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羽田空港地上衝突事故 浮かび上がった疑問点からの考察①

ひとつ前の記事で「交信記録から視える疑問点」整理した。
筆者が考える最大のポイントであり、真相の核心ではないだろうか。
ご興味があれば一読されたい。

交信記録から視える疑問点として、次の5項目を挙げた。
《1》管制塔から海保機への指示と「No.1」
《2》海保機の復唱と副操縦士
《3》90秒の空白
《4》滑走路上に40秒? 
《5》2分30秒の怪 

今回は《1》管制塔から海保機への指示と「No.1」を考察をしてみる。

《1》管制塔から海保機への指示と「No.1」

そもそも管制官から誘導路上のポイントを指示されれば、
「Holding Point」という言葉がなくても指定されたポイントで停止するのがルールである。
例えば当日の17時44分13秒にグランド・コントロールからの交信である。

グランド・コントロールから海保機への交信

「JA722A, Continue C C5」
この場合の「C」はC滑走路(Runway34R)の誘導路である誘導路Cの「C5」まで移動しろという指示である。
翻訳すると「JA722, C誘導路のC5(チャーリー5)まで移動を継続してください」となる。
「Holding Point」という単語がなくとも、指示は明確なのである。
 
移動中に「滑走路進入許可 or 滑走路に進入」という指示が出れば停止せずに滑走路に入るケースはある。
他に離陸機も着陸機もなく、滑走路が安全である場合等だ。
だが管制塔からの許可がなければ決して入ることはできない。

タワー・コントロールと海保機の交信抜粋(国土交通省発表) 補足加筆版

②で海保機は管制官の指示を復唱している。
「Taxi to holding point C5 JA722A No.1, Thank you.」
「Holding Point」がなくとも、管制官の指示、海保機の復唱共に意味は「C5まで移動して停止」なのである。
しかも今回は明確に「Holding Point C5」と復唱している。
間違いなく、「C5で停止」と認識していたであろう。

続く「No.1」も同様である。
管制官の指示、海保機の復唱共に「No.1」の意味は「離陸の順番が1番目」である。
「No.1、No.2、・・・」は単なる離着陸の順番であって優先順位ではない。
ましてや、「滑走路進入許可」では決してない。
過去の記事で何度も取り上げているが、これはパイロット、管制官等には自明のルールである。

報道は最初から「No.1」という単語に固執しすぎていると感じる。
知らなければ一時的に曲解するのも仕方ないが、その後も変わっていない。
報道ベースでは、あくまでも「No.1」という交信が「滑走路進入許可」と錯誤したとしている。
2024年1月9日に国土交通省が発表した
「航空の安全・安心確保に向けた緊急対策」内でも次のように記載されている。
「航空機の離陸順序を示す情報(No.1、No.2 等)の提供を当面停止」

航空の安全・安心確保に向けた緊急対策
https://www.mlit.go.jp/report/press/ontent/001716821.pdf

だがしかし、「No.1 ・・・」は世界中で日常的に使用されている。
パイロット、管制官、航空無線愛好家、各国の訓練生に至るまで、これを誤認や錯誤するであろうか。
しかも海上保安庁で機長にまでなっている経験豊富なパイロットがである。
海上保安庁でパイロットになるには相応の資質と年月の訓練が必要である。
筆者のような底辺パイロットでもわかる事をベテランのパイロットが取り違えるなど、到底考えにくい。

そもそも、ここからして不可解なのである。
羽田空港地上衝突事故 浮かび上がった疑問点からの考察②に続く。

基礎知識として、筆者のいくつかの記事も宜しければ参照してください。

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