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カメラという機械の行く末
カメラシステムをCANONからSONYに移動すべきかどうか、色々と悩みながら考えたこと。結論からいうと、これからのカメラはソフトウェア。
カメラはハードでなくてソフト
10年ぐらい前、カメラアプリを当てて、いくつかのカメラメーカーさんと意見交換をしたころから「これからカメラはハードではなくソフト」と言い続けてる。
・マルチレンズでデプス撮った方がいいのでは?
・ピクセル毎の距離がとれると、切り抜き合成がリアルタイムにできる。
・超広角で光だけ大量にいれれば、望遠はソフトウェアでシミュレートできる
みたいなことを、昔から言い続けてるけど、あまりカメラメーカーの人には刺さらない模様。多分、物理カメラの多くのフィーチャーは下記みたいな展開になると思う。
レンズ画角
複数レンズ合成で超広角・超パノラマをつくり、そこからソフトウェアで望遠をシミュレートと思われる。求められるのはレンズモジュールの数か。
ISO感度
複数コマ合算で超ノイズ除去、超暗闇補正。
シャッタースピード
基本動画で前後コマを裏で記憶しとく。複数コマ合算類推で、超ハイスピード撮影も、超スローシャッターもシミュレート。ただ来るのは後半と思われ。
ズーム
複数レンズ・複数コマ合算で、スーパーデジタルズーム類推
ピント
複数レンズ・複数コマの合算で3Dシミュレート。あとからフォーカスも変えられるし、超ピントもいける。
調色
スタイルデータは機械学習であとからつけられるので、味付けは自由自在。過去の名機の質感はだいたい再現できる。ライカならではの味付け…とかは、二台カメラ並べて数百〜数千枚写真撮れば、機械学習できてしまう。
シャッターチャンス
瞬きとか笑顔は複数コマ撮って合体、一番いいのを採用。動画でシャッター押す前から撮っといて、過去も数秒引き出しつつベスト構図を抽出。
未来のカメラはどうなるか?
ソフトウェアがカメラのコアになったとき、「専用デバイスとしてのカメラ」はどこに向かうだろうか?おそらく90%以上の用途は、スマホに吸収され消える。
そんななか、差別化のキーワードは、「汎用デバイスとしては許容できないこと」だ。つまり、未来のカメラはソフトウェアを主軸にしつつも、「スマホでやるには重すぎる、デカすぎる、高すぎる、マーケットサイズが小さすぎる」何かになる可能性が高い。プロユースは、そこに投資をするのがよいと思う。
レンズモジュールをアホみたいに並べ、AI処理用のGPUをスマホ以上にのせ、必要に応じでクラウドと接続され、基本機能はサイクルでアップデートされる。電池とメモリは交換可能。カメラの未来は、そんなオーバースペックなスマホのようなものだ。場合によっては。月額課金制かもしれない。
おそらく21世紀のカメラは、「水彩画」や「油絵」を撮影できる。「この風景をレンブラントやゴッホの英霊が描いたらどうなるか?」といった機械になってるはずだ。
残念ながらキヤノンは、その世界には進めないと思う。彼らの競争性とビジネスはレンズ販売に依存しすぎてる。そこを壊さなければ、ソフトウェアの世界には進めない。既存カメラメーカーで唯一可能性がありそうなのはソニーだろう。彼らはカメラメーカーであり、スマホ用のカメラモジュールの大手であり、クラウドサービスやAIの知見もある。
撮影という行為自体、スナイパーライフルの狙撃のごとき職人芸から、と網漁や絨毯爆撃のようなものに少しづつシフトしていくだろう。
そんなことを考えながら、カメラシステムをキヤノンからソニーに引っ越した。もちろん、レンズはメッチャ投資してきたので、そう簡単には引っ越せない。
カメラの語源は、カメラ・オブスクラ(暗い部屋)というラテン語だそうだ。AIというブラックボックスが、新しい暗い部屋となる。そこに何かしら符丁じみたものを感じる。
滅茶滅茶痛みを伴うが、未来を考えるならそちらに行くしかない。痛いけど。
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