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朝は木犀、夜は虫のね

今朝、窓を開けるとふぁっと金木犀の甘い香りが広がりました。窓を閉めた部屋の中でも楽しみたくて、一枝とってきました。普段は、すっかりその存在を忘れている金木犀ですが、この香りで、本格的な秋の訪れを感じますね。

今読んでいる「香りの力 心のアロマテラピー」(熊井明子 春秋社)の中で、著者の熊井さんは金木犀の香りを
「ふくよかな甘さの奥にほのかな渋さを秘めている」
と素敵に表現されています。本当にその通り!

病気の治療中、動物性のものが、全く食べられなかったので、植物性のものをできる限り楽しみました。その中で、この金木犀の花のお茶も試してみましたが、とても良かったです。
先生のおすすめは、花を干して、はちみつに入れたり、そのまま花だけを、
ハーブティーのようにお茶にしていただくというものです。
中国では、桂花茶と呼ばれているそうです。

金木犀の花の香りで、とてもリラックス効果がありますし、不眠症や胃の炎症などにも良いとのことでした。

金木犀が咲く頃は、虫たちも、そろそろおこもりの準備ですね。

最近、日が沈んでから、静かに過ごすことができていて、「虫のね」が聞こえてきます。秋をしんみり感じて、ほんと言葉にできないほど良い!
枕草子の「秋は夕暮れ・・・・日入りはてて、風の音、虫のねなど、はた言うべきにあらず」という言葉が自然に出てきます。

高校の古文の授業は退屈でしたけど、今なら清少納言とお友達になれるかもと思います。

昨日、外国の方と話す機会があって、この「虫のね」を趣があると感じるのは、日本人独特の感覚なのかなと思いました。誰に習ったわけではないけれど、それを心地よいと思う心って、不思議ですよね。

でも秋は、次々に台風が来て、気圧の変化で心も揺れがちです。先ほどの熊井さんの本に、「放浪記」で知られる林芙美子の詩がのっていました。
「花のいのちは短くて 苦しきことのみ多かりき」
私は、有名なこの一節しか知りませんでしたが、その前後がとても良いのです!ご存知の方もおられると思いますが、元気になると思いますので、ご紹介します。これは、翻訳家の村岡花子に宛てた手紙の中に書かれていたそうです。

風も吹くなり
雲も光るなり 
生きている幸福(しあわせ)は
波間の鴎の如く
縹渺とただよい
生きている幸福(こうふく)は
あなたも知っている
私もよく知っている
花のいのちはみじかくて
苦しきことのみ多かれど

風も吹くなり
  雲も光るなり

今日も、胸を大きくひらいて、深い呼吸を心がけ、
笑顔をふやしていきましょう。

読んでくださって本当にありがとうございます。


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