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後悔の滲みでる灯



不規則な波の音が遠のくたびに
怪しげな灯が弱々しくわたしを呼んでいる
唯一確信の持てることはこの波が
わたしを連れて行ってはくれないということ
風に向かい飛び続ける鴎を片手で捕らえ
嬉しげな顔でわたしに差し出す
力なく横たわるわたしの身体には
砂浜を這う無数の海蛆が向かっている
声を出そうと開いた口に飛び込んだのは
遠くで揺れていたはずのわたし
寄せては返す後悔の滲みでる灯

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