見出し画像

ついにGoogle検索にAIが搭載!その名も「SGE」


22年11月に登場して世界に衝撃を与えたChatGPT。
「これで人々は検索しなくなる!?」という事が話題になり、Googleの幹部が「コードレッド」を社内に通達したのが12月の終わりでしたか。

2月には実際にライバルのBingにAIが搭載され、一方で5月にGoogleが発表した「Bard」は世間から厳しい評価を受けました。この半年AI戦線では旗色の悪かったGoogleが、ついに検索機能にAIを搭載してきました!!
その名もSearch Generative Experience (SGE)!!!

今回はこのSGEの使い方と、早速使ってみた感想、そして今後の展開を考えてみたいと思います。


どうやったら使えるの?

まずそのまま検索してもAIは反応してくれません。
SGEの機能をONにする必要があります。

オプトインが必要

まずGoogle検索のトップページを表示します。
次に右上のメニューをみてください。
ここにフラスコのアイコンがあります。これがGoogle Search Labsです。

Google Search Labsのアイコン

すると下記のような感じでSGEの紹介が出て来ます。

SGEの紹介

「生成AIによる新しい検索体験」なるほど~。
あくまで「検索が効率化できるよ」というところがアピールポイントなんですね。
配色もなかなかきれいで、けっこうUIデザイナーさん頑張ったなあ、という感じがします。

利用規約への同意

ここでスイッチをONにすると、なにやら注意書きが出て来ます。

なるほど、プライバシーポリシーも更新されたのかな?
操作の一部がマイアクティビティに保存されるとも書いてありますね。

生成AIの利用規約を読む

そして「生成AIの追加利用規約」というのが新たに作られたようですね。
そんなに長くはないのでしっかり読んでおきましょう。

生成AIの追加利用規約から一部抜粋

上記は規約の一部で免責事項を書いた個所ですが、まだまだ不適切な結果が出る場合があるよ、というのはもちろんですが、「Google の見解を述べるものではありません。」と更に釘を刺してますね。慎重です。

「ご自身の裁量で依拠、公開、利用してください。」という事なので、利用は自由なんですね。特に商用はダメとかも書いてません。著作権についても触れていませんね。

医学上、法律上、金融上、またはその他の専門的な助言として、本サービスに依拠しないでください。」という一文は、ずいぶん具体的なジャンルを提示してますね。
確かに命やお金に関わる内容は訴訟の元にもなりかねませんし。

以上は9月11日時点での規約なので、ご自身が利用する際には必ず最新の規約を確認してください。
生成AIの生成物については、色々と法律上のトラブルを引き起こす事も考えられるので、法整備と共に、サービス側の規約も追加・更新されていくと思います。

しかし、さすが検索結果の品質が飯のタネであるGoogleだけあって、非常に慎重にAIを搭載してきましたね。
明確にオプトインをしたユーザーだけに開放するというカタチです。

サンプルを見てみる

ちなみに「例を見る」を押してみると「ピラティスとヨガの違いは」と検索窓に入って、その真下にAIの回答結果が出て来ました。

「例を見る」その1

ほほう、なるほど。まあまあ長い文章が返ってきました。
参照先サイトのサムネとタイトルが表示されるのは良いですね。
下の方にはBingにもあった追加質問のボタンが並んでいます。もちろん自分で追加質問を入力することもできます。

ちなみにこの「例を見る」はいくつものパターンがあるみたいで、押すたびに違う例が出て来ました。

「例を見る」その2

色々試してみた

では、いよいよココからは色んなお題を試してみます。
これまで使っていたBingと比べてどんな答えが返ってくるのか?

今週のロンドンの天気を教えて

まずは日常的なテーマから。
「今週のロンドンの天気を教えて」

うむ、AIは反応せず普通に天気予報のガジェットが表示されました。
既存の機能でドンピシャのがある場合はAIは登場しないみたいですね。。。
ちなみに今週のロンドンは雨模様のようですね。(行く予定もありませんが)

今種の為替相場の予想を教えて

では気を取り直して。
「今週の為替相場の予想を教えて」

意外にもそれらしき予想結果を回答してくれました。もちろん最後に「これは専門的な金融アドバイスではありません。」の一言。
重要な免責事項は個別の回答文の中にも出てくるようですね。
ちなみにコレを検索した9/11にはドル円は一気に下落して一時145.9円まで下落していました。まあ、さすがにそこまでの予想は無理ですよね。

今週のAppleの新商品発表の予想は?

では次は仕事に使えそうな質問。
「今週のAppleの新商品発表の予想は?」

今度はAIの回答より上に「スポンサー」が表示されました。
なるほど、こうやって広告収入を担保するわけですね。
ちなみにコレ検索したのは9/11なのですが、「iPhone 15」の話題はアチコチで語られてるとはいえ、最新の情報もきちんと要約して出て来ました。
でもUSB-Cになるかも!?というネタは言ってくれませんでしたね。

使ってみた感想

一通り使ってみた感想としては、「これはかなり使える!」です。
正直なところ、BingのAI回答は文章が短すぎて、知りたい概要に対してものたりない感じがしていましたが、SGEはそこそこ長い要約で、一歩踏み込んだ内容が返ってくる感じがします。

また参照元のリンクの出し方もSGEの方が良くて、サムネイルとタイトルが出てくるのは分かりやすいですね。Bingの方はドメイン名しか出ないので。このあたり、後発だけにBingのUIを相当研究して改善してきている感じがしますね。

Bardとは違うAIを使っているとの事ですが、「サイト上の記事を要約する」というサーチ目的には何ら問題は無い、というか、すごく最適化されている感じがします。
長文の記事を書かせたり、アイディアの壁打ちをしたりする時はChatGPTが一番良いのですが、「調べものをする」という用途では、確実に従来の検索よりも生産性が上がる気がしました。

今後の展開予想

ここでは視点を変えて、Googleのビジネスモデルについて考えてみます。
ご存じの通りGoogleの収益は8割以上が広告収入です。これを失うようなAIサービスを世に出すわけがありません。

Bardを出したときにも慎重に検索機能とは切り離してリリースしました。
今回ついに本命の検索機能にAIを搭載してきたわけですが、ここにはGoogleらしい広告との両立が垣間見えました。

AIの回答に出てくる参照元サイトがどういうロジックで出ているのか(いわゆるSEO上位のサイトなのか?)は不明ですが、「世界中の情報を整理し、世界中の人々がアクセスして使えるようにすること」というミッションの軸はブレていないと思います。

一方で、AIの回答で検索ニーズの何割かは満たされてしまうだろうということも事実です。その分、広告のクリック数は減ることでしょう。
このSGEが実験段階を終えて正式搭載されたとき、果たしてGoogleの広告収入はどうなるのか?気になる所です。

まとめ

検索結果をちょうど良い長さで要約してくれて、参照元のサイトも紹介されるので事実確認もできるし、SGEは本当に便利だな、と思いました。
これから日常的に使ってみて、さらに良し悪しを見ていきたいと思います。

GoogleのSGE、これからBingとも切磋琢磨しながら新しい「サーチ体験」を我々に提供してくれることでしょう。
そして、チャットというストレートなUIだけでなく、色々な対話型サービスの中に、それぞれの目的に適したカタチでAIが実装されていくのでしょう。

ChatGPTが登場してからまだ10か月、まだまだ進化のスピードは落ちません。それどころか、AIを搭載した新サービスや、既存サービスへの実装がどんどん出てきています。
これからもAI関連のサービスに注目してきたいと思います。

おまけ

ここまでPCでの操作結果を書いてきましたが、GoogleアプリでもSGEは使えます。検索結果に上に「AIによる概要を生成しますか?」と出てくるので「はい」をタップします。結果はPCと同じで、リンク先がサムネ付きで出てきて、追加の質問ボタンもあります。
このまま音声読み上げしてくれたら良いのに、と思いましたがそれは無かったです。


ここまで読んでいただき、ありがとうございました。
またお時間ある時にでも立ち寄っていただけたら幸いです。


この記事が参加している募集

AIとやってみた

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?