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死に損ないの愛

暖かな日に終わるのならば月が浮かんでいてくれればいい
小さく裂けた唇に滲む赤が私たちに届く頃には
氷のように冷えていてそれらがうまく染み込むことはない
強く押しつぶされてしまった身体
やけにくっきりとした声を上げて笑う夜の雲
死に損ないの生き物と共にわたしの愛は腐っていくし
死に損ないのわたしと共に腐った愛は生きている
見上げた月に願いは届かないと知っている
見捨てた未来だけは容易く届くとも知っている

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