何をするでもなく徹夜をする

いつの間にやらもう時刻は午前四時になろうとしている。恐らくこれを書き終わる頃には4時をすぎているだろう。こんなくだらない日記を書いている暇があるならさっさと寝ろという話なのだけれど、私にはそれが出来ない。なんというか、寝る気が起きないのだ。そんな日が何日も続いている。一度寝床に入ってから、もう一度出てしまうともう寝床に戻る気にはなれない。なんとなくわかるだろう?いや、頼むから分かると言ってくれ。でないとあまりに私が不憫じゃないか。金はくれなくていいから同情をくれ。

阿呆みたいな話は放っておこう。私はただひたすらに今空腹である。徹夜をする時に襲ってくるこの空腹。感覚それ自体には慣れていても空腹に耐えられるわけじゃない。ああいやだ。金が欲しい。働け怠け者。煩いな。私は今これを書いているんだ。黙れよ脳内。いわゆる苦学生という部類に入るのだろうか。いや、でもアルバイトをせずに何とかここまで生きのびているからそうとは言えないかもしれない。金を稼いでおけばかなりゆとりある生活ができるはずだ。しかし私はそれをしたくはない。だって好きじゃないから。ただそれだけ。とんだ親不孝者だろう?笑ってくれたまえ。お前何目線だよ、って言いたい気分はわかる。というか私自身が今自分に痛烈に言ってのけてしまいたい。

こんなものを日記とよんでいいのだろうか。叙事的ではない。一応の社会通念上は恐らく日記とは叙事的である。だからどうした。私が日記だといえばこれは日記だ。私が書くのだ。私が法だ。傲慢がすぎるぞ。まったく。とっとと寝ろよ。やかましい。誰と会話しているか私自身も分からない。ああ、ちなみにだけれど、最近家族以外で会話したのは昨日の説明会で担当者と話したくらい。あとは大会で挨拶したくらいだな。

悲しい人生だろう?ああ、哀しい人生だ。泣けてくるね。いや、笑えてくるさ。聞き分けないコイツみたいな阿呆は鉄拳制裁するしかないじゃないか。いや、ここは話し合いでなんとかする。

私の頭がバグから解放されてしまったらそれはきっと私の消滅を意味している。

何の話してたか忘れたじゃないか。

青年は空腹だった。青年は斧を持った。やめよう。ラスコーリニコフにはなりたくない。そもそもここに斧なんてない。

ある日の暮方の事である。もうとっくに暮れてそろそろ明けるくらいだぞ。これは適さない。

青年は空腹だった。青年はただ走った。空腹を紛らわすため。青年は走った。食糧を獲得するために。妹の結婚式に出席するためなんかじゃなく、ただ食糧を得るために。そもそも私に妹はいない。ああ、妹欲しいな。というか欲しかった。よく考えてみなさい。こんな奴が兄である妹は悲惨じゃないか。いや、それ言ったらあれが姉な弟も悲惨だがな。話を逸らしすぎだ。別に親友にセリヌンティウスなんてやつはいないしそもそも親友とはなんだ?その定義からする必要があるだろう。そんなことを話しているんじゃない。国王なんていないしそいつに捕まってるわけでもない。私は一切自由の身だ。それでも青年は走った。午前二時はとっくに過ぎた。踏切なんて近くにない。二分後に来る君なんて人もいない。とにかく青年は走った。その角から飛び出してきてくれる彼女なんていないし、そんなのはこっちから願い下げだ。下手をしたら相手の証言次第でそれだけで逮捕される。ハプニングなんてなくていい。平凡な毎日があればいい。そこに自分でスパイスを足していけ。自分好みの味にしろ。それで十分だ。

私は重い腰を上げ、宵闇覚めやらぬ街へと歩き出した。

走ってないじゃないか。

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