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コロナ禍だからこそより響く!料理ブログ本がヒットする理由

こんにちは。フーディストサービスが運営する料理ブログのポータルサイト「レシピブログ」編集長の久永です。

レシピブログ」は17,000の料理ブログをネットワークする日本最大級の料理ブログポータルサイトです。アメーバブログがスタートした翌年の2005年にスタートしたサービスで今年の夏に開設16年目を迎えます。サイト上には100万点以上のレシピが掲載されていて毎日の暮らしに役立つレシピを自由に検索できるようになっています!

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私は2008年に着任したのでかれこれ13年もの間、本サービスに携わっていますが日々魅力的なフーディスト(料理ブロガー)さんや素敵な料理レシピとの出会いがあるので、まったく飽きることはないんですよね。
料理ブログを通じてみなさんの毎日の暮らしの中の大切な1ページにお邪魔しているような感覚で、仕事とはいえ幸せなことだな~なんて思っています。(たまに仕事中にお腹が空いてしまって大変な時もありますが…(笑))

さて、今回は料理ブログ本が今もなお支持される理由に焦点をあててお話ししたいと思います。
おかげさまでレシピブログは設立以来、現在までに50冊以上の公式ムック本を刊行しています。レシピブログに登録しているフーディストさんの書籍もあわせると600冊以上にのぼります。最も人気のフーディスト・山本ゆりさんに至っては自身の料理本がシリーズ累計で630万部超の大ヒットとなっています。
▼山本ゆりさんの過去インタビューこちら!


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昨年はおうち時間の増加で自炊のニーズがあがり、サイトアクセスは通年の2倍以上に、ムック本の増刷回数も過去最高の10回にのぼりました。と同時に、ユーザーさんがいかに毎日の献立作りに悩んでいるか…を実感した年でもありました。
まずは料理ブログ本はいつから誕生したのか、その歴史からひも解いてみたいと思います。

料理ブログ本っていつ誕生したの?

今やブログに限らずInstagram、YouTubeなど様々なSNSインフルエンサーの本が誕生していますが、国内で初めて料理ブログをベースにした本が生まれたのは2006年になります。

当時、人気の料理ブログ「こうちゃんの簡単料理レシピ」を一冊の料理本に編集したのが始まりです。無料で楽しめるブログをわざわざ本にして有料で販売することにした理由を、担当編集者であった宝島社の井野澄恵さんが以下のように語っています。

「ブログのファンの数がデータでわかっていたこと。さらにそのファンが日頃、ブログをプリントアウトして使っていることから一覧性の高い本にしたらブログのファンに喜ばれると確信。いわゆる今までの料理家さんの本との差別化を図るため、ファンのコメントをヒントにワンポイントアドバイスを入れたり、アクセス数から人気レシピランキングを掲載したり本だからこそできる誌面作りを心掛けました」。
※宝島社プレスリリースより(2010.03)
https://tkj.jp/company/release/2010/doc/100315.pdf

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※左から「こうちゃんの簡単料理レシピ」「YOMEカフェレシピ」「作ってあげたい彼ごはん」(宝島社刊)

確かに料理ブログ本の構成に注目すると、レシピ点数が豊富でおすすめポイントやアレンジ方法、冷蔵庫での保存日数など細かな情報がびっちり網羅されていることに気づかされます。200以上のレシピが収録されていて1,000円以下の価格は衝撃ですよね。もうお得以外の何物でもない!
そして当時、何より際立ったのが「こうちゃん」という存在。料理人や管理栄養士ではなく身近なお兄さんとして冷蔵庫にある身近な材料で簡単なレシピを次々と発信する彼の存在がテレビや雑誌などメディアでもひっぱりだこになりました。

結果、10万部でベストセラーといわれている料理本業界で、本書はシリーズ累計で190万部のヒットとなりこれを機に宝島社ではYOMEちゃんの「YOMEカフェレシピ」シリーズやSHIORIさんの「作ってあげたい彼ごはん」シリーズなど次々と話題の料理ブログ本を生み出していきます。

時代の流れと共に変化する料理ブログ本

以降、主婦や会社員の料理ブログが注目されるようになり、レシピブログにも様々な個性を持つ魅力的なフーディストさんが増えていきました。それに呼応するように次々と新しい料理ブログ本が出版され、世の中の動きと共にトレンドや細かなニーズに沿った内容が増えていきます。

例えば2011年の東日本大震災の時には節電意識が高まり、火や電気を使わない省エネレシピが多くブログで発信されました。時短や節約レシピが前向きにとらえられるようになり、積極的に毎日の料理に取り入れる人が増えてきました。

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※左から「レシピブログ 少ない電力&火力でおいしくつくる」(宝島社刊)
ジャーサラダ」(宙出版刊)「ロッジ発 スキレット絶品レシピ」(イカロス出版刊)

さらにスマホの普及により2013年以降からはInstagramやTwitterなどのSNSで多くの料理がシェアされていくようになります。「おにぎらず」「ジャーサラダ」「スキレット」「わんぱくサンド」…などいわゆる写真映えする料理が短期間で拡散されトレンドが生まれるスピードも速くなります。

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※左から「 自家製ミールキットが新しい! ゆーママの平日ラクする冷凍作りおき」(扶桑社刊)「てんきち母ちゃんの ゆる糖質オフのやせる献立」(扶桑社刊)「コンテナひとつでしみじみおいしい! たっきーママのレンチン作りおき」(扶桑社刊)

2017年には共働き世帯が専業主婦世帯を上回るようになり、「作り置き」「冷凍保存」「レンチン」「〇〇しない(揚げない、包まない…など)」などいかに時間をかけずにおいしい料理が作れるかが重視されるようになります。
同時に人生100年時代という言葉が出始めたのもこの頃からです。日本人の健康寿命が延び、健康意識の高まりでここ数年は「糖質オフ」「高タンパク低カロリー」などにも注目が集まっています。

上記であげたキーワードは全てレシピブログの検索データに連動しており、ブログ内で紹介されているレシピに紐づいています。時代の流れや今、必要とされている事を敏感にキャッチするフーディストさんのレシピが読者に響き、そのニーズがそのまま書籍という形になって表れているのです。

いま料理ブログ本が求められている理由

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冒頭でもご紹介したように、昨年は新型コロナウイルス感染症の影響でおうち時間が増え、普段料理をしなかった人が料理をはじめるなど、家庭で料理を作る頻度も増えました。自宅で外食気分を味わおうとレパートリーを増やしたり、子供と一緒にお菓子作りを楽しんだり、パン作りがストレス解消につながったといった話も聞いています。

そういった声に答えるようにフーディストさんは「#stayhome」「#おうち時間」というタグをつけ自身のアイデアをどんどんシェアし、料理を通じて互いを励ましあうといった交流が生まれました。

そして簡単で手軽にできる等身大のレシピが詰まった料理ブログ本へのニーズも、それらに連動するように上昇しています。自身が普段、閲覧しているフーディストさんの本なら信頼できるし味の好みや傾向もわかっています。編集者の手により厳選したレシピが収録されているので、膨大なレシピの中からネット検索をする時間や手間も省けます。その安心感が毎日の料理作りに負担を感じている人や悩んでいる人への一筋の光になっているのでは…と思うのです。

コロナ禍で料理に目覚めたという方、多いのではないでしょうか。無料でレシピ検索ができる時代ですが、手元の料理本をパラパラとめくりながら献立を決める。そういった時間の使い方も素敵ですよね。ネットと本の両方の良さや利便性を使いこなせるともっともっと日々の料理や暮らしが楽しくなるのでは…と思うのです。

次回は「人を惹きつける料理ブログとは?人気フーディストの5大要素」についてご紹介する予定です。どうぞお楽しみに♪

【この記事を担当した人】
久永千恵(ひさながちえ):レシピブログ編集長兼フーディストサービス統括リーダー 。デザイン専門学校の企画営業や出版社勤務、大手ECサイトのディレクターを経て、アイランド株式会社に入社。現在は料理ブログのポータルサイト「レシピブログ」の編集長及び、フーディストサービス統括リーダーを務める。料理は得意ではないけれど…作ってみんなで楽しく食べるのは好き♪いまリピートしているのはMizukiさんの「チーズタッカルビ」です!

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