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羽田空港地上衝突事故考察のための基礎知識② 管制用語


管制用語の概要

管制で使用されるのは英語である。
英語ですが会話のような文体ではなく、基本的に単語の羅列だ。
凝縮された単語の並びの中に、きちんと整理された意味がある。
同じ単語でも交信している立場によって意味が変わる場合がある。
国や各空港によって若干の違いはあるが、ほとんどが共通である。
少なくとも管制官やパイロットが理解出来ない用語はない。

ナンバー1(#1)について

今回の事故において、交信に使用された「#1(ナンバー1)」が取り沙汰されている。
この交信記録を根拠に海保機が離陸許可と勘違いし、滑走路に誤進入したというものだ。

しかしその可能性は低いのではないかと筆者は考える。
管制官、自家用も含めたパイロット、航空ファンも同じではないだろうか。

「#1、#2、#3、・・・」という指示は日常的に使われている。
「同じ単語でも交信している立場によって意味が変わる場合がある」と前述したが、この指示がまさにそうである。

離陸機に対して「#1」と指示すれば、それは離陸の順番が一番目である。
同様に着陸機に対して「#1」と指示すれば、着陸の順番が一番目である。
決して、離陸許可ではないし、滑走路進入許可でもない。

これは筆者のような自家用パイロットや航空ファンにも当り前の事である。
羽田空港で離発着するような海保機を含めた航空機のベテラン・パイロットが勘違い、取り違えるものであろうか。

交信のテンプレート

無線の知識のある方々には既知の事であるが、一般向けに書いておく。

管制官から航空機に対する交信:

  1. 交信相手のコールサインを言う (JAL516、JA772等)

  2. 発信元(自分)の名称を言う(Tokyo Tower、Tokyo Ground 等)

  3. 具体的な指示

  4. 航空機が自分のコールサインを言い、指示内容を復唱する
    (コールサインのみの返信は、了解したという意味) 

交信例:タワーから航空機

航空機から管制に対する交信:

  1. 交信相手の名称を言う(Tokyo Tower、Tokyo Ground 等)

  2. 発信元(自分)のコールサイン言う (JAL516、JA772等)

  3. 知らせたい内容やリクエストを言う(現在位置を知らせる、離陸や着陸許可、移動の許可等)

  4. 管制官から指示を受ける

  5. 航空機が自分のコールサインを言い、指示内容を復唱する
    (コールサインのみの返信は、了解したという意味)

交信例:航空機からタワー

管制用語(参考)

Taxi : ~に向って移動する
Clear for Take Off : 離陸を許可します
Clear to Land : 着陸を許可します
Hold Short : 停止してください
Contact ~ : ~にコンタクトしてください
#1 、2,3,4... : あなたは離陸(着陸)の順番が〇番目です
Line up and wait: 滑走路上で待機

この他にもいろいろあります。
ご興味のある方はご自身で検索してみると面白いかもしれません。

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