眺めの良い小さな部屋

細かな心を混ぜ合わせて
自らの口へ詰めたい
きつく結んだ靴紐を
解くことができないと泣いたから
ここは眺めの良い小さな部屋

消えてしまいそうな幻と
離すまいと泣くわたしは
微睡の中に柔らかな影を見つける
四つ角にある結び目だけを頼りに
曖昧で作られたその部屋が
力のないものだと思い知る

霞んでゆく視界が愛おしいのは
流れる景色をかき消すたびに
渇いた目元が激しく疼くから
どこか遠くで揺れる影が欲しい
わたしが幻になる前に

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