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4月読んだもの観たもの

川上未映子村上春樹『みみずくは黄昏に飛びたつ』
インタビュー。読んでいると、むむむむ書く……!!!となる。なんとなく、一人でものを考える時間が足りないかも、という気になるのと、書きたいが今はもう少し読むことのほうが必要という感覚があるので4月はたくさん本を読みたいな。
あと、かなり川上未映子の気合が入ってていい。すごい気負って準備してきているのだろうなという感じがして、村上春樹とのトーンは全然違うんだけど、でも、ガンガン聞くのでやっぱりそこから何かは引き出されていて、それが面白い。あと『職業としての小説家』は端から端まで、村上春樹の中で完結して書かれているので、形として綻びがなく真顔な感じがするけれど、川上未映子がつっこみながら話をすることで、そこの揺らぎの感じとかがみえて、面白かった。
村上春樹の作品は読むとすごいなとおもうけれど好きとは言いがたくて、本人もあまり好きではないのだけれど、これを読みながら家人と話していて、なんとなくその忌避感の根っこがわかった。その後から、そのポイントがくっと浮き上がって見えてしまってちょっとやんなっちゃったので、ポテトチップスの残りをザラザラっと食べるように読んでしまった。

アゴタ・クリストフ『文盲』
自伝。面白かった。悪童日記、ふたりの証拠、第三の嘘の風景を思い出しながら読む。こういうぐぐ、とくる強さみたいなものも、読んでいる楽しみの一つにあるなとおもう。自分にかけるものではないのだけれど、読むものとしてはすごく好きだとおもう。佳作なのが寂しい。読んでいて、苦々しいという気持ちになるようなもの、割合に好きなのだなと思う。
あと、風景を頭に浮かべながら、どこか、『ミツバチのささやき』みたいな雰囲気を思い浮かべていた。

町田康『リフォームの爆発』
本。げらげらげら。
どうして縦長のリビングダイニングが嫌なのだろうか……と思ってたけど「ほら映画とかでトレーラーハウスみたいな、廃バス長屋みたいのあるじゃないですか。なんか、あんなんに住んでるみたいな感じになるんすよね。ピンクフラミンゴとか」のところで、ゲラゲラしちゃった。ピンクフラミンゴ、みたことないけど、メチャクチャな映画なのは知っているので、そんならば嫌だろうと納得した。

『紛争でしたら八田まで』1〜10巻
漫画。ノリで買った。この漫画の建てつけの都合で一つの土地に費やすページ分量が少ないゆえ、1作品かけてゆっくり語られるようなその土地が抱える問題がさっくり短いストーリーにまとめられている。どうしても展開はご都合、情報量漫画になるな……と思いながら読んだ。

『スイス・アーミーマン』
映画。え〜うそ〜!は〜!ってなった。
あんまり好きな感じじゃなかったので、エブエブも苦手かもな〜と思った。

『短篇コレクション1』
河出の池澤夏樹個人編集世界文学全集のやつ。これがすごい精度でピックアップされているので、めちゃくちゃいい。と、言いつつ図書館で借りて途中までしか読めていないが、やっぱりラテンアメリカ文学の短篇すごくいいなと思った。
あとは、短編の鋭さと一口に言っても色々あるなぁ、というのがすごく学びになる。
コルタサル「南部高速道路」
ええ〜〜みたいな設定の具合がいい。体調が悪くなったり、死がちらつく辺りと、終わり方が好き。
パス「波との生活」
オクタヴィオパスってこんな感じか〜と思った。嫌いじゃないけどめちゃ好きというほどでもないかも。
マラマッド「白痴が先」
設定は置いておいて、語り口の具合が良かった。でも設定も、短編じゃないとありえない類で美味しいやつではある。
ルルフォ「タルパ」
めちゃくちゃ好きなやつだった。フアン・ルルフォ、よさそうなので、短編集を買った。
張愛玲「色、戒」
いい! 終わり方も良かった。編者前書き的なのがあるのだが、そこにあるように、長編でたっぷり、とか映画2時間でたっぷり、でも描けるがこれが短編であるというのがまた美味しさの一つ。
イドリース「肉の家」
めっちゃこれも好きだった。イドリース、訳されている作品が少ないのが悔やまれる。肉の家、というタイトルも含め、かなり好きだった。
ディック「小さな黒い箱」
これ読んだ気がするな……と久々読んだ。
アチェベ「呪い卵」
風景がプワーンと広がる感じの短編だった。
金達寿「朴達の裁判」
技量があってものすごく面白い短編だった。韓国の作家だけれど、日本語で書かれたもの。物語の時代は、日本占領下ではなく、その後の朝鮮戦争の時代で、そのことは直接的に関係を持たないが、それ自体もこの作品を味わうに一つ大きな役割を果たしている。主人公は間の抜けて陽気ななりをしたようでいて、その実、ゴロリとして重たくて鋭いところがあり凄みがある。本作自体もその主人公似た雰囲気を持っていて、読みやすく面白いながらその重みに慄かされるところがある(それは作品自体の語り口に対して描かれている事象の重たさや、ところどころ見える言外に含まれた価値観などでもあるし、また、所々、漢字で書かれるべきようなところがひらがなで書かれていて、そういうことがもたらす柔らかさが、逆に鋭さであるというところでもある)。

『天才バカボン』
漫画。ハンタイのサンセイなのだ!
(家に、すごい歯抜けである)

アベツカサ 山田鐘人『葬送のフリーレン』10巻
漫画。アッ、ア〜!めちゃくちゃいいところで終わっちゃったよ〜〜。9巻の話を忘れていたので読み直してから、多分10巻中に片がつくよなと思って読み始めたら違った。ぐぬぬ。

寺尾隆吉著『ラテンアメリカ文学入門』
新書。ラテンアメリカ熱、再燃の兆しがあり、というか、マルケスを読み直したいな〜、とか、そういうあれこれをやっているうちに、そういやこれ読み直したいな〜と思っててをつけた。
前に読んだ時から、寺尾さんが話している動画をいくつかみたり、何作か短編を読んだ作家が微々、くらい増えたので、前より具体的な感覚を持って読めた。最後の年表便利だ〜〜と思いながら整理することにした。

島田雅彦『100分de名著 ソポクレス オイディプス王』
書籍。ギリシア強化月間だぜ!って気持ちで読んでたけど、筆致が微妙だ……となる、ところどころ賛成し難い。おそらく100分de名著のテキストなので、というところが大きかろうが、お行儀が良すぎていまいちこういうのは苦手なんだよなぁ……と思う。
世界史の本なにかしら読みながら、背景知識入れて読んでいったほうが、ギリシア神話良さそうというのはなんとなく感じられた。

六内円栄『ディスコミュニケーション』8.9巻
漫画。毎度訳がわからなくなってしまうので、8巻を寝かせていたらしい。そしたら、新展開に入ったので、いままでのわけわかめ〜の状態をある程度投げたまま読めるので、ほぇ〜〜となりながら読んだがまた難しい…!! 流れで読まないと訳わからなくなってしまうが、色々な制約やギミックが話を面白くしていてたのしい。

イーリアスとか、ソポクレスの戯曲とか読んでいる。
あと、バルガスジョサのマルケス評『神殺しの物語』が寺尾隆吉先生によって、待望の翻訳がされたので、その翻訳記念イベントも視聴した。ラテンアメリカ文学をやるなら、フォークナーを読め!と言われているらしく、やっぱりフォークナー読もう……と思う。

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