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8月観たもの読んだもの

『スパイダーマン:スパイダーバース』
映画。アニメーションとしてとてもいいと聞いたので、マーベルそんなだけど観るか〜〜と観た。
スパイダーマンって、能力がほとんどなくて、ほぼ普通の人間なのがポイントなのだな、と思った。
アニメーションはめちゃくちゃいい。スパイダーマンの動きと3Dアニメは相性が良さそう(実際のところ作ってて相性いい〜と思ってるのかはわからない…)。

脅威の部屋
ドラマ。1話目だけ観た。怖くて良い。
続けて全部観るには疲れていたので、また今度〜〜

『タイガー&ドラゴン』
ドラマ。3話くらいまで観た。いだてん観た人は、タイガー&ドラゴンじゃん!って思ったのか〜〜って思ったけど、やっぱりいだてんの方がリアルタイムで見られていたのでよかったとおもう。
あまりに時代の中で作っているので、ちょっと前になるだけで観づらくなる感じがあって、面白いけど途中でやめちゃった。

ジェイムズ・ティプトリー・ジュニア『愛はさだめ、さだめは死』
小説。冒頭に、おそらくこの本が出版された際の前書きがついていて、秘密のヴェールに包まれたジェイムズ・ティプトリー・ジュニアは男に違いない、など、彼の素性についてあれこれ推論されているのを愉快に読む。三年後の追記がついていて、実際には女性だったことについても書いているのが面白い。

『バクちゃん』 1巻2巻
漫画。こういうの読むと、読んでなんか感じた気になるだけというのはやめよ、と思い、裏側でブレーキをかけながら読みがち。結構現実だろうな〜と思う。現実として描くと酷薄すぎるものをフィクションのフィルターを通して別の描き方をするのはショックが苦手な人には届きやすくなると思うが、あんまり読んでて居心地は良くなくて苦手ではある。作品自体は良いと思うけど。

近藤聡乃『A子さんの恋人』全巻
漫画。家人が読み返してたので思わず読んだ。やっぱり面白い。4.5巻が特にいいね、という話をした。
多分もう4〜5回目に読むけれど、今までになくA太郎のことを考えながら読んだ気がする。よかった。

グレタ・ガーウィグ『バービー』
映画。観ていてあまりピンとこなくて、観終わった後に一緒に観た友人とあれこれ話した。フェミニズムの映画というよりは、自分に自信を持って生きようねという映画であるという話だな、と解釈したのだけれど(フェミニズムの話題に関しては、基礎の基礎だと感じるという話をした。しかも言語化されすぎている感じもして、観客が信頼されていない感覚がありあんまり舐めないでほしい、と思ったという話をした)、あれこれその後読んで、アメリカにおいて、キリスト教の価値観をもってしてこの映画を作ったのがヒットの理由として挙げられていて、それはわからなかったし確かにそういう面があるのかもと思った。
その批評。

クエンティン・タランティーノ『パルプフィクション』
映画。バービー観た後に、これがなんでそんなにヒットしてるんだ〜〜ってなって、納得がいかないという話をしていたら、なんか、近くでパルプフィクションかかってるよ、となり、良いものを観た気持ちを得たくて観に行った。やっぱり面白いか面白くないかというのは大切だ、という気持ちですっきり映画館を出た。
単純にショットの面白さとか、いかに観ていていい画か、みたいなことが大きいなとおもう。

グレタ・ガーウィグ『20センチュリーウーマン』
映画。バービーを観に行く前に観始めて、一旦止めて、間で『バービー』観て、最後まで観た。
作品として嫌いではないんだけれど、脚本の持つ男女の捉え方とか、物事の捉え方に結構自分と齟齬があって、細かいところで結構引っかかってしまう。モゾモゾしながら観た。

スパイク・リー『マルコムX』
映画。三時間あったのに全然知らずに観たので、観終わった後に、えっ思ったより時間過ぎてラァ、とびっくりした。
家人が『ドゥ・ザ・ライト・シング』を観て、やっぱりいいね、という話になったので、かねてより観たいなと思っていたマルコムXを一緒に観た。過激なイメージが強いからだとおもうが、日本ではキング牧師に比較して知名度が低い、というイメージがあり、私も例に漏れず、キング牧師の伝記は読んだことがあるが、マルコムXについては公演中に殺されてしまったということくらいしか知らなかったので観ることができてよかった。

ジョーダン・ピール『キアヌ』
映画。家人がジョーダンピールのYouTubeに激ハマりしていて、それで観た。キアヌが猫の声をやっている映画。くだらな〜〜〜というお笑いなので、ずっとくだらな〜〜と笑ってた。

マイケル・ムーア『華氏119』
映画。日本だと、一般にアメリカが結構ヤバい部分が多い国だということがあまり認識されていない気がするのだけれど、本当に、ひぇ、ということが多く、水道民営化をなぜしてはいけないかのやつだ……など、とにかくいろいろあった。
しばらくずっと、これの後も、アメリカがヤバいというのを感じる映画ばかり観ているわけだが、翻って日本はどうなの〜〜となった時に、でも方向性としてはヨーロッパの方向に舵を切るより、アメリカの方向に舵を切っている物事が結構多くて、それが嫌な感じなのだよな〜ということを考えていた。
利益の追求の正義を感じている人の多さと、生きるってのは楽しく生きるために生きたいよね、という感覚の少なさみたいなものを肌では感じていて、自分がいるコミュニティはどちらかというと楽しく生きる人が多いけど、自分が嫌いなので避けているだけで利益を追求している人も多いとおもうから、少し落ち込んだ。

マイケル・ムーア『華氏911』
映画。9.11を中心にブッシュについてを語ったドキュメンタリー。資本と政治の結びつきについてという面がかなりデカく、資本主義が突き詰められるとやっぱりいいことないな……と落ち込む。

マイケル・ムーア『シッコ』
映画。アメリカの保険制度についての映画。日本はマイナンバー保険証で国民皆保険が崩れるのではなど、議論されているが、本当にそれは避けてほしい……と思わせられる話で、そもそも保険に入れていない人もものすごく多いが、民営の保険に入れていたとしても、それで安心というわけではないんだ……という酷薄さがひどかった。
保険会社は、保険金を下さなければ下ろさないほど利益が出るので、保険会社で保険金をおろすべきかおろさないべきか判断している医者は、給付を却下すればするほど評価が上がるんだけど、それが原因で人が死んだりするので、医者にとっても、最悪な働き方な気がしており、メンタルヘルスがやられそうだった。(普通に働いている医者も、この治療をするといくら、この治療をするといくら、どうしますか?と聞いて、患者が払えなかったら治療を諦めて帰ることがあるようだったから、それはそれで現場で働きたくないだろうな……と思った)。

マイケル・ムーア『キャピタリズム』
映画。常に、資本主義の話をしている感じもするが(というかアメリカのことを考えると、除外して語れない)、サブプライムローンの時のウォール・ストリートについてのドキュメンタリー。
わざと選んでいるのもあるだろうが、金融がらみの人みんな嫌な感じで萎える。

金城隆一『記者、ラストベルトに住む』
書籍。『華氏119』を観たので家にある本を読んでみることにした。都市のリベラル層と中部のレッドネックと呼ばれる貧困白人層の間に乖離が生まれるイメージは持てたのだけれど、では実際にトランプ支持をした人々はどのような理由で支持しているのかという理由にはさまざまあって、それぞれにトランプに失望した場合もその理由が様々で、なるほどな、と思った。
30代くらいの人の同窓会で、すでに死んでしまっている同級生がたくさんおり、そもそものアメリカの貧困地域の過酷さがあった。

カート・ヴォネガット・ジュニア『スローターハウス5』
小説。なんとなく、カートヴォネガットを読むのを待っていて、いまかもしんない〜〜という感覚が湧いたので、ジェイムズ・ティプトリー・ジュニアの後に手をつけた。
読んでいてこればかりを読んでいたいと思う面白さだった。あとヴォネガットのことが好きになった。
時間の中を振り回されるという不条理の感覚と孤独さ、鳥瞰図的な視点から見た無力感、絶対的に変えられない運命という絶望。ギリシア神話周辺のこと読む時期とも重なっていたので、決まっている運命と一緒に生きることというテーマについてもぼんやり思った。
トラルファマドール星における本というもののあり方も面白かった。
p158、p195、良かったページのメモ。

『light house』
トーク番組。引っ越してテレビがなくなってから、あちこちオードリーを観ることがなくなり(というかテレビを見る習慣が全くなくなった)、ラジオもしばらく聴いてなかったのでなんとなくきおくれして、オードリーのANNも聴いていなかったけれど、流石にこれは観ようとおもって、配信日当日に全部観た。
少し前に、自分が聴いていた頃に若林が悩んでいそうなことが、これによって前に進んだんだなというのがよくわかって、ひさびさにオードリーのANNを聴いた。星野源については、そういう悩んでいたようなことは自分の中で解決されているのだなというか、公の場で自分の内側を開かないということの徹底具合を感じたような感覚があった。わたしが星野源のラジオを一番高頻度に聴いていた頃は、ちょうどライブツアーの終わった後か何かだったような気がするとぼんやりした記憶を探りながら、その頃にいいなと思っていた語り方とはまた、最近のラジオ含め変わっているな、と思っていて、そりゃ人なのだから色々な波があるよなと思う。
ラジオ番組は、ずーっと聴いているリスナーだけがそのパーソナリティの細かいテンションの変化や歴史を知ることができるというすごいものなんだよな、とおもいながら、『lighthouse』を聴いていた(観ていたというより聴いていた)。

タカハシノブユキ『パラレルリープ・シンドローム』
漫画。友達のおすすめ。めっちゃ四畳半だよ!って言われて読んだらほんとマジで四畳半って感じだった。
絵も割と好きで、テンポ良くて良かった。

『オッドタクシー』
アニメ。初めて観る家人と一緒に観る。
ペットショップだって〜と話す家人に曖昧な返事などをしながらネタバレしないようにしないと……と緊張しながら観た。
二回目だと、あー、ここも、ここもか〜というシーンが結構あり、面白い。
あとは、複数本のストーリーラインが、ショット毎に切り替わってどんどん流れていくというテンポの良さでどんどん引っ張られて観てしまう面白さに感嘆した。やっぱりあの時期みんな観ていただけあるおもしろさ。各キャラクターの持つこういう人、現実に本当にいるな、と思える人間の愚かしさの造形も、改めて観ると、誇張されすぎず、しかしマイルドにもなりすぎない、緊張感のあるラインに留まっていて、その力加減がすごく良い。

ブレヒト『アンティゴネ』
戯曲。ソポクレス版と読み比べをしている。かなり面白い。どこをどう脚色したか読み取りながら、もっとブレヒトの作品読んでみて、その出癖とかも把握したくなった。

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