世界にはわたしだけがすべて

「裸婦のような時間を掻い摘んだ生き方をしている」と聡明なふりをした
誰にも愛されない世界に嫌われた頭痛を誘発する光
異様な美しさを「女である」という言葉で片付けた野郎は
手の届くほどの高さから落ちた優しさで消えていった

漲るような揺蕩うようなしぶきを浴びるたびに泣いた
熱いとも冷たいとも言い切れないような外気に触れた時間
猫撫で声で呼んだ夜の群れに二股になった口づけ
並んでいる乳房に荒れた肌は負けを認めるたびに消えてゆく
望みもせずに愛を手に入れるふりをした

頂上まで上がりきった後悔の夜に聡明なわたしを世界は愛すから
世界にはわたしだけがすべて

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