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7月5日(水):「PB4.0」の時代へ

先週の日経ビジネスには小売店でのPBに関する記事があり、昨今はPBが売場での存在感を高めて売場の顔になり、品質競争の時代に入っている旨を報じたものです。

本日はこれに関した話を少しばかり。

現在の状況は私のなかで「PB4.0」と位置付けて理解をしていますが、PBの変遷としては以下のような流れで今に至ります。

まずは1980年代に西友やダイエーがPBを扱い始め一定の認知につながったものの、当時は低価格志向が薄かったうえに、それらのPBはNBに比べれば品質面での見劣りがあったことは否めず、大衆の支持を得るまでには至りませんでした。

言わばPBの勃興期とでも呼ぶべきタイミングですが、この時はほろ苦い結果に終わってしまったわけです。

これが「PB1.0」と私なりに定義している時代です。

次にリーマンショック後の2008年には低価格志向がより鮮明になり、小売各社がこぞって強化をしたのがPBで、これはかつての反省を活かして「安かろう悪かろう」から「良いものを安く」のポジションを確立して、広く大衆の支持を得るようになったのがこの時期です。

2008年にはPBがヒット商品番付の横綱にもなったぐらいですから、先の1.0時代とはユーザーからの支持という点が決定的に異なります。

このようにPBが選択肢のひとつとして広く大衆に浸透することになったこの時期が「PB2.0」の時代です。

そして、2011年の後半あたりからは「安いものは極限まで安く」、同時に「徹底したこだわり品質も適切な値段で」といった形で、従来の画一的な価格帯であったPBから分化をし始めたのが、この「PB3.0」という局面です。

セブンイレブンの「金のシリーズ」に代表されるようにPBでも価格帯によって複数のラインナップが生まれてきました。

前述した高価格帯のPBは「PB3.0」の大きな特徴ですが、その流れが強まってきた背景には以下のような要因があったと思っています。

・「PB2.0」時代を経て、PBがマーケットにおける市民権を得るようになったこと

・消費の二極化が徐々に進行してきたこと(TPOでの使い分けも含めて)

・小売りの価格決定権が強まってきたこと

・人口減少時代に入って低価格戦略では成長が期待できないこと

そこから冒頭に触れたようにPBが売場の顔になり、品質競争の時代に突入した「4.0」のステージに入った理由としては次のような点が挙げられます。

・メーカー品の相次ぐ値上がりで、これまで以上にPBの支持が高まった

・「PB3.0」までの流れでPBの品目数が増え、売場に占めるPB比率が高まっていること

・PBから独自商品、ヒット商品が生まれるようになってきたこと

もはやPBなしに小売の売場が構成できないほどになっているから、PBの良し悪しがお店のイメージや集客を左右するだけに、PBでの品質競争やその開発に力が注ぎ込まれるのは必然といえるでしょうか。

歴史を振り返ってみると分かりますが、PBが存在感を高めてきたのは不況期やいろいろなものが値上がりする局面なので、当面は小売各社の売場でPBが重要な役割を担っていきそうです。

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