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9月16日:『本・映画・音楽・hyperpop・音楽制作』

(サムネイル画像:Charli XCX『Pop 2』ジャケット)

【最近買った本】

①藤本タツキ『ルックバック』集英社, 2021年
読み切りマンガ。webで読んで大変なことになったので買うと決めていた。しかしこれが500円で買えるなんて…
時々読み返すたびに、自分に「つべこべ言わずとにかくやれ!馬鹿!」ってブーストがかかる

②山川出版社『詳説 世界史B 改訂版』
世界史の教科書。
あれから十年…高校の授業で使っていたアイツが2017年版になって帰ってきた!

③赤瀬川原平『芸術原論』岩波書店, 1988年
今まで赤瀬川原平というアーティストは知らなかったのだけど、
「芸術という言葉はもう二百年近く使用されてきたが、自分でも改めて使ってみながら、やはりそれが耐用年数のぎりぎりにきていることを強く感じる。具体的にはデュシャン以後、それは急速に摩耗した」(p.330)
という抜粋から興味をもった。まだ全然序盤だけど「野次馬の群衆の形はなぜ上から見ると綺麗な円になるのか」「電車ではなぜ、意識せずとも乗客の密度が均一になるよう車内に分布するのか」「何事も例外はあるが、ヒトは必ず死ぬという"必ず"が不思議だ」というように、ものの見方がフレッシュで楽しい。

④ジョナサン・ハイト『社会はなぜ左と右に分かれるのか 対立を超えるための道徳心理学』訳=高橋 洋, 紀伊國屋書店, 2014年
大学時代からずっと読もう読もうと思いつつ、いつの間にか放ったらかしになっていた本。精読始めてまだ2章の途中。
ここまで読んだところでは、
・人は「道徳」をどうやって身につけるのか?という議論の変遷についてのあれこれ
・人間の「理性」と「情熱」、どちらがどちらの召使いか?という話
が面白い(たぶん全然本題に到達できてないという)

⑤スティーブン・スローマン&フィリップ・ファーンバック『知ってるつもり 無知の科学』訳=土方奈美, 早川書房, 2018年

↑のnote記事で興味を持った。まだちょっとしか読んでないけどめちゃ面白い。
人間は素晴らしい知性を持ちながらも、なぜ、がっかりするほどの無知も持ち合わせているのか。という話
コロナ禍以降のあれこれについても大事なことが書いてある、ような気がする
少し前に読んだトム・ニコルズ『専門知は、もういらないのか』とも一部共通する内容

⑥ポール・D・ミラー『リズム・サイエンス』訳=上野俊哉+今西玲子, 青土社, 2008年
DJ Spooky that Subliminal Kid=ポール・D・ミラーによる音楽論、というかほとんど詩。
コンピュータを介した現代の音楽や、DJのミックスについての哲学、みたいな。
半分くらいは何言ってっか意味わかんないんだけど、時折「はっ…!!!!」っとする表現が出てくる本。
「音楽制作」という行為の捉え方についても色々示唆に富む。
今後バイブルになるかもしれないような底知れなさがある

⑦岩内章太郎『〈普遍性〉をつくる哲学 「幸福」と「自由」をいかに守るか』NHK BOOKS, 2021年
「メディアやSNSを通じて、一生懸命頑張っている人、充実した生を送っている人、新しい分野で成功した人の情報は常に入ってくる。情報が全体化することで、「地元で一番」では満足できなくなり、インターネットで検索すれば、自分と同じ年齢なのにすごい人がいくらでも見つかる時代になった。ここで、そうはなれない自分に疲れるのである。生まれたときに自由のチケットを一方的に渡してきて、それを死ぬまでに使い切ることを要求する社会が嫌になるのだ」(p.274)
↑この抜粋を読んで即買い。したものの、現代思想(それもかなり最近め)の文脈で書かれており結構難しい。

⑧美術手帖 1090号『特集 アートの価値の解剖学』美術出版社, 2021年
アートにおいて「価値」とは何か。「価格」とは何か。みたいな
美術館の役割の変化とか「批評の不在」「"アートのビジネス教材化"の功罪」について語る記事が面白い。資本主義社会とアートの関係って色々とほんとに大変だ

⑨角南圭祐『ヘイトスピーチと対抗報道』集英社新書, 2021年
関東大震災直後に起こった朝鮮人虐殺について書かれた、加藤直樹著『九月、東京の路上で』&『トリック』を読んで以降、そういえばヘイトスピーチ等の問題について結構知らないことがあるなと思って購入。
「ヘイトスピーチは表現の範疇に入るものではなく、暴力そのものだ。暴力に対して、中立はあり得ない。 “私は差別をしない”ではなく、“私は差別に反対する”という姿勢が求められる」(p.10)

⑩吉本隆明、坂本龍一『音楽機械論』トレヴィル, 1986年
先日青森市の古本屋「らせん堂」で購入。とにかく本そのものがでかく、ブツとしてカッコいい
内容は、坂本龍一の作曲について吉本が尋ねつつ対談、みたいな感じか。
作曲についての話題以外にも、ケージやら中島みゆきやらヒップホップまで色々語っていておもしろそう。しかも7インチのソノシートがついてる!どうも吉本と坂本の共作曲が収録されてるっぽい。

⑪ちくま哲学の森『定義集』筑摩書房, 1990年
古本屋「らせん堂」で購入。五十音順に、いろんな言葉の「定義」が羅列されている。
ただ、この本が面白いのは、それがいわゆる辞書などとは違って
古今東西の名作文学や聖典、歴史人物の名言などから「〇〇とは××である」などと語られている部分を(項によっては複数)引用することで、その語り口や引用元の背景も含めて多面的に定義を指し示していく、という!!
例えば【愛】の項では、「愛」について語られている19もの引用が並べられている。各々の表現の微妙なニュアンス・捉え方の違いを通して、「愛」という言葉のもつ多様な意味合いを推しはかることができる。(よって広辞苑みたいに全ての言葉を網羅しているわけではない)
そしてこれは、引用元の名作・名著への導入ともなり得るという…
天才の発想だね…

⑫粟田賢三、古在由重 編『哲学小辞典』岩波書店, 1979年
古本屋「らせん堂」で購入。
色々と哲学用語多めの本が増えてるのにほとんどそういうの知らんので手引きになればと。ただ、今気付いたけど、1979年なので万能ではなさそう…


馬鹿みたいに買いすぎてるので、今後は最低一冊読み終わらない限り次買わないようにする
ルックバック、世界史教科書、哲学小辞典はさておき、今年中に少なくとも上記の本を全部読み終えられなかった場合の罰ゲームを考えないと…


【最近観た映画】

『ミッドサマー』
感想:人間の転落死を、それはもうしっかりと引きの画面で見せるのよかった。それ以外にも、目を背けたくなるようなシーンを克明に見せつけてくれてよかった。
観る前、物語的にもツイスト効いてるんだろうなと勝手に思ってたけど、意外とストレートに「若者がヤバい村に来て大変な目に遭って死ぬ」やつだった。

『2001年宇宙の旅』
つって何回も観てるので感想は別に…
だけど一つ思ったのは、序盤のヒトザルのパートだけ画面が少し汚れたようになってるのはどういうこと?っていう。作為的っぽくて、「予算の都合」とかやむを得なかったような感じでもなさそうだけど…
それにしてもヒトザルの造形って、中に人が入って演じてるとわかってても怖いガチの野蛮さがある。

『ガタカ』
いつも観てるので感想は別に…
しかしエンディング好きだな〜、ジェロームの焼却炉とロケットの噴射を重ねるやつとかさ…音楽もいいよね

【最近聴いた音楽】
Flume『Hi This Is Flume』
Big Red Machine『How Long Do You Think It's Gonna Last?』
光学『Opto3: Neibiss』
arauchi yu『Sisei』
glaive『all dogs go to heaven』
Senses『seventh heaven』,『idle state』
Cleo Sol『Mother』
Thom Yorke『ANIMA』

しかし『Hi This Is Flume』は超カッコ良かった!
グニャグニャしてるかと思えばギザギザになったりカクカクしたり
なんつうか、biomorphicって感じ


(今俺が作ってる曲も完全にFlumeを意識している。。)

トムヨークの『ANIMA』実はちゃんと聴いてなくて、何となく「柔らかシンセ音楽」って印象だったけど意外と後半アグレッシブだった
James Blakeの新作ちょっとこんな感じだったりしないかな〜とか思った


Big Red Machineも良かった。まず音が良くて、ヴァイナルで欲しくなるタイプ。
"Reese"の後半のギター超いい。"Phoenix"は一瞬George Harrisonのあの曲やってんのかと思った。続いてTaylor Swift客演の2曲もめちゃよい。特に"Renegade"の終盤にジャスティンが重ねてくるとことか。

ただ、サウンドの探求という点では、前作を超えてくることはないかな…
まぁそれは各々The NationalとかBon Iverがあるか…



そういえば来月、折坂悠太の新作出ますね。
サックス奏者のSam Gendel参加してるし楽しみ。


【hyperpop】


…とはいいつつ、実際hyperpopばっかり聴いてたりする


Spotifyの"hyperpop"プレイリストから&関連アルバムなどから好きな曲を以下プレイリストにまとめています。
ここ2〜3ヶ月の自分のモードは、これがほぼ全てです
都度更新をし続けています

今思い出すと、4年前にCharli XCXの"Unlock it"に衝撃を受けていた時点で、既にこれらの音楽にどっぷり浸ることになる流れはできていた気がする(結局、A. G. Cookと組んで以降のCharliには4年間ハマり続けている)。
そして翌年2018年のSOPHIEのアルバム、さらにその翌年2019年の100 gecsのアルバムに完膚なきまでにブチ当てられたことで決定的になった。

しかしhyperpopという呼称が少し厄介なのは、それは音楽ジャンルというよりもハッシュタグっぽい性質だからなんだろうか。実際、曲によってはトラップもフューチャーベースもポップパンクみたいなのもあるし、既存ジャンルと並べた括り方が有効なのかわからん。

ま、それは置いといて
とにかくhyperpopで好きなのは、ポップミュージックのサウンドにおける「アリ」の領域を一気に広げてくれた点にある、というのは確かにあるかもしれない(それは主にSOPHIEとかA. G. Cook(PC MUSIC)の功績かもしれないけど)

「自由にやっていいんだよな」ってマインド、この大SNS時代には忘れがちなので定期的にhyperpopとか70年代ドイツ勢(主にCANと、メビウスら電子音楽系)を聴いて思い出していきたい

しかし自由とはいえ、それは日記のように「気ままにしたためるもの」というよりは、自分の好きなものをベースに置きつつも何かトライアルが為されていたり、自分なりに批評精神に拠ったものを作っていきたいと思う。満足いくのが何十年後とかになってもいいから。

今は、サンプラー(Octatrack)をメインに据えて曲を作っている
DAWで16小節くらいのループを作り、各パーツを音声ファイルにしてOctatrackにブチ込む。
そんで音を千切りして並べ替えたりLFOでブワンブワンさせたりしつつ、Mixを同時進行しつつ、パターンを複数作成し連結してソングを組み立てる。
それを再度DAWで録音してマスタリングしようじゃないのよ、という算段。
Octatrackは完全ではないものの、やっぱりすごい。DAWでやってたら「思いついてもめんどくさすぎて結局やらないこと」がツマミひと捻りでできたりする。
ただ、すごいだけに「機械に使わされる」みたいなのには陥らないようにしたい。
頑張ります








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