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7月観たもの読んだもの

ケリー・ライカート『オールドジョイ』
映画。すごくいい。
キャスティングの妙。と思いながら二人の顔を見続ける。始まり方の、電話や会話からかなり良くて、会話の楽しさと音の楽しさに牽引される。ヨラテンゴの音楽がめちゃくちゃよかった。
朝食の電話のシーンと温泉の一部始終が印象的でいいシーンだった。

『須賀敦子全集2巻』
エッセイ。ずっとのろのろ時間をかけて読んでいる。
気が向いたら手に取るのを繰り返していて、いつも同じ感触が読みながらにして残る。
いつも、喪失や寂しさを感じるのだけれど、それはエッセイに書かれていることの大半が、イタリアの記憶であり、それは必ず著者のイタリア人の夫が先立ったということを思い起こさせるからなのだと思う。
著者の夫が亡くなっていなければ、これらのことは夫との間で話されたことなのかもな、と「ヒヤシンスの記憶」を読みながら思った。
ぬるっと3巻に入って、またじわじわ読んでいる。

arlo parks
ライブ。よかった。
キュートだったし、ライブのアレンジも良くて楽しかった。MCもたくさん話していた。
Carolineまでの盛り上がりが特に良かった。
Collapsed in SunbeamsのロンTだけ、始まる前に買えばよかった〜〜と思った(ライブ後売り切れてた)。

ケリー・ライカート『ウェンディ&ルーシー』
映画。こういうの観ていてずっと居心地の悪さや、ぎゅ、となる感じがあるけれど、裏側にこれを描いている人がいるというほっとする感じもあって、それを感じるのは傲慢なのだが、しかし、観ている時の緊張をそこに寄りかからせながら観るなと思った。
映像の感じはずっと好みだったし、全体としてかなり好きな作品だった。しかし目立って好きなシーンはないかも。
『オールドジョイ』は、どちらかというと、観ている心地よさが前に出て、観ていて楽しいけれど、こちらは『オールドジョイ』の終わり方に近いラインのような感覚があって、こういう負荷のかかる作品も割と好みなので、よかった。
最初に軽く犬がいなくなって、そのあと本格的にいなくなる、というながれと、ずっと走っている電車と、全然わざとらしくないがシンプルに構造ちゃんとしている。

ナタリア・ギンズブルグ『ある家族の会話』
小説。須賀敦子のエッセイで言及されてたので読み始めた。確実に好きなやつ。

『君たちはどう生きるか』
映画。観てきた。あちこちにぶわぶわと感想を書いているが、メタ的に観ざるを得ず、それによって悲しくなったりなんだりした。
アニメはやっぱり動きだよ!!と思う。

SPARKS
ライブ。まじで元気なおじいちゃんズだった。
楽しそうだし楽しかった。
帰りに観たみんなで麗郷でご飯を食べた。

フジロック
初フジ、前日インの3日通しで参加。
前夜祭
・JATAYU
めちゃくちゃ良かった。本人たちの顔が見えるくらいの範囲で近づいて踊りながら聴いた。
馴染みのあるフレーズと、馴染みの薄いインドっぽいリズム感の具合が心地よく、思っている展開と違う方に行くのがなぜか気持ちが良くて、楽しかった。
会場もすごくこの音楽に対して呼応するように盛り上がっていて、それがステージの上にも伝わっており、演者もワクワクしていたのが良かった。
・DJ MAMEZUKA
これから先の3日間が楽しみになるDJだった。
1日目
・SUDAN ARCHIVES
音源を聴いていた感じと違くて、こんな感じか!!ってなった。思ったより肉食獣然としたパフォーマンスだった。音源の方が声が好きだったけど、ライブを見て理解が進んだ感じはあった。ケルト音楽っぽいフレーズ良かった。
・CORY HENRY
最高だった…。一番良かった。リハから観ていて前から6列目くらいだったのだけれど、もうずっと踊っていた。
多分ゴスペルっぽいのとか、ファンクとかジャズとかが生で聴くのに際してかなり好みなのだと思う。
ずっと踊って興奮していたので動画を1回も撮らなかった。本人もめちゃくちゃ楽しそうだったことが、より楽しさに拍車をかけた。
3日間通して観た中で、(観客であるという感覚よりも)演奏している音楽の中に招き入れてもらえる感覚がかなり強くて、それが良かった。
・YO LA TENGO
座って後ろでのんびり観た。のんびりの曲の方が好き。
・THE STROKES
あまり思い入れがなかったので途中から遠くから観はじめた。めちゃくちゃ音源と同じ再現クオリティだったので、すっご〜と思ったのと、声がかっこよくて、よ〜〜となった。クールだった。
2日目
・JATAYU
ビールのせいで最前にいたのに気持ち悪くなり途中で抜けてしまったのが悲しい。負け惜しみではないのですが、前夜祭の方が観客との呼応が強くて盛り上がった感触があった。
でもどちらにせよめちゃくちゃうまかった。あと、めちゃくちゃ興味が湧いたので家に帰ってから一番調べている。
・TESTSET
途中から。うめ〜と思ったが、わたしの予習不足があったので、そのうめ〜をその場で楽しむスタイルとなった。声がぱりっとしている。
・CORY WONG
ちょ〜〜良かった。結構前で観た。
リハから観ていたのだけれど、リハもめちゃ良かった。ずっと音が切れないので延々踊りまくることになり、ぐちゃぐちゃになる。
パフォーマンスとしてのパッケージの強度がすごく高くて、CORYWONG自身のギターの魅せ方や、それぞれにソロを振っていく感じなど、観客としてめちゃくちゃいいものを聴いている!!という感覚が強かった。あと、ホーンめちゃくちゃ気持ちいい。
ベストアクト級なんだけども、個人的にはその音楽の中に招かれているか、音楽によってもてなされているか、の感覚で、音楽の中に招かれる感じのあったCORY HENRYの方に軍配が上がった。
でもマジで本当に良かったので絶対にまた観たいよ〜〜と思った。
・LOUIS COLE
噂には聞いていたけれどコーラスのガールたちがどうにも……という感じであまり好きになれず。
・TSHA
家人が最も楽しみにしていたのだが、DJではなくバンドセットでやってくるというのを聞いて、ムムム、となっていたアーティスト。
ムムムが的中し、DJが聴きたかったね……となってしまった。
・ROMY
もう、かなり眠気の限界ゾーンに入っていて、半分くらい寝ていたのだけれど低音に突き動かされてダンス。途中で眠すぎて、家人と友人を置いて寝に帰ったけど、元気だったらもっと踊りたかった〜
3日目
・never young beach
これは、聴いたにカウントしてはいけないとおもうが、キャンプサイトに流れてくる音楽を、椅子に座ってのんびり聴いた。気持ちがいい。
・BALMING TIGER
音源は3分の1くらいの曲が好きかもなという感じだったんだけど、ライブはそんなに好きな方ではなかった。なんとなくアイドルっぽかった。
・JOHN CARROLL KIRBY
感情の面でいくと、これがベストアクト!
家人が好きなため家でよく聴いているのだけれど、それによって会社で仕事中とかにもよく聴くようになったアーティストで、ぼんやり好きだな〜というテンションだったがめちゃくちゃよかった。
単純に生でフルのバンドセットで聴くと、音がめちゃくちゃ気持ち良いということがまずあって、ライブとしてすごく盛り上がっていた。
そして、JOHN CARROLL KIRBY自身が、このライブのために曲の構成を考え、何を話すか考え、何を演奏するか考えてきていたということにくらっとしてしまった。愛してるって何回も言っていたけれどそれがライブの端々に形として現れていてそれを受け取る喜びがあった。
特に、MCがほとんど日本語だったのだけれど、それは日本に来たのでファンサービスで日本語を話しているというよりも、自分が伝えたいことをより伝えるために日本語を使っているという感じがして、その切実さや言いたかったことの重たさにぐっときた。YMOがめちゃくちゃ好きな友達は、ちゃんとこれを聴けているだろうか、と、ヤキモキしながら踊って聴いていたのだけれど、終わった後に無事に友達も最初から観ていたことがわかって、喜んだ。
・BLACK MIDI
前の方で観た。あまりはまれず。
音圧めちゃくちゃあって、ドラム強!!!みたいな楽しさはあったけれど、生で聴いてめっちゃ楽しいという感じは薄かった。友達の感想を聞いて、自分がわかっていない部分もたぶんにありそう、と思う。
・FKJ
トラブルが続いて大変そうだった。これが感想の1番最初に出てきてしまうのが悲しいところだけれど、結構な回数トラブルで中断してしまっていた。
生で聴くのも楽しかったけれど、家でのんびり楽しむ方がいいかも。3日目の疲れた身体にはなかなか厳しかった。
背景の動画が、楽曲のイメージと少し遠く、思ったよりサイケなのが面白かった。
・LIZZO
疲れ切ってしまったのと、きゃりーをまぁまぁちゃんと観たかったので、少し後ろの方から観た。
それでも、すごく多い人数の前でやることが前提の立て付けなので結構楽しかった。遠くからでも衣装が派手でビッグなのでよく見える。
前で観たかったな〜〜と、実際見ても少し思ったので、そこは少し後悔。
それにしてもバッチバチのポップスターだった。ドラァグクイーンが好きなので、逆算的に好きだ〜という良さと、ドラァグクイーンたちはこれに憧れてるのね〜〜という理解が進んだ。
・きゃりーぱみゅぱみゅ
きゃりーのファンめちゃくちゃたくさんいた! 2年前くらいに一度生で観ていてめちゃ楽しかったのと同じく、めちゃ楽しかった。
LIZZO観ながら、日本人じゃあできないな〜〜と思ったけれど、きゃりーはかなり日本のアーティストの中でその領域に近いということを圧倒されながら感じた。ノリ方は好きな方ではないんだけど、でもめっちゃ楽しかった。きゃりーぱみゅぱみゅはかっこいい。
・ジンジャールート
良かった〜〜。めっちゃ完成度の高いパフォーミングアーツじゃん〜だった。番組仕立てで単純にパフォーマンスとしてめちゃくちゃ楽しいし、音楽も良くって、めちゃ踊った。よいフィナーレ。

フォークナー『サンクチュアリ』
小説。フジロックの間(特に風呂に並んでいる間)読んでいた。面白い。短編だとごろりとした感触に読み進める難しさを感じながらその切れ味を楽しむ感じが強かったけれど、長編だと結構読んでいるうちに引っ張られる感覚が出てきて前のめりに読める。
比喩表現が巧みだな、と前は思わなかった感想を思って読んだ。

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