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6月23日(金):サービス・ドミナント・ロジックとしての体験農園

昨日のイオンのオーガニックPBの販売強化に続いて農産物に関する話題をもう少しばかり。

先般に日経MJで紹介されていたのは農家と青果仲卸が連携して企業向けの体験農園を貸し出す取り組みです。

枠組みは生産者(農家)が仲介サービスをする青果仲卸を通じて畑の一部を企業向けに貸し出し、企業は従業員などに農作業を体験してもらい、採れた野菜を買い取る形になっています。

農家としては畑の一部を貸すだけなので新たな投資は必要ないほか、借り手が野菜を買い取ってくれることがわかっている点は大きいですね。

コロナ禍では飲食店の営業時間短縮などもあり、食材の業務利用が急減して市場価格が低迷して生産者も大きな痛手を負ったのは記憶に新しく、先の枠組みのように相場の影響を受けない販売ルートの構築は生産者にとっても利点だといいます。

借り手となる企業は従業員の農作業体験もあれば、記事ではJリーグ加盟を目指すサッカーチーム「クリアソン新宿」の例では、選手やサポーターが一緒に野菜を育てて交流の場に用いるなど、活用の形は様々です。

今回のような一連の仕組みはサービス・ドミナント・ロジックの概念に当てはまります。

従来の農作物をつくって売る形は農作物(モノ)を単体で捉え、モノとサービスを切り離して考えて交換価値によって流通させていたのはグッズ・ドミナント・ロジックの概念です。

これに対して記事で取り上げられていた先の枠組みでは、農地や農作物といった物質的なモノを扱いながらも、それが貸し出しから生産、買取りまでのサービス全体で括られて一体化をしている状態です。

このサービス・ドミナント・ロジックのポイントはモノを単体で販売する交換価値とは違い、モノに支えられたサービス全体の使用価値、経験価値いフォーカスをしている点にあります。

顧客やサプライヤーとの関係構築、顧客との価値共創による新たな価値提案などが行われてます。

今回のサービスでも生産者は借り手と顔の見える関係を築いているし、仲介をする青果仲卸は借り手の企業に収穫した野菜をどう活用するかの提案などもしているそうです。

それによって借り手企業がステークホルダーとの良好な関係を築いていくことになれば、これは価値共創だといえるでしょう。

非常に面白い形だと思うので、これから少しずつ広がりが出ていけば良いなと思っています。

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