キナバル公園(Kinabalu Park)の完全探鳥ガイド
東南アジア最高峰のキナバル山(標高4,096m)の麓に広がるキナバル公園(Kinabalu Park)で鳥見をしてきたので、キナバル公園までの行き方や宿泊場所、食事場所、探鳥ポイントなどを紹介します。
日本では希少種の情報をネットに書かないのは常識ですが、海外では結構ゆるゆるです。まあバードウォッチャー人口が少ないし、観察派バーダーが多いので日本ほどトラブルにならないですからね。
何より僕がここで希少種の情報を公開しても、日本からカメラマンが殺到してトラブルになる事は考えられないので、遠慮なく載せちゃいますね。
なお、公園内は州政府がしっかり管理している国立公園なので密猟に繋がる心配もありません。
ってなわけで、遠慮せず色々と情報載せておきます。キナバル公園を訪れる日本人鳥屋の同志に有益な情報があれば嬉しいです!
キナバル公園の鳥見ポイント一覧
主な鳥見ポイントは、キナバルロッジ周辺の道路、麓からティンポホン・ゲートまでの3.5kmほどの車道、植物園の3つです。トレイルも沢山ありますが、あまりオススメしません。というのも車道と比べて視界が悪い上に足元が悪く、どうしても足元に注意力を割かなければならず、集中して鳥を探せないからです。
鳥見ポイントをざっくりとマイマップに落とし込んでみました。青い点は個人的に良いと思った鳥のポイント、黄色の点は有益な施設です。マップをクリックすると、ポイントの詳細が読めます。参考にしてくださいね。
憧れの固有種に出会うには?
キナバル公園には、世界でもここくらいでしか見ることのできないド珍鳥がたくさんいます。そのなかでもキナバル公園のメインターゲットであるキンガオサンショウクイ、ノドグロキヌバネドリ、ムネアカジツグミ、アカガシラシャコ、オオミドリヒロハシについて現地のバーダーと情報交換しながら探しました。詳しい情報を載せておきます。
1.キンガオサンショウクイ(Fruithunter)の探し方
ボルネオの高山帯にのみ生息する一属一種の珍鳥です。こんなネーミングですが実はツグミ科の1種。ちなみに英名はFruithunterと言って、とってもお洒落です。なお、Fruitに複数形のsが付かないので、フルーツハンターではなくフルトゥハンタって感じの発音です。僕はそれに気づかずに、ずっとフルーツハンターって発音してました。恥ずかちい…。
キンガオサンショウクイは鳴き声を頼りに探します。xeno-cantやMerlinで、事前に鳴き声を予習してください。鳴き声のバリエーションは乏しいので、簡単に覚えられると思います。あとはひたすら鳴き声を頼りに、樹冠を探します。鳴き声自体は割と頻繁に聞こえましたが、木の高いところをウロチョロするので、しっかり観察できる機会は少ないです。
2.ノドグロキヌバネドリ(Whitehead's Trogon)の探し方
ボルネオ固有の美しいキヌバネドリです。僕は残念ながら雌にしか会えませんでした。探し方は他のTrogonと同じ。ひたすら集中して歩け、です。Trogonは鳴き声を頼りに藪漕ぎしても、不思議と見つかりません。1番多いのは、歩いていてふと見上げたらそこに居た、というパターン。
目視による正攻法で、足で稼いで探しましょう!
3. ムネアカジツグミ(Everett's Thrush)の探し方
図鑑やe-birdで確認してもらえれば分かると思いますが、分布域がめっっちゃ狭い世界的に希少なツグミです。しかも潜行性が高く、滅多にオープンな所に出てこないバーダー泣かせの鳥。キナバル山のターゲット種の中で、間違いなく難易度がトップレベルであると言えます。
そんな強敵ですがチャンスはあります。それは朝晩の薄暗い時間帯や、雨が降った直後。この時に道路上に出てくることがあるので、そこを狙いましょう。綺麗な写真は期待できないですが、姿をチラ見できたらラッキーくらいの気持ちで挑戦するのが良いと思います!
4.アカガシラシャコ(Crimson-headed Partridge)の探し方
頭が赤くて美しいキジの仲間。この鳥もボルネオの高山帯にのみ生息する固有種です。しかし最近は野犬が増えたので、個体数が減っているのだとか。
探し方は完全に運任せ。良く出現する場所は植物園ですが、それでも滅多に見かけることは無いらしいです。僕は初めて植物園を訪れて5分で見つけたので、なんだ楽勝やん(笑)って思いましたが、他のバーダー達に写真見せたら、めっちゃ羨ましがられました。相当ラッキーだったみたいです。うへへ♪
実際に4日間の中で、見れたのはその一回だけでした。ガサガサという音に注意しながら、植物園を中心に探しましょう!
5.オオミドリヒロハシ (Whitehead's Broadbill)の探し方
僕は見られませんでした。1日半、この鳥に全てを費やしたのに見られませんでした。一番見たかった鳥なのに、見られませんでした。周りのバーダーに見たい見たいアピールして車に乗せてもらってまで探したのに、見られませんでした。
あああああああ、悔しすぎる!!!!
いやね、それっぽい鳥はチラ見したんですよ。蛍光グリーンな色のやつが。でもヤマゴシキドリとかキエリゴシキドリとかの可能性が否定できなかったんでね…ライファーには加えませんでした。ぴえん。
一応、ポイントとしてはティンポホン・ゲートに向かう車道の、入り口のゲートから1.5km~2.0km付近に目撃情報が集中していました。
この記事を読んでいる、そこのあなた!ヒロハシラブの僕を差し置いて、オオミドリヒロハシを見てきたら許しません!!
(嘘です、頑張って探してきてね。)
キナバル公園の入園料
キナバル公園の入園料は50RM(≒1,500円)かかります。
もう一度言います、50RMです。いや、高すぎだろ!マレーシアなら安宿に泊まれる値段だわ!!
事前の情報では15RMでしたが、今年に入ってから値上がりしたみたいです。値上がりって言っても、普通は少しずつ上げるもんだろ?何で一気に3倍以上も値上がりするの!?しかも、マレー国民は10RM(≒300円)…理不尽だ(泣)
東南アジア旅の基本は値切ることですが、ここで粘ってもビタ一文負けてくれないので諦めて50RM払いましょう。まあ50RMがこの美しいキナバルの自然の保護に生かされると信じて、寄付したと思いましょう。
キナバル公園までの行き方、帰り方
僕は東ボルネオのサンダカンからキナバル公園に行くのに、高速バスを使いました。その時のnote記事はこちらです。
普通はコタキナバルからキナバル公園に行く方が多いと思います。その場合はコタキナバル郊外の、Inanamバスターミナルまでタクシーかミニバスで向かい、InanamからはRanau行きのミニバスに乗ってキナバル公園で降ろしてもらいます。まあ、実際に僕はこれで行ってないので、詳しくはよく分かりません。
コタキナバルに帰るには?
で、問題はキナバル公園からコタキナバルへの帰り道。これは意外とムズいです。一応、ラナウからコタキナバルを往復するミニバスがありますが、キナバル公園にはバス停が無いので手を上げて止めます。
でもキナバル公園は観光地であり、周辺を走っているミニバスのほとんどがツアー貸し切りのバス。見た目では区別できないので、ミニバスを見つけたら片っ端から手を上げましょう。でも、やっと来たコタキナバル行きのミニバスが、乗客が一杯で乗車拒否なんてことも良くあります。なかなかミニバスを捕まえられないので、コタキナバルへの到着時間は読めません。時間に余裕を持ってコタキナバルへ向かいましょう。
ちなみに僕は1時間ほど頑張りましたが、ミニバスを捕まえることはできませんでした。フライトの時間が迫っていてヤバかったので、イギリス人バーダーと割り勘してタクシーでコタキナバル空港へ行きました。50RM (≒1,500円) かかりましたが…
ミニバスを捕まえることが出来なかった時のために配車アプリをスマホに入れておくことをオススメします。Grabでは全く捕まりませんでしたが、maximでは簡単に捕まりました。
キナバル公園の宿泊施設
キナバル公園内にも何ヶ所か宿泊場所がありますが、どれも外国人の富裕層向けの料金設定でバカ高いです(1泊2万円近くします)。オススメなのは、公園外の国道沿いの安宿。僕はキナバル公園から1.5kmほど離れたAyana Resort Hotelにしました。Agodaで1泊2,400円くらいです。他にも国道沿いには沢山の安宿が乱立しているので、泊まる場所に困ることは無いでしょう。
ホテルの部屋はバルコニー付きの広い部屋でした。貧乏学生バードウォッチャーにとっては、十分過ぎる…いや勿体ないシロモノでした笑。
キナバル公園で飲食できる場所
公園内の施設:Gifts And Book Shop & Cafe
たぶん公園内でミネラルウォーターが買える唯一の場所です。植物園に行く道の入り口に位置しており、他にも軽食やお菓子が売っているので探鳥する上で何かと便利でした。
公園外の施設:Restoran Tahubang
公園の近くのレストランの中で1番安くて美味かったです。ほぼ毎日通いました。特にチャーハンとチキンが絶品でした!この2つはとてもオススメです。カレーミーやハンバーガーなども試しましたが、こっちは個人的にはイマイチでした…
探鳥する上の注意点
突然のスコールに気をつけて!
キナバル山は標高が高く、急激に天候が変化しやすいです。少し空が暗くなったと思った数分後にはとてつもないスコールが降り出すことも。日本の雨と違って、折りたたみ傘を持っていても全く無意味なくらいの大雨です。幸い、キナバル山に続く道中にはスコールを凌げる東屋が何ヶ所かあります。探鳥中には常に近くの東屋の位置を把握して、空が暗くなったらすぐに避難しましょう。
スコールの後こそチャンス!!
スコールがやんだら、鳥たちが一斉に活性化します。普段は森の奥深くにいるような潜行性の高い鳥たちも、道路の近くに現れます。僕はスコールの後に珍鳥のハゲガビチョウとムネアカジツグミを見つけました。スコールはずっと降り続くことは稀で、大抵は数十分で止みます。天候が悪いからと諦めて宿に帰るなんて勿体ない!東屋でスコールが止むのを待ちましょう。
ハチに注意!!!
僕は宿からキナバル公園に向かう途中でハチ(たぶんジバチ)に首と顔を刺されました。めっちゃ痛かった、というか熱かった?です。マジで最初はハチに刺された事に気づかず、何事かと思いました。幸いポイズンリムーバーとキンカンを持っていたので事なきを得ましたが、しばらく腫れましたねw。ちなみにこの時ポイズンリムーバーを人生で初めて使いましたが、普段から使い方を練習していたのでバッチリ使えました!ナイス僕!!備えあれば憂いなし、ですね。
それにしても、ヤバい毒を持ったハチじゃなくて助かったわ汗
キナバル山で撮影できた野鳥の紹介
最後に、キナバル公園とその周辺で撮影できた野鳥を紹介します。固有種以外にも魅力的な野鳥が沢山いて、本当に楽しかったですよ!
どうですか!?キナバル公園に行きたくなったでしょう?ちなみにキナバル公園は標高がとても高いので、赤道直下にも関わらずとても涼しいです。昼間でも25℃行かないくらい、朝晩は20℃を下回りちょっと寒いです。とても過ごしやすい気候の中、雄大なキナバル山と下界に広がるボルネオの山々の絶景を見ながらの鳥見…なんて贅沢なんでしょう。
キナバル公園には、ボルネオの固有種を観察しに世界中からバーダーがやってきます。彼らはとてもフレンドリーで良い方達ばかりなので、積極的に情報交換したりして、仲良くなりましょう!
それでは、皆さんも楽しいボルネオライフを!
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