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サブリミナルで死んでいく(江西レイ)

関東旅行から実家へ帰ると歌集が届いていた。

江西レイさんの「サブリミナルで死んでいく」

素敵な表紙にわくわくが止まらない。なにせ、僕は江西さんのファンである。

ページをめくって、うわー!一筆箋にきれいな字で短歌が書いてある…

僕の本名から一文字とって短歌を詠んでくださっている…一生の宝物にしよう。お部屋に飾ること決定。

朴訥な言葉の中に見える切なさ。江西さんの短歌は御納戸色な気がする。暗い色なんだけど、しっかりとした色味がある。強い意志みたいな。そんな短歌たちの中から、特にお気に入りのものを三首あげる。(軽率に評をつけてしまった…)

*難易度の高い知恵の輪 戯れにいじっていたら外れてしまった

ーあるある!ですね。一生懸命はずそうとしてるときほど外れないんですよやつらは。なのにふいに、ちゃらんと外れてしまう。おかしい。なんとなく納得いかない。でも、うれしい。そんな感覚が、きっと悲しみから覚めるときもあると思った。かなしい、かなしい。けどふいにそれが軽くなる。おかしいな。かなしみから抜け出そうとあんなにもがいていたのはなんだったんだ。あの時間は。でもうれしいし、あとで考えてみるとそれもちゃんと必要だったことなんだって。そんなことを考えながら、最近知恵の輪やってないしやろうかな、と思いました。


*ばかだから二重螺旋とか分かんないDNAの味を教えて

ー二重らせん構造!DNA!(理系)でもDNAの味は考えたことなかったな…どんな味がするんだろう…そもそもDNAって…なんじゃらほい。そんな迷宮に放り込まれるような短歌でした。「ばかだから」がすてき。響きが柔らかいから、必要以上に卑下している感じがしない。いいなぁ。「ばかだから」って文字列を使ってみようかしら。「分かんない」も同様。かわいい短歌でもありますね。まるっこいイメージのある短歌。あー、いいなぁこれ。


*眠れない夜の数だけ横たわるビール瓶と羊の死骸

あー、目の下にクマができた青年が、布団の上で眠れなくて目をぱちぱちさせてる。横に転がるビール瓶と、羊の死骸。数えてもらえなかった羊たちだ、きっと。あるある。僕もよく羊殺してますね。ビール瓶、たぶんアサヒだろうなぁ…。青年がよくねむれますように。きっと羊、復活する気がする。死骸だけど。彼が眠れたら元気に部屋を駆け回って、きっとビール瓶を片付けてくれる。そんな夢を見ますように。おやすみ。


…妄想まがいですね。すみません。でもすっごい楽しい時間でした!ほんとにおすすめの一冊です。ぜひ江西さんのホームから。

江西さん、ほんとうにありがとうございました!

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