ルイ ヴィトンで乾杯を 【前編】
月 日
とあるメゾンの内覧会に誘われた。
二七歳の僕は、一体どんな格好をして行けば良いのか、頭を抱えた。
僕にあるのは何シーズンも着古した〝古着〟か、肉体労働で酷使したワーキングウェアぐらい。スーツも考えたが、一組しか持っていなかった。大学に入った時に買ってもらったリクルートスーツ。試験監督や株主総会、催事運営などの屋内労働や幾度かの面接を経て…今やお尻がテカったあのパンツにキレイめなスニーカーでも合わせて…いや、ナシナシ。けれども「今度のパーティ何着て行けばいいと思