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メイキング|「Re:tune」リメイク #14 執筆:転【4】

【4】

 前のセクションで世界が分かれるきっかけを書いたので、ここは原文のリメイクも行いつつ【結】に繋げるための描写をしていきます。
 元々ある文章も使っていきたいのですが、流れがだいぶ変わってしまっているので拾えるかどうか分からないです。おそらく早退せずに夕方を迎えるでしょうし、「彼女にもらったシャープペンシル」については使えないでしょう。
 ふと思いついたのは、「もうすでに[彼女の世界]は分離して同じ夕方をループしており、話すことのできる[僕]に会えるのを待っている」というパターンです。後述する予定ですが、分離した世界は新しい選択肢が供給されないため時間は進まないです。そのため、外部からの干渉(ノイズ)があったとしても、それこそ黒いモヤのように正しく接することはできません。それを繰り返している彼女の元に[僕]が辿り着き、また彼女を救うというのもアリかもしれません。どうしてループしているのかを説明しなくてはいけませんが。

 何はともあれ次の日の朝です。今日は集会で彼女が表彰される日。それを見逃すわけにはいきません。

 アラームの音で目を開ける。カーテン越しに陽が差し、とても眩しい。晴れていい天気だった。
 時間に余裕はありそうだけどゆっくりしている場合ではないので、さっさと準備をして家を出る。
 空気が澄んでいてとても過ごしやすかった。何かいいことがあるかもしれない。

リメイク本文

 一瞬、この天気の良さに気が緩んで彼女に関わろうとする文章を書きそうになってしまいましたが、あれだけ何回も自重すると書いているのでそれを覆すわけにもいかず。的外れな期待をさせておくことにしました。

 教室に着き、荷物を引き出しにしまう。彼女の姿は見当たらなかったが、表彰者はきっと先に集合しているのだろう。段取りの簡単な説明もあるだろうし。
 少しずつクラスメイトがグループになって体育館に向かうのを見て、僕も動き出した。どこにも属していないけど、なんとなく溶け込むようにして進む。

リメイク本文

 表彰にしておいて良かったです。彼女が朝から教室にいない理由を全く考えていなかったので、違和感を抱くポイントを遅らせることができました。

 体育館は賑やかだった。開始10分前だというのにみな話を止めない。でも教師がまとまって入ってきたところで、急に声のトーンが落ちる。集会の時間になる頃には、もうほとんど声は聞こえなかった。
「みなさん、おはようございます」
 進行役の放送部の声が響き、集会が始まる。
 校長の話は相変わらず長かった。似たようなことを前も聞いた気がする。僕たち生徒のことはあんまり興味がないんだろうな。学校全体の評判を落とさないように行動するように心がけるように、ということを例を変えながら何度も言われてうんざりする。
 心の中で愚痴を呟いていると、表彰に移った。各部活の夏の大会についてもやるらしい。運動部が列から抜け、文化部もちらほら体育館の脇に行く。その後ろに頭の良さそうな人たちが並んでいた。
「(事前に集まる感じではないのか)」
 表彰されたこともなければ集会もあまり積極的に参加してこなかったので、その辺の事情があまりわからない。

リメイク本文

 ちょっと校長の話については詳しく書きすぎましたかね。いらなそうならあとで消しましょう。
 私が通っていた高校は、朝の集会は座りながら参加するタイプでした。集まって校歌を歌い、校長先生の挨拶の時に座るように指示され体育座りをしたす。体育館の床は硬いのでお尻が痛かったですね。
 表彰者については記載したのと同じ形式でした。はじめは普通に並び、表彰の時だけ列から抜けて教師側に集まり整列して、あとはぞろぞろ舞台に上がっていきます。そのあとは列に戻らずはじめとは逆側の壁の方に向かって舞台を降り、集会が終わるまでそこに待機する感じですね。
 ここで彼女が見当たらないことに気づきます。いろんな可能性も考えますが、事情があったのだろうとひとまず落ち着かせます。

 おそらく最後のグループがテストの成績上位者なのだろう。
「あれ?」
 そこに彼女の姿はなかった。
 昨日掲示板を確認した時には1番上に名前が書いてあったから、列に並ぶとしたら先頭かと思ったのだけど。表彰者全体を見ても彼女のが見当たらない。
「(どうしたんだろう)」
 あんまり風邪を引くタイプではなかったし、基本的には毎日ちゃんと学校に来ていたから、こんな大事な時に休むとは思えない。
 でもまあ、少し体調が悪かったのかもしれないな。いくら悩みを相談したとしても、その原因が解消されない限りじわじわと力を削られるだろうし。彼女も疲れてしまったのだろう。
 表彰では彼女はもちろん呼ばれず、何事もなく会は終わった。最後、表彰状が載ってた台を持ち帰る教頭先生の手元には渡されなかった表彰状は無かったけれど。
 ちょっとだけ心配になる。
「(……まさかね)」
 あれはあくまで僕の想像だし。彼女がいなくなるなんてことはないだろう。引越しや転校があったとしても、同じクラスの人間にはさすがに何かしら声はかけてくれるはずだし。
「(教室に戻る時に掲示板を確認しておこう)」
 きっと今たまたまここにいないだけだろうから。保健室に行くわけにもいかないし、名前だけでも確認しておきたい。

リメイク本文

 さて、不穏になってきましたね。自分の考えを否定しつつも、心の奥底に灯る違和感を消しきれずにいます。
(ここまでで1,200文字弱、この章全体で9,300文字程度です)

 流されるように体育館から廊下へ歩き、途中の掲示板のところで列から離れた。今日の集会での表彰者についての掲示を探す。
「え……?」
 やっと見つけた通知には、彼女の名前が載ってなかった。
 修正されたり差し替えられたものではない。一番上にあったはずなのに、別の人の名前になっている。
 胸騒ぎがして教室へ急いだ。

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 ここからの流れとして、「教室に行っても彼女がいない/席がない」→「彼女の痕跡を探しにいく」→「あの教室に辿り着く」のように書いていきたいです。このセクションには書ききれないのでは?

 まだホームルームが始まる前だからみんなグループを作って話している。いつもあるはずの彼女を中心としたかたまりはなかった。それどころか、彼女の席も見当たらない。
「(なんで……?)」
 休みや遅刻ならまだわかる。でも場所がなくなってるのはおかしい。
 僕は教室を飛び出した。
 すれ違いに入ってくる担任の言葉も聞かずに走る。

リメイク本文

 とはいえ彼女との縁がある場所はあの教室と喫茶店くらいしかないので、マスターのところに行ってもらいましょうか。

 彼女がいたということを確かめなくてはならない。僕が作り上げた妄想ではなく、本当に存在していたはずなのだから。
 彼女の家は知らない。連絡先も教えてもらってないし、会って話したのは自分の教室だけ。あと繋がりがあるとしたら、バイトしている喫茶店か。
 幸い誰ともすれ違わずに昇降口に辿り着き、靴に履き替えて外へ出た。通学路を逆走し、駅のロータリーも渡る。
 一度しかまだ話していないけど、マスターは僕のことを覚えてくれているだろうか。

リメイク本文

 学校からお店までの経路を逐一描写していると時間がかかってしまうので、ポイントだけ記載していきます。
 [彼女]がいない世界ですが、[僕]の行動は記録として残っているためあの喫茶店に行ってマスターと話をしたことになっています。ただ、その内容は普段の学校の出来事についてであり、彼女についてではありません(そうなるように修正されています)。

「あった……」
 お店にたどり着き、扉の前で立ち止まる。こんなに走ったことはないから、呼吸がうまくできない。カラカラになった喉を唾でなんとか潤しつつ、息を整える。
 彼女がいなくなってしまったから、それにあわせてこのお店も無くなっていたらどうしよう、と思っていたけれど。そういうことはないらしい。
 心臓がおおよそ落ち着いたところで扉を開けた。
 ちりん、というと音とともに奥から若い男性が顔を出す。
「ああ、この前の。いらっしゃい。今日の学校はお休みかな?」
 マスターは変わらず穏やかな声で僕を迎え入れてくれた。安堵しつつも、ここに来た目的を忘れず果たす。
「学校は、ちょっといろいろあって……。あの、ここでバイトしてる、あの人の連絡先を聞いてもいいですか?」
 僕の言葉に彼は怪訝な顔をする。従業員の連絡先を聞くのはまずかったかもしれない。さすがに怪しすぎた。
「うちは、バイトは雇ってないんだ。ぼくひとりでのんびりやってるお店だからね」
「え……?」
「もう少し忙しくなったら募集しようかな、とも思うけどね。そしたら君にお願いしようかな」
 彼は優しく笑う。席を案内してくれたが、急いできたから財布は学校に置いたままだし、ゆっくりコーヒーを飲んでいられる気分でもないから断った。
 またおいでね、という言葉を背に店を出る。

リメイク本文

 [彼女]がいなくなったことで辻褄合わせが起き、喫茶店ではアルバイトを雇っていないということになりました。小さなお店ですし、前章では彼女以外のアルバイトについても言及していなかったのでこれでいいでしょう。
 さて、まだお昼前ですが行けるところは全部行ってしまいました。このまま夕方まで待つにも手持ち無沙汰ですし、何よりこのセクションの余裕もありません。
 このまま学校に帰りましょう。時間は調整するにしても、教室に入ったらいつの間にかあの日と同じだった、という風にしましょうか。そうすれば「昼間だったのに夕方になっていた」という点からも、あり得ない状況であることは表現できるでしょうし。

 何も手掛かりを得られなかった。僕だけが覚えているというのも変な話だ。あれだけ人に知られていたのだから、誰かしらこの異変に気づいていてもいいだろうに。
 それか、僕が作り出した幻だったのかもしれないな。クラスの優等生と秘密を共有して特別な存在になりたかった。夢にも見るくらいだから、きっと正しいことではなかったのだろう。
 虚しくなって、いたたまれなくなって、僕は歩き出した。家に帰るにしても、置いたままの荷物を回収しなくてはいけない。
 学校に戻ろう。

リメイク本文

 さすが〈卑下〉とでも言いましょうか。なんでも自分の都合のいいように認識を歪めてしまいますね。
 諦めにも似た気持ちで学校に戻ります。もうあとは彼女と会うだけですね。着く頃には昼休みでしょうか。授業中だったら[僕]は日和って教室入れないですからね。
 【結】の導入は【起】と同じように[彼女]のセリフにしたいので、このセクションは扉を開くまでになります。

 駅まで歩いてを通り過ぎ、誰もいない通学路を歩く。思ったほど人通りはなく、怪しまれることもなかった。

リメイク本文

 まだ世界の分離が([僕]の中で)確定していませんが、その影響が少しずつ出てきています。人がまばらなっているのもそのうちのひとつです。

 校舎に戻ると、賑やかに学生が行き交っていた。手元に購買のパンを持っていたり自販機のジュースを何本も抱えている。いつのにか昼休みの時間だった。
 人ごみに紛れて教室へ向かう。誰も僕に興味がないようで、何度も廊下でぶつかりそうになるけど縫うように避けて進んだ。

リメイク本文

 教室に近づくにつれて[僕]がこの世界から外れていきます。周囲から認識されなくなってきているんですね。とはいえもともと交友関係も狭く他者と繋がりがないため、そのことに違和感はないようです。

 教室に着いて小窓を覗くが、やはり彼女の姿はなかった。やはり僕の想像上の人物だったんだな。しばらく休んだほうがいいかもしれない。
 扉を開くと、強い陽射しに目を開けられなくなった。咄嗟に瞑り、光に慣れるのを待つ。

リメイク本文

 と、言うわけでここで【転】は終了です。10,800文字と長めになってしまいましたね。1セクション7,000字はあくまで目安とはいえ、結構な分量になってしまいました。[時間]の話はできなかったですね。
 最後の【結】で記載する内容としては分離した世界での答え合わせではあるのですが、それだけで7,000字は難しいかもしれないですし、そもそも起承転結を綺麗に4等分にする必要もないですし。前半の夢のパートをカットしようかとも思いましたけど、やはりここも全体のバランスを見てから調整しましょう。

 さて、次が最後です。


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