費者マインドとは言い換えればお客様マインド。自分が買う側ーーいや「買ってやる側」くらいのマインドでいることだ。物件を購入するというときに、大家ワナビーが買い手で、不動車業者は売り手となる。形式的にはお店とお客、ということになるので、ここで勘違いをする者は「俺は客だぞ」という態度で物言いをしたり、物件に文句をつける。不動産業者からしたら、ただでさえ低額な築古物件ゆえに手数料もたかが知れているのに、買い手がこんなにも面倒臭いやつだったりすると途端に取引する気がなくなってしまう。彼らも人間だ。不動産の事業をしていくのであれば、彼らは大切な「仕入れ先」である。そして物件の購入は、消費者がチョコレートを買うのとは違って、専門業者が材料を仕入れるのと同じだ。そのため「売ってくれてありがとう」「時間割いて来てくれてありがとう」という気持ちで業者さんと付き合い始めなくてはならない。

続いて「勤め人マインド」について。勤め人マインドは、まさに従業員としての立場、言い換えれば兵隊・兵卒の立場のマインドだ。兵卒というのは、指揮官の指示に従って行動する。逆にいえば、指示がないことはやらなくても良いし、むしろ指示を仰がずに行動したら叱責を受ける、という立場だ。多くの人は、学生時代から、そして組織に属する中でこのマインドを刷り込まれていくのであるが、一歩でも組織を出たらそのマインドでは生き残れない。組織を出たら、自分が指揮官、というか君主になる。右に進むのか、左に進むのか、前進するのか、後退するのか。全ては自分の考えの下、計算してリスクと天秤にかけて、ベストもしくはベターと思われる行動を取っていくことになる。勤め人マインドが染み付くと、このような判断を委ねられたときに、うろたえてしまう。組織に属す勤め人であれば、判断に困ったら上長に相談し、指示を仰げば良い。状況説明をすれば、上長が「こうしろ、ああしろ」と指示をしてくれて、それを実行すれば何の問題もない。もし仮に、その指示が間違っていたりしても、それは指示した上長の責任となるから、実行者たる自分が責任を感じることは少ない。また、勤め人であればもし損失が出たとしても、それは組織全体の財布が傷つくだけであり、自分のフトコロは傷まない。ゆえに組織にて兵卒をしていると、無責任で、他責な思考回路が醸成されやすくなる。この勤め人マインドのまま不動産事業に参入をすると、ひとたまりもない。不動産に限らずだが、事業というものはリスクと報酬が常に天秤にかけられる。その判断を、経営者はしていかなくてはならない。どこで損をして、どこで利益を得るのかを決定するのは、財布の持ち主しかいないのだ。ここでは赤字を掘るけど、こっちで倍以上稼ぐ、といった考えで取り組まなければならない局面は必ず訪れる。その時に、勤め人マインドの人は指示を仰げないため、どうしたら良いのか困ってしまう。これを避けるためには、常日頃から主体性を持って判断をする訓練をしていくことだ。「どうしたら良いですか?」と聞くのではなく「こういう状況なので、私はこうしたいと思いますが…」という思考回路で日々を過ごそう。考えよう。計算しよう。

勤め人マインドに関連するが「嫁ブロック」という障害がある人もまた多い。「嫁に相談してから決めます」とか「嫁が許してくれるかな…」という発言が出る人は、この嫁ブロック問題に直面しているのだが、実はこれは勤め人マインドと同根である。頼る対象が、上司ではなく嫁になっているだけだ。「嫁の許しを得なければ」という思考回路は、実は責任を嫁にも担がせようとしているのだ。もし仮に、うまくいかなかった時に「だってお前(嫁)も良いって言ったじゃん」というエクスキューズ(言い訳)を無意識に積もうとしている。この精神構造が良くない。少なくとも事業家のマインドではない。事業家に求められるマインドは、全ての判断の責任を、自分自身が持つことだ。良いことも悪いことも、自分の判断によるものだから、誰かのせいにできるものではないという覚悟というか、精神的な成熟が必要なのだ。勤め人マインドに染まりすぎると、このように自分で判断する能力と、精神的な胆力を失ってしまうため、気をつけたい。

そして本作でクローズアップするマインドがある。それは「1軒目が不安で買えない」マインドである。

勤め人マインドを克服し、お客様マインドも捨てた。さあ事業家として、物件を仕入れようという段になって、ネットで検索したり、不動産業者さんと内見をしたときに湧き上がってくる不安。そして見えてきてしまう不安ポイントの数々。これらに耐えられず、物件購入を見送ってしまうワナビーに対して、タケゾウ師匠は力強く答えてくれる。

まずは不安の解体と具体化である。不安を感じた時、立ちすくむのではなく、解体して、個別具体的にする。例えば「修繕費用が高そう」なのか、「客づけが難しそう」なのか。もしくは「利回りがでなさそう」や「自分で直せるかわからない」などだ。どこが不安で、何を解決すれば不安は無くなるのか、冷静に考える。そうすれば、自ずと対処方法が浮かんできたり、誰かに相談しようと思える。そうなった時、漠然としていた「不安」は個別具体的な「課題」となり、対処のしようが出てくる。家賃相場に対して取得費が高い場合には、理由を説明し指値を入れていくこともできる。

そして忘れてはならないことがある。それは「持たざる者」たる初心者は、不利な状況から始めざるを得ないということだ。そもそも百万円以内で売られている物件など、諸先輩方がいらないと思ったから残っているわけで、何らかの欠陥がある物件だ。しかしながらそういう物件から入っていくしかないのだという覚悟、これが要る。

これに対抗するための一本槍が、DIYリフォームなのである。

つづく

著・ヤコバシ

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