【グラフィックデザイン】~シェイプの読み取りやすさを考える~

アニメーションやモーショングラフィックスでは、1カットあたり3~5秒程度しか表示れません。1秒しか表示されないカットもあることでしょう。

短い時間で、1つの画像から瞬間的にメッセージを伝えるためには、「直感的に読み取りやすい画像かどうか」を考える必要があります。

視聴者に「直感的な理解」をしてもらうためには、読み取りやすいシェイプを作ることがとても重要となります。


シェイプの読み取りやすさとは?

まずは下の画像をご覧ください。

この画像を瞬間的にみて、「痩せた人と太った人/ダイエット/体型…」などについて示している画像だと思うはずです。

当たり前ですが、性別とか年齢、国籍…などについて言及された画像でないことは確かです。皆さんはそれぞれのシェイプの違いや特徴で、この画像からメッセージを受け取っています。

もしも、このシェイプが下の画面のように、曖昧であったならどうでしょうか。
見る側は「何を示した画像なのか」を読み取るまで時間がかかったはずです。
(そもそも読み取れない。)

このように、読み取りやすいシェイプを作るということは、視聴者が、作り手からのメッセージを直感的理解するための大切な要素になるのです。


読み取りやすいシェイプを作るには?

それでは、画面づくりをしていく上で、どのような点に気を付ければいいのでしょうか。

次の例では「会議しているシーン」を例に作っていきます。
まず必要なモチーフを、とりあえず画面に入れてみましょう。

人・グラフ・ボードを入れてみる。

…しかし、この画面を初めてみた人は、「会議している」とわかるでしょうか?
もしこれが、写真表現であれば、色や質感、服装、表情…などから、分かるかもしれません。

ただし、直感的に理解してもらうことは難しいのではないでしょうか?

では、どうすれば良いでしょう。


①特徴的なシェイプを見せる

1つ目は、モチーフが持つ特徴的なシェイプを見せるようすることです。

ゾウさんの特徴は鼻です。
誰も尻尾を見せる人はいませんよね。

最初に作った画面では、ボードや人物のポーズの特徴が曖昧で、状況を読み取ることは困難でした。

調整をしてみましょう。

調整した画面

読み取りやすい画面を作るために、工夫したことは2つ。

① 身振り手振りのシェイプをはっきりさせることで、話し合っている様子を明快にする。
②ボードの脚を見せて、何にグラフが描かれているか明快にする。

視聴者は、「わかりにくいこと」や「曖昧なもの」に対して不快感を感じます。
画面の中では、「何が起きているか?」を明快にするために、モチーフの特徴的な部分を明快にし、直感的に理解させるようにする必要があります。


②与えるべき情報の把握

上の画面の調整で、最低限「何が起きているか」は、視聴者に見せられていると思います。ただ、このカットだけを初めてみた人に対しては、もう少し情報を加えたほうが親切なんじゃないか?と考えたので、要素の追加をしてみました。

「この人たちはどんな人?」という情報を与えようと考えました。
その「誰が?」という情報を見せるために、服装の特徴を入れてみます。
この場所が「オフィス」のような場所だということが視聴者に伝えられます。

映像表現では、必ずしも1カットに全ての情報を入れないといけないわけではありません。なので、制作者はカットごとに伝える情報をコントロールする必要があります。

例えば、「これはホワイトボード?それともディスプレイ?」という情報をこのカットで伝える必要があるのであれば、もう少し後ろのボードのシェイプを検討し直す必要があります。

特に必要なければ、この時点では蛇足かもしれません。


③明度計画で情報ほ優先順位をつける。

また、画面の中のシェイプのどこにコントラストを付けるかによって、視聴者に伝わる情報の優先順位も変わってきます。

「誰が何しているか」を優先的に伝える画面。
「何について話しているか」を優先的に伝えている画面。

*こちらの記事も併せてご覧ください。


最後に

今回は、視聴者が直感的に理解できるような画面づくりにおけるシェイプの役割を記載させていただきました。

短い尺でも読み取りやすい画面を作ることで、視聴者への伝達度も変わってくるはずです!皆さんの制作のヒントになれれば嬉しいです。

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