.LIVE(どっとライブ)と幻想の終焉

2021年4月19日、Vtuberプロダクション「.LIVE(どっとライブ)」より所属Vtuberグループ「アイドル部」1期生全メンバーの卒業が発表されました。

署名も日付もないニュースリリースによれば、「花京院ちえり」、「神楽すず」、「カルロ・ピノ」、「もこ田めめめ」、「ヤマト イオリ」は卒業後も.LIVE所属として活動を継続し、「牛巻りこ」、「木曽あずき」、「北上双葉」、「金剛いろは」、「八重沢なとり」は.LIVEからも卒業、すなわち引退するとのことです。
かつての大騒動を目の前で経験し、以降も度々の小火を見てきた身としては、「ようやくか」という感想しか出てきません。1年以上音信不通の「牛巻りこ」「木曾あずき」、月に数回の配信以外は浮上せずYouTubeのメンバーシップアイコンもついに更新されることはなかった「金剛いろは」、連絡の行き違いから何度も精神的に不安定な状態になり涙を見せていた「北上双葉」「八重沢なとり」、彼女たちにとって「アイドル部」として活動し続けることがメリットとなることはもはや望めませんでした。
一方で残留メンバーの5名にとっても「アイドル部」という肩書が不要であることも明らかです。内部告発、不仲の顕在化、そして契約解除……あらゆる汚名と過度なバッシングがついて回る看板を捨て去ることは今後活動を継続していく上で必須であると言っても過言ではありません。「アイドル部」は終わるべくして終わった、そう言っていいでしょう。

しかし、「終わり」は新たな「始まり」でもあります。何を始めるにしてもこれまでの積み重ねはすぐには清算できず、決して楽な道のりにはならないでしょう。そんな中で次の「始まり」に向けスタートを切ろうとしている演者に対して暴言を飛ばし、選択を非難する権利は誰にもありません。彼女たちの新たな「始まり」を尊重し応援する、それが元ファンの「モンペ」にもできる唯一の手向けだと思います。

卒業される皆さんへ。活動終了10日前にようやくファンへの告知に至ったところを見るに、.LIVE内部のずさんな連絡体制は何も改善しなかったのでしょう。願わくは「アイドル部」という大きな制限を抱えていたであろう環境から解き放たれ、Vであれ別の道であれ望んだ方向へ進めますように。今後一層の活躍をお祈り申し上げます。

残留される皆さんへ。たまたま同時期にデビューしたというだけで「アイドル部」という架空の仲良しグループとしてまとめられ、12人が足並みをそろえなければならなかった状態はきっととてつもなく息苦しいものだったと思います。デビューから3年近く経って、やっと個人として競い合い、協力し合いながら成長していく健全な環境に置かれたことは間違いなく良い変化のはずです。演者各位の道行きが幸福であることを願っています。

そして.LIVEへ。「アイドル部1期生」と逃げを打っていますが、「アイドル部」というグループ自体、それに伴う過剰に演出された幻想が失敗し、終わってしまったことは目に見えています。「モンペ」の発想として、いずれはアイドル部以外の.LIVE所属メンバーも同じような幻想に囚われ、終焉を迎えるのではないかと考えてしまいます。「終わり」が始まった時に、誰かが傷つく事態が繰り返されないことを望みます。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?