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「敵」を「味方」にするビジネス発想法

ここ5〜6年でリサイクル、サーキュラーエコノミーなど、サスティナブルな環境を守るためのSDGsが当たり前になってきました。ペットボルトや空き瓶を再利用したり、間伐材を燃料ペレットして利用するなど、身の回りでもいろいろと活動がありますが、今回は、その活動をさらに加速させる

一見無駄なものから価値を生むイノベーティブな発想法

をご紹介します。

これは、ずっと「面白いな」「なにかできそうだな」と密かに思っているのが「敵を味方にする」という頭の使い方です。

例えば「眠気」は運転の大敵です。

だから自動車会社はこぞって「いかにドライバーを眠らせないか」の研究を長年行っています。特に、最近の自動車は(法律上の縛りで完全に自動運転までいかなくても)、かなり運転をアシストしてくれますので、ドライバーは以前より眠くなりがちです。

これを逆に見れば、自動車会社は「眠気」という”敵”をやっつけるために、「どうするば眠くなるか」について膨大な知見を蓄積しているわけで、それをビジネス化したのが、トヨタの新規事業として誕生した”すぐに眠くなるマシン”「TOTONE」(トトネ *整う+寝るの造語)です。

みなさんもご経験があると思いますが、自宅のソファーやベッドよりも、なぜか自動車で助手席に乗っているときのほうが、眠くなるときってありせんか?それを疑似再現したわけです。

このマシンを使うと20分ぐらいで「パワーナップ」(短時間睡眠)することができ、頭がリフレッシュできるのが売りです。

米大統領のJ.F.ケネディが、執務室でパワーナップしていたのは有名な話ですが、我々が「疲れ」と感じているもののほとんどは、肉体ではなく「脳疲労」と言われています。そして、その脳疲労回復にダイレクトに効くのが「睡眠」なのです。

ということで、今回、このマシンを体験してきました。(残念ながら周りがガヤガヤしていたので、本来のパワーは実感できませんでしたが)ほんのり温かく、癒やしのミュージックも聞こえて、なかなか快適でした。

それにしても、なぜ自動車や電車に乗ると眠くなる現象が起こるのでしょうか?その答えは、子宮にいるときの胎児と環境と酷似しているからなんだそうです。

ほんのり温かく、適度に振動があり、左右に振られたりすると気持ちいいのは、潜在意識が胎内記憶を思い出しているから。電車でも同じように眠くなりますが、自動車のシートは適度に狭く、さらに胎児の環境にかなり近い。

まさに自動車の敵であった「眠気」の正体は「子宮」であり、知らず知らずのうちに人間の根本的・生理的なニーズを自然に満たしていたということなんですね。そして、それをちゃんと「価値」として認識できるかどうか。

マイナス、副作用、敵、失敗を徹底的を味方にする

同じパターンで、ビール会社にとって乳酸菌は、ビールの質を下げ、マズくする大敵です。だから「敵を知り」とばかり、乳酸菌を徹底的に研究した結果、KIRINはプラズマ乳酸菌の商業化に成功し、現在では儲けの柱としてめちゃくちゃ儲かっています。

また通常は単なる副産物として見過ごされがちなものの中にも、宝があるかも知れません。

私は豆腐を作る際の副産物である”おから”がスーパーに打っていると思わず買ってしまうのですが、同じように食品であるうまみ調味料の製造過程の出る副産物が、いま世界のパソコン向けCPUのほぼ100%に入っています。

その副産物は絶縁体材料のABF(味の素ビルドアップフィルム)です。

https://www.ajinomoto.co.jp/company/jp/rd/our_innovation/abf/

これらのように、本業にとってマイナス、副作用、敵、もしくは失敗を徹底的に研究していていくと、新しいビジネスモデルのタネになることが結構あるんですね。

マイナスをプラスにする発想法。

ちょっと考えてみたくなりませんか?


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