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『ジャックと積み木の塔』フィードバックまとめ・振り返り

2019年3月、就活用にUnityで制作した3Dプラットフォームアクション『ジャックと積み木の塔』。今回は、本作を友人や後輩に遊んでもらった雰囲気のまとめと、反省点や制作期間の振り返りをしていきたいと思います。ゲームは下の記事から遊べますので是非。

感想・フィードバックと反省点

今作はノリと勢いで押し切って完成させたので、相変わらずテストプレイを第三者に頼んでいません。というのが、やはりすべての根源に違いない。

・操作難度が高い

まず、プレイしていただいた多くの人に共通していたのが、「慣れるまで操作が難しい」点。もちろん多くのアクションゲームは習熟過程をゲームデザインとして取り入れていますし、本作でもレベルが進行するに従って難易度が上昇していくようには作っています。しかしどちらかというと今作で大きな課題となったのは、「基礎操作の分かりにくさ」でした。

本作のプレイヤーキャラクターはびっくり箱のジャックで、ばねでできた体を縮ませながら動きます。本作でも多くのプラットフォームアクションに倣い「移動」「ジャンプ」の二つを基礎操作としていますが、そのジャンプの挙動を独特なものにしたのが仇となりました。ジャックは体を縮みこませるほど反動でより高くジャンプができるため、「スペースを長押しするほど体が縮み、離すと同時にジャンプする」という挙動にしています。多くのアクションではジャンプ入力は押した瞬間に処理されるため、そうしたゲームに慣れているプレイヤーほど混乱する仕様だったかもしれません。

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ゲーム中に表示される、ジャンプ高さについてのチュートリアル。下手に非言語寄りな表現にしたせいで理解しづらかったり、没入感を高めるためにステージ背景に埋め込んだせいでそもそも見づらかったり、というのも操作が伝わりにくかった要因か。

・レベル(ステージ)難度が高い

そして、こちらもやはり拭えない部分は見られました。これまでの作品では「ゲームを難しくしすぎる」という反省点を度々感じていたため、今作はかなり注意を払って易化に努めたつもりではあります。しかし、やはり「こんな簡単操作でクリアできてしまうのはつまらないから、ほんの少しだけ調整しよう」と思った箇所で、ことごとく詰まってしまう場面が。歯車の歯に巻き込まれて進めなかったり、若干素直には進めない迷路で行き詰まったり。高所の移動床では落ちることを想定してエレベーターを配置したりしましたが、それでも何度も落ちると時間がかかってしまったり。やはり操作に熟達しているプレイヤーからしたら楽々クリアできるようなものでないと、ステージ1-1にしては難しすぎるということを改めて学びました。

結果的に、テストプレイでは4分でクリアして満足していたのが、初見プレイヤーは総じて20分かかってしまうステージに。それでもプレイしてくれた人は全員飽きた~とは言わず、最後まで楽しそうにプレイしてくれたのが良かったです。もう少しコンパクトに遊べるようにします。やはり、事前にテストプレイしてもらうのは絶対必須ですね、絶対。次こそは絶対の絶対にやってもらうぞ。絶対。(暗示)

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20分も遊んでくれてうれぴ

・VR版の実機テスト不足

最後に、本作のOculus Go版についての反省点。本作は「Oculus GoでもVRゲームの楽しさを知ってもらえるような遊び」というのをコンセプトに着想したため、ゲームの作りとしては十分VRで遊ぶことを考慮に入れたデザインにできていると思います。しかし、完成したゲームを実機で遊んでみると、一つ大きな問題点が浮かび上がりました。

Oculus Goのコントローラーは下図のようになっており、上面のタッチパッドと裏面のトリガーが主な入力手段となっています。主に映像視聴をターゲットとしたデバイスなのでそもそもゲーム向きではないのですが、これでタッチパッドを移動、トリガーをジャンプに割り当てでもしたらさあ大変。トリガーを長押しすると体が縮み、トリガーを離すとジャンプ、同時にタッチパッドを押し込むことで空中を移動して隣の足場へジャンプ……親指と人差指を握ったり離したり、自分で初めて実機プレイしたときに混乱しすぎて吹っ飛びました。しかし制作終盤だったため、軌道修正することもできず。やはり最初から想定していたなら、最初からめんどくさがらずに実機でテストプレイをすべきでした。やっぱりこちらもテストプレイ不足なのだった。

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Oculus Goのコントローラー。ヘッドセットの見た目はピカイチだけど、やはりゲーム向きデバイスではないのだった、、

制作の振り返り

そんなこんなで数年ぶりになんとか完成まで走りきった本作『ジャックと積み木の塔』ですが、反省点は多々あれど、ひとまず「こういうゲーム作ってます」と見せられる程度には満足のいく出来になったと自負しています。うむうむ。

制作自体は着想~完成まで一ヶ月足らずで、2019年3月1日に新卒エントリーが解禁した直後、思い立ったが吉日とばかりに「いやこれゲーム作れば未来変わるっしょ!」という勢いだけで取り組んだ記憶があります。実際これを作っていなかったら自信を持ってアピールできる作品が用意できていなかったかもしれないので、割とクリティカルに活躍してくれたと思っています。

着想は度々述べている通り、「Oculus GoでもVRの楽しさが伝わるゲーム」でした。この着想のきっかけは、勢いで買ったOculus Goが特に使われることもなくホコリを被っていたことに起因します。Oculus Goが発売されたのは2018年の5月で、当時はついにスタンドアローンのVR HMDが登場した! という熱気に包まれてしました。流されて買ったことを後悔しないことはないですが、個人的にはPS VRに並んで見た目が気に入っていることもあり、今は飾り物として活躍してくれています(?)。せっかくスタンドアローンのHMDが登場したし、もしやこれを就活で用いる初めての世代なのでは? という厨ニ心がくすぐられたこともあって、Oculus Goを起用するに至ったというわけです。

その後ジャンルとしてプラットフォームアクションを選択した理由としては、まず第一に好きなジャンルの一つであること、次にシューティングゲームのような(就活生として)ありきたりなジャンルからは少し離れられることが挙げられます。何より、Oculus Goでゲームを作る際の制約である「体を動かせない」「複雑な操作ができない」といった点をカバーしつつ、「画面フレームに縛られずコースを見渡せる」「立体的なコースが目の前に飛び出してくる」といったHMD VRの利点も取り入れられる、という天啓が、「上限に伸びる塔の外周を登るプラットフォームアクション」として飛び込んできたのです。

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特別に全景を公開。塔は3つのセクションに分かれ、第一層はチュートリアル、第二層~第三層は一つ一つ「おお~、こう来るか!」と思わせることをテーマとしたアスレチックたちが続きます。お気に入りは第二層最初の水色の風車。地味にこんぺいとうをばらまくのがめんどかった。

その後基本的な仕様とレベルデザインの大枠(外周を回りながら登る、全体を3階層に分ける)が決まり、Tinkercadを用いたステージオブジェクトの作成、3D Builderを用いたチュートリアルオブジェクトの作成、Blenderを用いたスコアオブジェクト(こんぺいとう)の作成などを行いつつ、基本システムの実装(カメラワークやプレイヤーキャラクターの挙動制御など)、レベルデザインパーツのprefab整理、レベルデザイン用汎用スクリプトの整備などを随時進めながら、ちまちまとステージオブジェクトを配置していきました。

また本作の開発コンセプトとして、「就活のポートフォリオとするため、今できる最大の能力で今作れる最高のものを作り上げる」という目標も掲げていました。そのため本作では1ステージにも関わらず汎用的なスクリプトを多く作っていたり、デバッグ用の飛行モードが搭載されていたりと、表に出ない工夫も多く盛り込まれています。どうせ1ステージしか作らないので無駄な労力かもしれませんが、就活のポートフォリオにするのであれば、細部へのこだわりも肝になってくるのではないでしょうか。

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開発画面。prefabの配置でかんたんにコースを組み立てられるようにしたり、ステージオブジェクトの挙動制御などはできるだけ一つのスクリプトで汎用的に表現できるようにしたりと、その後のステージ開発を見据えた設計にも注力しました。

一日の作業時間は10時間前後で、起きたら開発、お腹空いたら配信見ながらご飯、食べたら開発、眠くなったら昼寝、起きたら開発、呼ばれたら夕飯、食べたら開発、汗が気になったらシャワー、上がったら開発、眠くなったら就寝、そして起きたら開発……という生活を三週間ほど続けていたと思います。真面目な話、ゲームやアニメはもといVtuber生配信も話半分で開発にのめり込んでいたので、エンジンが掛かったときは本当に狂っている。別に春休みでもなかったんですが、3月は3回も顔を出さなかったんじゃないかな、研究室。おかげで今年の後輩と馴染むのに時間がかかりました。

ま、久々に命燃やして楽しめたので、かなり充実した一月だったんじゃないかと思います。これは本当のやつなんですが、開発中は本当に「溶けるように」時間が過ぎ去っていきました。昨日からぶっ続けで開発してる気分だけど、すでに3週間経過してる、くらいの感覚。体感とカレンダーの日付が認識した上で一致しない感じの、まさにデベロッパーズ・ハイ。みんなも一度経験してみてね。

今後の予定

最後に、今後は何をやっていきたいかについて、今の考えをまとめておきます。

……そういえば、就活終わってからnoteで報告してないな……? 一応就活体験記として改めてまとめるつもりではいるので、詳細はそちらで。ひとまず満足のいくお仕事に就けることになりました。

ということで、来年度からは新社会人となります。そもそも全然活動していなかったのにさらに活動時間が圧縮されるわけですが、それとこれとは別として、やりたいことが圧縮されるわけではありません。いつでもやる気だけは無限大。

まず、今年度について。今年度はガッツリと時間を確保できる(多分)最後の年であるので、できるだけ集中的な時間を要する「基礎学習」に時間を割きたいと思っています。例えばイラストの練習とか、DTMの勉強とか。ただ高望みしすぎてやる気が出なくても時間が無駄になってしまうので、基本的にはゲーム制作でもゲームプレイでも、やりたいことをやりたいようにやるつもりではいます。

という感じなので、珍しく今年はゲーム制作よりもイラスト制作の方にモチベが傾いております。直近ではライザリン・シュタウトを100時間くらい(誇張)かけて描いたりしていますが、段々と自信がつきハードルが下がっていくといういいスパイラルに入れているので、うまくいけば今年いっぱいでゲーム制作と肩を並べるくらいにはラフに取り組める分野にできるかもしれません。わくわく。

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着々と上達してきていると思います

DTMについては、やりたいとは思いつつ進んでいないのが現状。イラストと対照的にハードルが高く、なかなか取り組めないので自信もつかない、というペースです。ただ社会人になってからでも取り組めないわけではないので、焦らず一つずつマスターしていければなと思っています。

そして来年以降、長期的な目標としては、やはり古来より温めてきているゲームタイトルに手を付けていきたいと思っています。何度も取り組んで何度も投げ出しているタイトルですが、もはやこの作品から逃げてゲーム制作のことを考えることはできないと分かっているので、のんびりとした目で向き合っていきたいなと思います。

そんな感じで、来年以降はお仕事を頑張りつつ、趣味でもちまちま活動していけたらなという所存です。がんばるぞー。

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