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パリの南京錠

数年前のことです、パリのセーヌ川にかかる橋に愛の南京錠がテンコ盛りになり過ぎて危険なため、撤去されると報じられてました。
デート・スポットなどにこの南京錠をかけるというのは、日本にも各地でありますね。

神戸にもヴィーナス・ブリッジというスポットがあり、同じように南京錠問題がかつて発生してました。
いまは専用のモニュメントが設置され、そこ以外に勝手にかけると撤去されます。
そのヴィーナス・ブリッジに、トゥール・ドールというレストランがありました。
フランスのトゥール・ダルジャンに肖って名付けたようですが、いまは閉店してます。(泣)

トゥール・ダルジャンといえば、彼の鴨料理が有名ですね。
デクパージュしたあとの鴨の身と骨から絞り出したジュ(出汁)から濃厚なソースを作りだし、それを鴨に添えるのですから美味しくないはずありません。

この料理自体は古典的な技法によるもので、特段珍しくもなくクラシックなフレンチのレストランには普通にあることが多いです。
ただトゥール・ダルジャンは、この料理の最後の仕上げをホールの客前で行うというデモストレーションを売りにしたことで有名になりました。

さらには鴨一羽ずつに通し番号を付け、オーダーしたお客それぞれにナンバリングしたカードを手渡すという趣向で、いわゆるセレブの優越感をくすぐるという巧妙なパフォーマンスを提供し、パリの社交界において一世を風靡したようです。

しかし、400年に及ぶその伝統ある料理とサービス手法もやがては時代から取り残されたのか、1990年代にはミシュランの星を二つに落とし、さらには2000年に入ってひとつにまで落ちると言う凋落ぶりを示しました。

栄えあるものはいつか滅びるというそのものを見せつけられたようです。
東京のホテル・ニューオータニにセカンド店があります。
世界で唯一のパリ以外の支店だそうです。

鴨料理

トゥール・ダルジャンの鴨料理

デクパージュ

デクパージュの様子


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