見出し画像

医療圏における情報共有とは〜地域医療情報連携ネットワーク〜

こんにちは。
札場(フダバ)と申します。

今回は、『医療圏における情報共有』について説明していきます。
地域医療において、患者情報の効率的な共有が課題であり、日本では 2000 年代以降から地域の医療機関同士を繋ぐ地域医療ネットワークが多数構築されてきました。

地域医療ネットワークの構築はメリットも多いですが、課題も見らております。

本記事を通じ、医療圏における情報共有の現状や、今後の展望についてもまとめていきます。
それではどうぞ!



医療圏における情報共有

冒頭にも記載した内容ですが、医療圏における患者情報の効率的な共有を目指し、 2000年代以降から地域の医療機同士を繋ぐ地域医療情報連携ネットワークが多数構築されてきています

患者情報の共有は、医療機関の間に連携と分化を促進し、重複診療や不要な投薬などの過剰医療を抑止し、医療の質と効率を向上させる効果が期待されています。

またこれらのネットワーク構築では、参加する医療機関だけでなく、患者や住民側にも利点が存在します。例えば、診療や検査の重複を防止することにより、患者の経済的負担を軽減させる効果や、医療機関の連携により患者により適した医療機関の紹介等が可能になります。


医療圏に関しては、以前の記事でまとめていますので、気になる方は是非ご覧ください。



地域医療情報連携ネットワークとは

情報通信技術(ICT)を活⽤した情報共有の⼿段のひとつとして、『地域医療情報連携ネットワーク』があります。これは、患者の同意のもと、医療機関等の間で、診療上必要な医療情報(患者の基本情報、処⽅データ、検査データ、画像データ等)を電⼦的に共有・閲覧できることを可能とする仕組みです。

例として、、
<初患者さんが診察に来た際>
別の病院で治療を受けていた患者さんが、初めて受診した診療所で他院の治療内容を尋ねられたとき、それを医師に正確に説明するのが難しいことがありま す。そんな時でも、診療所で以前通院していた病院の診療情報が閲覧できるため、正確な情報に基づいた適切な治療が⾏えます。

<患者を地域の診療所から病院へ紹介するとき>
かかりつけ医が患者さんを病院に紹介することになった場合でも、紹介先の病院での患者さんの検査や治療内容を引き続き閲覧できます。引き続きかかりつけ 医に⾒守ってもらえることは患者さんの安⼼につながります。

などが例として挙げらます。
情報を共有することで、医療機関にも患者にとっても有効な手段となります。


地域医療情報連携ネットワークのメリット

『地域医療情報連携ネットワーク』によって関係医療機関の間で効率的に患者の医療情報を共有することが可能になることから以下の効果が期待されています。

患者に関する豊富な情報が得られ、患者の状態に合った質の⾼い医療の提供
⾼度急性期医療、急性期医療、回復期医療、慢性期医療、在宅医療・介護の連携体制の構築
投薬や検査の重複が避けられることによる患者負担の軽減


地域医療情報連携ネットワークの導入効果

2015年度調査によると、導⼊による効果として「医療機関間の⼈的ネットワークが進んだ」、「患者紹介の円滑化が進んだ」、「診療所にとって地域中核病 院のサポートが受けられるようになった」等が挙げられています。

出典:厚生労働省「医療情報連携ネットワークはなぜ必要︖」

医療機関等で患者さんの正確な診療状況を把握できることで、患者さんについての関係者間のコミュニケ―ションが増え、紹介、逆紹介、転院、救急搬送時の連携等が円滑に進むなど、患者さんへの円滑な医療や介護サービスの提供につながる効果があるものと考えられます。



現状の地域医療情報連携ネットワークや課題点

日本では主として二次医療圏 、高度な医療では三次医療圏で完結する提供体制を整備しているため、各地域の事情に応じた多様なネットワーク形態の構築を、多額の補助金を支出することによって試行的に進められて来ました。

その結果 、県によっては運営主体の異なる複数のネットワークが運用されている状態を招いています。本来、情報ネットワークは 、外部性を最大限に発揮するためにも全国レベルで統一した運用が効率的と考えられています。

日本全体として地域医療ネットワークの活用が低調である背景には、県内に運営主体の異なる複数のネットワークが乱立している点、システム構築・ 運用費用が高額である点、更新費の捻出が困難である点、運用に携わる専門家人材が不足している点、患者の同意取得に係わる負担が大きい点など、さま ざまな要因が指摘されています。


医療情報連携ネットワークについて以下の記事でまとめております。気になる方は、是非ご覧ください。


まとめ

今回は、医療圏における情報共有について説明しました。情報共有で重要になる、地域の医療機同士を繋ぐ地域医療情報連携ネットワークをより詳しく説明しています。

今後、質の⾼い医療提供体制及び地域包括ケアシステムの構築のためには、医療・介護サービス利⽤者も含めた関係者間での適時適切な情報共有が不可⽋になります。

地域医療情報連携ネットワークの構築には課題は沢山存在しますが、医療機関、患者ともにメリットが大きい内容ですので今後の動向を楽しみにしたいです。



弊社ALTURAは、健康診断を起点に医療体験の向上を目指しております。『健診結果web参照PHRアプリ』『健診システム』(クラウド型)の提供をおこなっておりますので、気になる施設様や担当者様はお気軽にご連絡ください。

札場
Tel:06-6123-8162
Email:m.fudaba@altura.co.jp

参考
・北見工業大学工学部「地域医療ネットワークの認知度と患者情報共有への賛否との関連」

・厚生労働省「医療情報連携ネットワークとは」

・厚生労働省「医療情報連携ネットワークはなぜ必要︖」

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?