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太陽は好いているか

収縮する太陽に熱を帯びた頬を晒した
やけに騒がしい昼の街に降り立ち
大まかな見てくれだけを受け入れた
ほころびは彫刻刀で彫ったビルに
退屈な瞳をいくつか飾るだけで
思いがけず今年の夏の海に似ていた

ちょこまかと動く群れに写るのは
半分に千切れた痛々しい双子の女児
足並みを揃えるふりをしながら
汚れた革靴の踵を何度も狙っている
踏み込む度にじわりと滲み出る光が
来年の夏の海になるのか

慣れたものを好いているのと
慣れぬものを好いているのは
どこか似ていて苦々しい
太陽はわたしを好いているか

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