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不妊治療② 排卵誘発と人工授精

市内から一時間かけて通い始めた新しいクリニックは、紹介で通い始める方が多い、実力派のクリニックでした。
このクリニックでの不妊検査結果、早速 プロラクチンの血中濃度が高い、高プロラクチン血症であることがわかり、カバサールという錠剤を服用し始めました。

同時に、セキソビットとクロミッドによる排卵誘発を行うことに。

排卵誘発剤投与とは

排卵誘発剤を用いて卵胞(卵子)を発育させ、排卵を促す方法を排卵誘発法といいます。
通常は排卵障害のある患者様に行いますが、妊娠率を上げるために正常排卵周期を有している患者様にも行うことがあります。

恵愛生殖医療医院 
https://www.tenderlovingcare.jp/gairai/treatment/funin_chiryou/hairan_yuhatsu

排卵誘発をすると、誘発しなかった月に比べて卵胞の育つスピードが早く、排卵周期が早くなります。
薬で刺激している分、排卵痛がイタかった。
(排卵痛とは、卵子が排出される時に卵胞が破れ、卵胞液と血液が流れ出して腹膜を刺激することから起こるもの。)

ただ、タイミングを法では成果が出ず、誘発は続けたまま、人工授精にステップアップすることに。

人工授精とは

排卵の時期に合わせて、子宮の入り口から管を入れて精液を子宮内へ直接注入する方法です。 AIH(Artificial Insemination of Husband)と呼ばれることも多く、通常タイミング療法の次のステップで行う治療法となります。

恵愛生殖医療医院 
https://www.tenderlovingcare.jp/gairai/treatment/funin_chiryou/jusei

人工授精はスケジュールが立てにくく、仕事との両立に苦戦しました。
不妊治療で一番しんどかったのは、この時期です。

週に2-3回、定時後にクリニックに通いながら卵胞の大きさを測定し、排卵日を予測。排卵がきそうな日の前日にhCG注射※を打ち、排卵のタイミングで人工授精を行なわなければなりません。
なので、「明後日あたりに排卵がきそうですね。明日hCG注射打ちに来てください。明後日は何時に人工授精しますか?」みたいな事を普通に言われ、ドタバタと休みを取る調整をするのでした。

せっかく卵胞を薬で育てても、仕事の調整がつかず一周期見送りになる事もありました。
毎回、診療時間ギリギリ(時間を越して先生に待ってもらう時も…)にかけこむのが常態化した私に、
先生が「FMKさん、あまり立ち入った事言いたくないですし、仕事熱心なのはいいですけどね。会社はあなたの人生の責任を取ってはくれませんよ。」
と、厳しく言ってくださった事もありました。

※hCG注射とは、卵胞が18ミリ前後まで発育したところでhCG注射を打つことで意図的にLHサージを起こし、卵子を受精可能な状態に成熟させ排卵を促す注射のこと。

人工授精は、8回やりましたが、全部ダメでした。

正確に言うと、検査薬で陽性が出た周期に、血の塊が出てくることが度々あった。化学流産です。

また、前の周期に育ってた卵胞が遺残卵胞となり、そのまま育ち続けて巨大化(40mm)し、肝心のもう片方の卵胞が育たなくなる症状が続き、ピルを飲みながら卵巣の動きを止めることもありました。

通勤時 会社に向かう橋の上で、もう疲れた、身を投げたいと、月に一回、リセットが来るたびに考えてしまうので、小走りに橋を渡りました。
怒りや、やるせなさを全部仕事にぶつけるように、とにかくがむしゃらに働きました。
仕事にはたくさん救われました。

不妊治療で初めて知ったのは、世の中には、頑張ってもどうにもならないことがある。
むしろ、頑張れば頑張るほど、努力すればするほどに、ダメな方向に働くこともある。

その事実は、これまで勉強や仕事をコツコツ頑張り、『努力はいつか報われる』が信条だった私にとって、最高に皮肉なものでした。

FMK


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