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中締めということ

世の中には建前と本音があり、その言葉だけを正直に捉えるととんでもない恥をかくことがありますね。
宴席での終了を意味する「中締め」という言葉や同様の主意での「おひらき」という言葉もあります。
終わるという言葉やお仕舞いという言い回しは、目出度い席では使わないようにしようということでこのような表現が使われてます。

この「中締め」という言葉、非常に含みがありますね。
ほんとは、もう宴会が終了することを告知するための文言です。
司会者が、宴たけなわのころにこの言葉を使って出席者に案内をします。
「それではそろそろ中締めにしたいと思います。まだ、お料理も沢山残っております。お時間の許す限りごゆっくりお寛ぎください。」といった内容でコメントします。

もちろん、「もうこの宴会は終了したいので、準備が整い次第早く退席してください。」ということがその真意なのです.
しかし、そんなことを直接的に司会者が案内できないので、間接的に「中締め」という言葉を使って退席を促すわけです。

完全な社交辞令というか、日本にはこのような表現が極めて沢山あります。
日本のこういった習慣になじみのない外国人は、日本人は嘘つきだと言っているテレビ番組がありました。
まったく、日本語の機微を分かってませんなぁ…(汗)

ところが、日本人の中にすらこの言葉を真に受けて、中締め以降もほんとにゆっくりと寛いでいるお客さんがいるので、主催者側が困っていることもしばしばです。
半数以上の出席者がこの司会者の中締め案内で退席を始めるので、察しのいい人はもうこの宴席も終わりだなと感づいて退席するのですが。

結婚披露宴などでの、「おひらき」という言葉はほぼ若年層にも認知されているようで、司会者もはっきりと終了を告げるサインとして「おひらきです」と述べるので全員が退席を始めるのですが、「中締め」はまだ言葉どおりに受け取る人もいるようです。

特に、立食パーティなどでは予定時刻よりも早い目に終了し、残った時間と料理などで主催者側がいわゆる「打ち上げ」の席を設けることもあるので、お客側には早く帰ってもらいたいわけです。
そんなことは気にもかけず、グダグダといつまでも残っている酔っ払いがいるのには、笑ってしまいますね。

「ここで、いったん中締めとさせていただきます。」は、「もうこの宴席は、これで終了です。」という意味ですよ、そこの酔っ払いさん。(笑)

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