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【Re】2023.08.26 - 27 ロンドン→パリ


図書館があまり好きではなかった。

小さい頃親に連れて行ってもらえる場所といえば、図書館か美術館。ショッピングモールで買い物とか、外食とか、そういう娯楽の習慣が無い家だった。

幼いながらに「本を読みなさい」という圧を感じ取りつつも、興味が持てるものと巡り合うのが難しくて、『366日の誕生石』という誕生石の図鑑を何度も繰り返し借りた。(そこで自分の誕生石が鉄だと知って、もっとキラキラした宝石がよかったな、と当時はがっかりして、他の誕生日を眺めてはこれがいいかな?こっちかな?と妄想していた。)


大人になって、図書館とは良い施設だなと思うことが増えた。

本を1冊作るために何人もの人が関わり、心血を注ぐことや、そのための途方もない知識の蓄積、己と向き合う苦しみ、いろんなことを想像できるようになって、本そのものや、それをひとところに集めて誰もが読めるようにすることの公共性は、人が人を想う気持ちの結集だなと思った。



日本からいくつかの仕事を持ってきていた私は、会議や作業ができる場所を調べるうちに図書館へと辿り着いた。


まずはロンドン、大英図書館。

開館時は入場待ちの列ができている


午後にはユーロスターでパリへ移動する予定で、大英図書館は出発駅のセント・パンクラスの真横。機内持ち込みサイズならロッカーに荷物を預けることもできて、私以外にも旅行者らしき人をたびたび見かけた。

大きな吹き抜けから日差しが差す2階のフリースペースで作業。電源も確保。他のフロアに行けばもっとたくさんのワークスペースがあるようだった。
作業する人、読書をする人、会議をする人、めいめいに過ごしているけれど、決してうるさくない。席と席の間や通路のスペースが広いことも、ゆったりできる理由かもしれない。

もしロンドンに住んだら、きっとここに通って仕事をするだろうな、と思った。

セント・パンクラスの出発待ち。パスポートチェックもしっかり。


ドーヴァー海峡を渡り、パリへ。
パリのホステルはかなり規模が大きく、各フロアに作業スペースが設置されていたので、そこでの作業も捗った。

ホステルの作業スペース


でも、ロンドンで味をしめた私は、パリでも図書館での作業にチャレンジしてみることにした。

パリの図書館は、なんとポンピドゥー・センターのなかにあるのだ。入り口は美術館と同じだけど、レーンが分かれていた。「BPI」と書かれた表示に沿って進む。

ビビットに色分けされた表示。緑が図書館。

入ってすぐ、作業スペースがあった。奥に進むと、さらに本棚と作業スペース。作業スペースはかなり埋まっていて、みんな真剣に本や資料、PCと向き合っていた。7割くらいの確率でスウェルのボトルが机にあって、ペットボトルは見当たらないのがフランスっぽい。

ロンドンとは違って、かなり静か。静かすぎて、私にはちょっと集中しづらかった。それでも、真面目に勉強や仕事に打ち込んでいる人が集まる空気は、仕事を進めるのにぴったりだった。

奥に見えるのが作業スペース


作業に一区切りつけて、さすがに外食したいなと思って屋上のレストランへ。パリを一望できて、やっと移動してきた実感が湧いてきた。

ビーフタルタル、最高!
すべての席にピンと背筋の伸びた薔薇が一輪


レストランでは隣が日本人の母娘で、たくさん話をした。日本を出発して、ミーティング以外で日本語で話すのは久しぶりで、嬉しい。

女の子に、リサとガスパールのリサ達はポンピドゥー・センターの配管に住んでいて、いたずらばかりするというのを教えてもらった。知らなかった!イラストだけ見て、もっと癒し系の作品とばかり…。何かを教えてもらえるって、嬉しいなあ。

パイプのどこかにリサガスがいるらしい


お母さんは若い頃に一人旅されていたようで、いろんな国のお話を聞かせてもらった。二人でロンドンに来る前は、お父さんと一緒にアイスランドへ行っていたらしい。

アイスランドは行きたい国のうちのひとつなので、次は必ず。(せっかくなら寒い時期に行きたいし、物価がネックになって今回は見送った。)

思い出に一緒に写真も撮ってもらったら、写真の中の自分が思いのほかいい笑顔だった。うん、ちゃんと楽しめてる。


観光地めぐりも楽しいけれど、今この瞬間に人が生きている世界が好きな私にとって、現地の人に混じって作業する、というのは結構良い体験なのかもしれない。

(ちなみに、パリの作業場所は結局ホステルのワークスペースに落ち着いた)

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