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メイキング|「Re:tune」リメイク #13 執筆:転【3】

【3】

 さて、ここからは本題の世界が孤立していくまでを描写します。うまく書きたいですね。
 とはいえ大きく形が変わるのではなく、分かれてしまうだけなのでそんな大掛かりではなくていいかな、と思います。もう一度夢を見てもいいかもしれませんが、あまり詳しく書いていくと予定をオーバーしてしまうのでやめておきましょう。
 ひとまず書いていきます。

 目が覚めた。
 外はまだ暗く、枕元のスマホを覗くも朝には程遠い時間だった。
 今から起きていてもやることは特にないから、もう一度寝るために目を瞑る。耳の奥には沈黙の鋭い声が響く。眠ろうとすればするほど意識が鮮明になっていくようだった。
 ため息をつきながら起き上がる。スマホの光量を落としてネットを漂った。

リメイク本文

 午前2時くらいでしょうか。私も寝落ちをした時はこれくらいの時間に目が覚めます。二度寝をしたいけど変に目が冴えてしまう時ってありますよね。
 世界が分かれてしまうタイミングとしては、[僕]が学校に行くまでのどこかを考えています。教室に彼女がいない・掲示板の彼女の名前がないことを知るには、学校に行ってからでは遅いですからね。
 深夜の、朝でも夜でもない時間帯、夢かどうかもわからない意識の中で何かに触れて、世界がズレてしまう。そのズレを認識出来てしまう[僕]は、やがて分かれた世界へ迷い込んでいきます。

 今後どこかのタイミングで改めて書きますが、世界の正しい流れは「彼女が世界について認識せず、認識したとしても他者と共有できない」というものになります。元々彼女が孤独を感じていたとしても、その理由を深く掘り下げなければ世界に影響はありませんからね。
 とはいえ、それだけ自分の内面と向き合って世界の在り方を感じ取ることができるということは、[認識]が進んでいるともいえます。1.2で提示した[場]を形成する能力がどの程度あるか、ということですね。成熟はしていないけど、その準備は着々と進んでいる。
 そんななか、捨てられた可能性である「彼女が世界についての認識を他者と共有する」という事象を彼女が認識してしまったことで、イレギュラーが発生してしまいます。そのエラーを処理しきれず、世界全体に悪影響を及ぼす可能性がある存在を排除しようとする力が働き、「[彼女]を取り巻くもの」が世界から分離されます。彼女の選択の全てが世界の時間の流れに影響を与えなくなり(干渉できなくなり)、[場]を作る力が不十分な彼女は自身の[世界](=自分が認識できる範囲)の中でしか存在できない。その[世界]というのは、この事象のきっかけとなったあの教室のことです。
 そこにどうして[僕]が干渉できるかというと、[彼女]との[世界]の話をするうちにその考え方を共有(≒擬似的に認識)したからです。[僕]自身はまだまだ成熟には程遠い存在ではありますが、[彼女]との縁を頼りに[彼女の世界]へ辿り着きます。
 こう書くとややこしくて混乱しますね。自分自身でも十分に言語化できていない部分なので、今後覆される可能性はあります。物語を重ねていくうちに、答えに辿り着けたらいいですね。

 さて、物語に戻ります。
 前述した通り、世界が分かれてしまうきっかけはあの教室での出来事です。そのため、これまでの時間は世界がエラーを処理しようとしている期間と考えることができます。投げ出すまでの間ですね。そのため、実際に世界が分離するのはこの後になります。
 実際に分かれてしまうきっかけを作ったのは[僕]ということにした方がいいかもしれませんね。彼女が異物ならそれを取り除いて捨てればいいだけですし、それだけならその[魂]はまた新しい肉体を得て学習をやり直せばいいだけですし。世界が分かれてしまうというのは、なにかを内包する[場]が必要になったから、と考えるのもアリかもしれません。
 それらを踏まえて進めていきましょう。

 とは言っても、この時間はどこも静かだった。夜更かしをしている人や、生活が逆転している人しかいない。目新しい情報もなく、すぐにやることがなくなってしまう。
「(なにをしよう)」
 外に出て散歩をするのはさすがにまずい。安全面というよりは、親への言い訳を考えるのが面倒だった。2人とも明日に備えてこの時間には寝ているはずだけど、音もなく家を抜け出すのは難しい。

リメイク本文

 思考の整理の場を作りたかったのですが、家から出るのは難しそうですね。眠れないそうですし、このまま自分の部屋でやっていくしかなさそうです。

「(そうだ)」
 今度、喫茶店に行った時にマスターと話す内容を考えておこうかな。今までのこともまとめておきたいし。彼女と交えて3人で話してもいいかもしれない。学校では関わらない方がいいだろうけど、あそこでなら許されるだろう。
 僕はベッドから降り、勉強机に向かった。計算用紙を一枚切り取る。

リメイク本文

 せっかく喫茶店のマスターを登場させたので、話のきっかけにしました。この前の[世界]の話について考えつつ、夢のことも解析していきます。

 まずは世界のあり方について。どこまでが世界と呼べるのかという問いを考えた時に、まず思い浮かべるのは国とか、地球とか、宇宙のことだろう。僕らからは想像できないほど広くて大きな場所を想像するに違いない。僕だってそうだった。
 でも彼女が考える世界というのは、より身近なものだった。と言うよりも、どのくらい正しいのか、と言う感じ。
「(自分を中心として考えたことなんてなかったけど)」
 見える範囲、感じ取れる範囲がより正確な自分の世界という彼女に対して、僕らは少し立場が違った。
「(……そういうことか)」
 彼女は自分が起点となる世界の話をしていたけど、僕らは自分が属している世界の話をしていた。だからいまいちピンと来なかったんだ。そもそもスケールが違うし、最初から考え方がズレている。

リメイク本文

 [僕]自身の思考の整理はまだちゃんと書いてなかったはずなのでこのまま進めていきます。

 彼女が描いた絵を思い出す。光の三原色の図のように重なりあった丸。その中央が一番確からしい世界と言っていた。でも少人数で考えればわかりやすいけど、生きている人間全てで考えたらまず発生しない領域だった。一ヶ所にまとまっているわけではないし、それを認識するのも至難の業だし。
 それを考えると、マスターが言った重なり合いの方がより正しそうに思えてくる。広がっていく領域の中に僕らが存在していて、その全てが世界そのものだと。
「(でも彼女はその繋がりを感じ取ることができなかった)」
 とすれば、やはりこの考え方は適さないのかもしれない。自分たちの分かる範囲だけが、確かに存在していると分かる場所なのかも。相手からしたらどうなのか、確かめる術はないけれど。

リメイク本文

 この世界の正しさについてはこれ以上の情報はないですね。似たような話は前章までに書いていますし、重複してくどくなっている場合はどっちかを削ります。

 あとは夢での出来事について考えていきます。それも正しい世界なのかどうか。

 昨日見た夢も気になる。いくら自分の中で考えを整理したかったとはいえ、あそこまで忠実に再現されるのも不思議だった。
「(でも、僕が知ってる結末じゃなかった)」
 彼女が教室で問いかけるところまでは同じだった。その後黒い影は立ち去り、彼女だけが残る。
 眩しくなって彼女に辿り着けなかったのは、ただ朝日を浴びて起きてしまったからだとは思うけど。ドア越しに目は合っていたし、向こうも気づいてくれていたはず。
 あれは、本当に夢だったのだろうか。感覚としては確かにそうだったけれど、現実ではないと切り捨てるにはあまりにしっかりしていた。夢は記憶の整理するためのものとしか知らないけど、体験していないことをどうやって処理するのだろう。

リメイク本文

 「夢が記憶を整理する処理」から「誰かの記憶(や情報)を再生する場所」という認識に変えてもらいます。こういった閃きや感覚が[僕]が[世界]とズレてしまっている証でもありますし。

 もしかしたら、あれはただ自分が経験したことを改めて見ているのではなくて、可能性を再生しているのかもしれない。あの夢でも、僕らしき影は別にあったし僕自身は視点や感覚を共有していない。そういう自分そのものの視点で再生されるものもあるのかもしれないけど、積極的に干渉できる夢だったのかも。

リメイク本文

 前のセクションで夢について書いた時、黒いモヤとして表現されている理由について書きましたが、あれが正しいかどうかはまた改めて検証します。物語を進めるにつれて、自分の考えも少しずつ解像度が上がって(より確からしく)なっていくので。

「(だとしたら……)」
 あれは、僕たちが話をしなかったという可能性だったのかもしれない。彼女の得た孤独感を他者に共有できなかったら。その結果は見ることができなかったけど、彼女はおそらく1人になってしまっただろう。表面上は華やかでも、内側に燻る暗い気持ちは決して消えない。
 気づけば用紙がいっぱいになっていた。考えが飛躍しているような気もするけど、不思議と間違えている気がしない。そうだったのかもしれない、と心の奥の方で納得している。
 僕が彼女と話すだけで、もしかしたら救われたのかもしれないな。
 ちょっと考えすぎかもしれないけど、あの可能性を見てしまった後ではそう感じてしまう。少なくとも、ひとりぼっちにはならなかった。

リメイク本文

 相変わらず彼女に対する感情が暴走していますが、ちゃんとブレーキを踏む描写もこのあと続けます。
 最後に何かが変わるのを感じてから眠り、彼女がいなくなった明日を迎えます。

「(この気持ちはしまっておこう)」
 確証はないけれど、誰かを救えたのかもしれないと思うと誇らしかった。でもこれは表現していいものではない。僕じゃなくてもよかったことなのだから。自分の中だけで、糧として蓄えておけばいい。
 ふとスマホを見ると、あと少しで日の出の時間だった。程よく眠気も出てきたし、ちょっとだけ寝てもいいかもしれない。
「ん?」
 椅子から立ち上がった時に、少しだけ立ちくらみがした。あんまりそういうことがなかったからびっくりしてしまう。数秒で治ったものの、なんだか気持ち悪かった。
「(……眠いのかもな)」
 こんなに夜更かししたことも過去あまりなかった。もう身体も限界なのだろう。
 アラームをセットして、僕はもう一度寝た。

リメイク本文

 実際に[彼女]の世界に入る(今の世界から分離する)のは教室の扉を引いた時なので、いまはまだ世界の方向性が変わっただけです。高速道路から降りる時みたいですね。メインの大きな流れから逸れて、目的地に辿り着くために減速する。いま[僕]はその過程にいます。
 この時すでに[彼女]の痕跡はありません。孤立が確定していないものの、イレギュラーを主線から外しているので、もう誰も感知できずにいます。[僕]だけがその狭間にいるため、[彼女]のもとに辿り着けるのです。
 このセクションはちょっと書きすぎちゃいましたね。数えたら2,200文字弱でした。この時点ですでに目標の7,000字を超えてしまっています。
 さらに言えば物語が動く表現が最後の数行だけなので、【転】としては不十分かもしれません。
 ここで切り上げようとも思いましたが、そもそも原文をリメイクしていないですし、はみ出た分は推敲の時に大幅にカットすればいいでしょう。いまは書くのが優先です。


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