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#flierbooklabo 宮林隆吉さんと読書会をした!

こんにちは!本の要約サービスflierの読書コミュニティ「book labo」メンバーのはりーです(^^) book laboはflierが運営するコミュニティで、2019年3月から要約を使った読書会を隔週で行っています。このマガジンはbook laboのメンバーが自由に書いている記事で、今回はメンバーのはりーがお届けしますよ~。

では早速、2019年9月11日に実施したbook labo DAY14をレポートします!

なんと今回も著者ゲスト会!!宮林隆吉さんからのお話を伺いました!

前回に引き続き、なんと今回も著者ゲスト会でした!book laboはflierの要約を使った読書会で、不定期に著者の方をお招きする回があるのですが、前回から連続で著者にお越しいただくというスペシャルな回でした。
まず宮林さんから著書について前提となるお話をしていただいた上で、メンバー同士で議論をし、その中で挙がった論点や質問をまた直接宮林さんにお聞きできる…という贅沢な時間を過ごすことができました。
加えて、文面だけでは分からない情報(著者の方の実際の声や仕草、表情など)も知ることができ、一冊の本について多面的な理解を得られたので、本当に貴重な機会でした。

今回は宮林さんの著書『経営戦略としての異文化適応力』についてお話いただきました。
この本はオランダの国際経営・組織心理学・人類学の教授であるヘールト・ホフステード博士が考案した「6次元モデル」をベースとしながら、宮林さんと共著者の宮森千嘉子さんが今までにビジネス現場で学んだ「”文化”に関する気づきを、余すことなく共有」するという本です。
現在宮林さんは、日本でまだ知られていない画期的なマーケティング理論などを海外で発掘し、国内でも普及させるというお仕事に携わっているそうで、実務で関わった多くの国々の方の興味深いエピソードをたくさん伺うことができました!

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「ホフステードの6次元モデル」とは?

前置きが長くなり恐縮ですが、念のためホフステード博士の「6次元モデル」 について簡単に説明します!ご存知の方は読み飛ばしてください。
(理論の背景など詳細な説明は是非、本で読んでみてください^^ とても面白かったです!)

今日では”グローバル化”という言葉が社会に浸透して久しく、大手企業の海外企業買収などのニュースも度々見掛けるかと思います。そして実際に他国の方と働いてみて、大きな価値観の違いに「えっ、なんで?!」という驚きを感じた方もいらっしゃるのではないでしょうか?

ホフステード博士は、いわゆる「文化の違い」と呼ばれるものを世界で初めてスコア化したすごい先生です。
そして「ホフステードの6次元モデル」 とは、人間社会において普遍的であると考えられる下記6つの次元をもとに、国の相対的な文化の違いを0から100までの間でスコア化したものです。

①権力格差 ※階層を重視するか、平等を重視するか(親と子・上司と部下など自分より権力がある人との関係が力の弱い人にどのように捉えられるのか)
②集団主義⇔個人主義  ※自分が属する内集団の利益を尊重するか、個人の利益を優先するか
③女性性⇔男性性  ※競争社会の中で大事な人と一緒にいる時間を大切にするか、成功する・達成して地位を得るということを重視するか
④不確実性の回避が低い⇔高い ※不確実なことや未知のことを脅威と捉えるか、「まあやってみよう」とあまり気にしないか 
⑤短期志向⇔長期志向  ※将来に対してどう考えるのか
⑥「人生の楽しみたい」という気持ち(「人生の楽しみ方」)に抑圧的⇔充足的  ※人生を楽しみたい、楽をしたいという気持ちを抑圧し悲観的に考えるか、その気持ちを充足させポジティブに考えるか

それぞれの次元ごとに各国のスコアを見て「へ〜そうなんだ」と感じるのはもちろん、ある国の各次元の組合せを見ながら実際の事象を考えていくのは大変興味深かったです。

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メンバーそれぞれの”異文化体験”を共有!小旅行気分も味わえ盛り上がりました!

上記を踏まえ、それぞれ4チームに分かれて議論を行いました!
与えられたテーマは、「自身の海外経験における”Critical Incident”を振り返り、その中の1つの事例を用いて6次元モデルでの簡単な分析&今後同じことが起きた時はどう対応すれば良いかを考える」という内容です。

各グループからは以下の興味深いエピソードが出ました!

・チリ人(上記⑥のスコアが高め)と仕事をして、成果物の納期に対しての感覚など全く価値観が違うことに驚愕した。(ただ「チリ人の方とお酒を飲むのはめっちゃ楽しい」とのこと)

・イギリス人(上記①のスコアが低め)はディスカッション文化が根強くあり、「良いアウトプットを生み出すにはまず議論する」という考え方が強い。そして議論慣れしているイギリス人の方と一緒の会議に出ると、日本人は聞き役に回ってしまいなかなか喋れない。(「ホワイトボードを使って自分の意見を理解させる」、「会議の前にアジェンダを設計して調整する」など、日本人が会議でどのように対応すれば自分の意見を伝えられるのかという意見出しも盛り上がりました)

・ブラジル人(上記②のスコアが高め)に仕事の進捗の確認をしたところ、「なぜこちらの仕事を信用してくれないんだ?!」と反感を買ってしまった。(宮林さんからは、「大勢の方が聞いている場で恥をかかせるような発言をしてしまうと、集団主義の傾向が強い国では個人が強く非難されたと感じてしまうのでご法度。」というお話を伺いました。)

・学生時代に中国へ旅行に行ったところ、飛行機が当初の時間の30分早く離陸してしまったため置いて行かれた。(元々何かの条件が重なると早く離陸するという前提があったことが後々発覚したそうです。
宮林さんからは、「中国は上記①②のスコアは高く、④のスコアが低いので、国家が主体となり様々な社会実験的施策を行なっていることが各スコアの組み合わせから解釈できる」というお話を伺いました。)

そして日本は上記③のスコアである”男性性”が非常に高い社会であり、他国と比べて超マスキュリンな社会であるという結果に、メンバー一同驚きを隠しきれませんでした。(目標達成をした人間を表彰するという行為が、ある国では反発されるという事もびっくりでした。「自分達の当たり前は、世界の中で見ると全然当たり前じゃないんだ」ということを痛感した機会でした。)

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6次元のスコアで”異文化”は全て理解できるのか?

今回のbook laboの中で宮林さんが強調されていたのは、「6次元モデルのスコアは”個人”を表したスコアではない。ある国をパズルの全体像として理解するのにスコアは参考になるが、それでパズルのピースである個人を判断することはできない」ということでした。パズルのピースである個人にはそれぞれ特徴があり、必ずしもスコアの結果が全て当てはまる訳ではないというのは、とても納得するお話でした。

一方で、ホフステード博士は文化を「ある集団と他の集団を区別する心のプログラム」であると定義しており、「価値観(国民文化)は0~12歳くらいまでに家族や学校で学習される」と著しているそうです。つまり、「お互い同じ人間なんだし最後は分かり合える。文化の違いなんて大したことはない。」と考えてしまうのも問題であり、「相手を決めつけない、そして文化による価値観の違いで相手の人格を否定しない」という姿勢がとても重要ということでした。

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振り返って

メンバーからは、以下の振り返りコメントがありました!

”宮林さんがおっしゃっていた「私たちは私たちの見たいように見ている」というコメントは深いですね。自分は「メガネ」をかけているという認識を持つこと。また相手はどういう「メガネ」をかけているのか。そのような認識を持つことで受身ではなく積極的かつ前向きなコミュニケーションができると思います。”

今回取り上げられた「6次元モデル」の興味深いところは、そのような考え方が国に対してだけでなく、個人や企業などに対しても適用できるところです。他のメンバーからはこのようなコメントもありました。 

”最近新卒一年目と話していた際に出てきた意見が「ある企業にずっと勤めあげて出世した人は、その企業の文化が標準になり、それが正義だと語ってしまう。"みんなこうやって成功しているから、そうするべき"という形で指示をしてしまう。相手がどのような存在かを踏まえて自己の振る舞いを調整する努力を怠っている」(中略)国の文化ではなく企業文化の文脈ですが、国ごとの文化の違いにも通じる問題提起だと思います。”

広い言い方をしてしまえば、人はそれぞれ何かしらの”異文化”を有する存在であり、その前提を理解して共に問題を解決し、目的を達せられる能力がこれからの時代にはより一層求められるということなのかと思います。

今回は”異文化”というよく聞く言葉について、改めて具体的なエピソードも交えながらとても活発な議論ができ、有用な知識も得られて大変貴重な時間となりました!
宮林さん、本当にありがとうございました!また是非お越しください!!

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ボイスメディアVoicy「荒木博行のbook cafe」では荒木さんと宮林さんの対談をお聞きいただけます。よかったらどうぞ。

(記事:はりー)

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