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色と匂いと命

染織家の志村ふくみの「語りかける花」(人文書院)の中に、
「青味の紫は、粋で繊細であるが、どこか不安げであり、赤味がちの紫は情が厚く、野暮にもなれば、格調高い古代紫にもなる。すべてこちら側の微妙な心情の反映である。」という文章がありました。

これは、著者が紫根で色を染め上げてゆく段階での話しですが、私も、青紫のすみれの方が繊細でずっと好きだったけれど、最近、赤紫のすみれの温かさも良いなあと思っていたので、このすばらしい表現を読んでなんだかうれしくなりました。

万葉の時代の「匂ふ」(色のこと)についてのお話しもあり、日本語の奥深さを思いました。

「かつて私は桜の幹に宿した生命の色をいただくといったことがあるが、すべての植物は固有の匂いを宿し、色と一体になって染め上がってくる。その匂いが色によって昇華された時、はじめて晴れやかに匂い立ち、美しい色をこの世にとどめる役を果たして消えてゆく。
私は紫根の、もみ出された白い根ののこるなきがらをみつめて、貝塚のように、植物の葉や皮や根の塚をたてねばならないと思うのである。」

何度読んでも感動します。

「匂い」は生きている。色を残して消えていく。
まるで私たちの命と同じですね。
消えていくからこそ美しい。

香り好きの友人に教えてもらった、香りスタイリストの杏喜子さんの言葉
につながります。
「ディフューザーで、ずっと同じテンションで同じ精油を香らせていると、脳が疲れ、慣れて耐性ができて、香りが効かなくなる。アロマテラピーは瞬間の香りを瞬間的に効かせるためのもので、消えてなくなっていかないとダメなのです」

ケミカルな香りはいつまでも残りますが、生きている本物の香りは瞬間的ですよね。そうでなければだめという言葉が響きました。

香りでうつ状態が軽くなったという知人もいます。
匂いは脳に直結して、しかも脳はだまされやすい臓器ということなので、
自分好みの「匂い」で、日々の暮らしの瞬間、瞬間を楽しめるといいですよね。

そして色も楽しみましょう。着るものやお花などで。
先日、自分では絶対選ばない鮮やかな色の花束をいただきましたが、この時期とても温かい気持ちになれて、部屋の中に鮮やかな色があるっていいなあと思いました。



それでは今日も肩甲骨まわりをほぐして、深い呼吸を意識して、
自分を生かしていきましょう。

あなたにうれしい瞬間がたくさんありますように♡

読んでくださって本当にありがとうございます。


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