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【Re】2023.09.14 ヴェネツィア

暑い日が続いている。

ヨーロッパに来て、最初は20度前後の快適さに最高!と思っていたけれど、1週間後には真夏に戻っていた。日本のように湿気が多くないので日陰に入れば涼しい。でも観光していると日向にいるしかないときも多い。

2回ほど、熱中症の手前のような症状になった。ヨーロッパでは気軽にトイレに行けないので、水分も普段より不足していたかも。

前回、プラハで書いたnoteの暗さったらない。ああ、疲れてるしテンションが落ちてたんだな、と今では分かる。観光すれば出会うものに心躍るけれど、一方で暑さですっかり体に引っ張られて、心も萎んでいたようだ。

ウィーンから夜行列車に乗って、朝、ヴァネツィア・サンタルチア駅に到着した。

海も、駅も、行き交う人もとにかく眩いばかりに光っている。湿気をはらんだ風と潮の匂いは日本を思い出す。浮上する心に、お?本調子かも?と思ったのも束の間。その日の夜には、またぐったりと疲れていた。

次の日、疲れているけど外には出たい。朝のうちはまだ日差しも気持ちやわらかい。でも、やっぱりサン・マルコ広場へ行くと、人の多さと暑さにもう引き返したいような心地になる。

人のいないところを歩こう。

幸いベネツィアは治安が良く、入り組んだ路地も昼間なら怖くない。おおまかな方角を頭に入れて、歩き出す。人の少ない路地は、細いのでほとんどが日陰なのもちょうどいい。歩くリズムに合わせて、心が落ち着く気がした。

ベネツィアの離島、ブラーノ島へ。カラフルな家とレース編みが有名な島は、観光客も多いけどベネツィアよりも日常感があって、心地よかった。壁の色とカーテンや植物が抜群のコーディネートの家を見つけると、感想を伝えたい衝動に駆られる。

そのまま、隣のマッツォルボ島へ歩いて行った。本島から船で来る時に、誰も降りないけどなんだか良い空気が流れている気がして。

私の先に2組ぐらい観光客が歩いていたような気がしたけど、すぐに見失った。家の中から生活音が聞こえてくるけど、歩いている住民も少ない。誰もいない広場を、ひっそりと抜けていく。

途中、遠くの畑にいるおじいさんが私に気づいて「あっちだよ!」と道を教えてくれた。(迷子ではなかったんだけど、嬉しい)

船着場に着いて、地べたに座ってみる。波の音と、風の音、たまに虫の羽音。ああ、疲れていたのは体もだけど、一人になれない心もだったんだな、とようやく気づくことができた。

一人の時間が必要な自覚はある。今回はドミトリーで寝る前にKindleで本を読んだり、移動中もひっそりと好きに過ごしていたから、大丈夫だと思っていた。でも、周りに人がいるというだけで私のエネルギーはすこしずつ漏出していて、気づけばガス欠になっていたみたいだった。



プラハで現地に住む日本人の方に街を案内してもらった時、ヨーロッパの人のバカンスの話になった。長いバカンスを取る際、最初の1週間はスイッチを切るために使って、2週間目からひたすらダラダラするんだ、と。

なるほど、休むことを大事にしているヨーロッパの人でも「きちんと休む」には時間を要するのか。それなら、休み慣れていない私がスイッチを切ったり、「本当に休めている状態」に気づくのに時間がかかるのも仕方ないか。

今、私はドゥフロブニクのホテルの個室で、ベッドに寝そべりながらこのnoteを書いている。今日は丸一日、外には食事以外出ず、洗濯して、noteを書いて、Youtubeを見たりして過ごした。

そういえば、今年やりたいことの1つに「月に2日は空白の日をつくる」と書いていたんだった。

大事なことでも忘れちゃうこともあるし、でも何度でも思い出したらいいんだな、と思えた、ヨーロッパ最後の1週間。

もうすぐ、帰国する。

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