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儲けることを優先し過ぎるとお客は離れてゆく

京都「菊乃井」の社長、村田氏が日経レストランに書き下ろした記事の中にこんなフレーズがあります。この記事の中には、示唆に富む内容がいくつもあります。

・儲けるということは「信者を作る」ということ。何の信者かといえば、その店の信者ですよ
・当初は「原価をかけないとお客さんに満足してもらえない」という考えがあったのに、いつの間にかそれを忘れて…
・1店のときは個人店主の気持ちだったのが、5店くらいになると「自分は経営者だ」と、意識が変わっちゃうんです。

まったく村田氏の言うとおりだと思います。実際に開店当初はいい素材を使い誰の目にもいい料理を出していたお店が、上記のとおり二号店を展開し始めたり支店を出したりし始めたとたんに内容が劣化してゆくのを見てきました。その結果は、言わずもがなです。また、最初は低姿勢の料理人だった人がちょっとした企業の経営者気分になり、人間的に凋落してゆくのを何人もとは言いませんが、見てきました。
 
店を大きくしたいというのは経営者のとしての飽くなき願いだそうで、会社組織としては規模が大きくなるということは経営が順調だという証です。したがって、どんどん儲けて大きくしたいのが経営者の心情でしょう。しかし、その心意気が当初の真摯な料理人の精神からかけ離れてゆくのは、世の常らしいですね。

小さな店屋の親父でいるのか、多店舗展開する企業の社長になりたいのか、二律背反するこのふたつは、なかなか非情な選択肢のようです。

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