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前夜の病、後夜の夢

月が顔を出すまで忘れられた衣服は
波紋が消えるまで乾くことはない
ケモノの声だけが響く夢に
撥ねられた子と分け合う身体
前夜には後夜があり、
後夜には前夜がある

名誉のために残されたのは病
薬のように寄り添う不幸
しばらく会わないうちに
作り直された街にたどり着くのは
靴紐を結べぬままのわたし
煌めいた夢の星空は訝しげに
気の毒だなと無数の腕を投げ出す

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