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#6 継続は力…DIYのスモールサークルオブフレンズ

そう、それはいつもと同じように、そっと届きました。スモールサークルオブフレンズ/SCOFの新しいアルバムがつい先日リリースされました。
“Cell”と名付けられたそのアルバムには、いつもと大きくは変わらない、だけど少しだけアップデートされたビートと、相変わらず色褪せないあのお二人の声が響いていて、ずっと聴いていたくなる仕上がりになっているのもまた、やっぱりいつも通りの素晴らしさでした。

スモールサークルオブフレンズは、ムトウサツキさんとアズマリキさんの2人組、一応ヒップホップユニットってことになるんだろうか。だけど時にポエトリーリーディングみたいにも聴こえるライムを聴かせてくれるアズマさんと、伸びやかなヴォーカルでメロディを歌うサツキさん、2人の音楽は、何かジャンルとかそういうものを軽々と超えていく魅力を、ずーっと放ち続けているように思えて、大好きなんです。

ウィキペディアによると活動開始は92年、U.F.Oのレーベルからデビューしたのが94年とのことですが、僕が最初にSCOFの音楽に触れたのは、96年のシングル、“NEVER NEVER LAND“だったと思います。当時FM802のヘビーローテーションになっていて、毎日のようにこの曲を耳にしていたのですが、今までに全く聴いたことのない手触りだったこの曲が、とても耳に残ったのを覚えています。

その後、レーベルの移籍などもありながらも、ハイペースで何枚かのアルバムをメジャーレーベルからリリースしており、その中には今でも代表曲と言える名曲がいっぱいあったりします。

今ではカバーしたクラムボンの代表曲みたいにもなっているこの曲とか

胸を締め付けられるようなこの名曲とか

挙げたらキリがありません。

ただこの後あたりから、自分達のレーベル“basque”を設立、活動の軸足はメジャーからインディペンデントへと移った印象があります。実際この頃まで、僕自身はそんなに熱心にSCOFの活動をフォローしていたわけではなかったのですが、当時神戸にあったレコード屋で、たまたま店頭に並んでいた、そのレーベルからリリースされていた12インチを試聴したのが再度SCOFを追いかけ始めるきっかけになったと思います。それはSUMMER E.P.と名付けられていて、2枚リリースされているのですが、それが本当に凄くて。

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SUMMER E.P. Vol.1&2

中でも、最近でもライブのハイライトで演奏されることが多いこの夏の終わりの名曲をとにかく聴いてください。20年も前の曲だってのが信じられなくなりますから。

そこからは、ずっとマイペースに、SCOF名義のアルバムをリリースしたり、その間に別名義でインストのアルバムを作ったり、そのインストがジャイルズピーターソンにフックアップされたりしながら変わることなくコンスタントに作品をリリース。それに加えてライブでは全国を回ったり、サツキさんは同時に服を作って販売したり、本当に自分達の好きなことを続けていることが、何だかだんだん奇跡に思えてくる、というか。
2017年に体験した彼らのライブはすごい印象的で、一宮の昔から繊維問屋がたくさん入っていたビルをリノベーションしたカフェで行われて、それもなんだかとっても“らしい“なぁ、と思いましたね。

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イベントのフライヤーまでなんか…イイですよね


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ほんとにこんなにDIYでやってるんや、とびっくりしたことはまだあって。前述の“波よせて“の7インチがリリース20周年でリイシュー、どうしても欲しくなってオーダーしたんですよね、そしたらおそらくコピペじゃないお礼のメールが武藤さんから届いて、しかも自分達で発送しているから少し時間がかかります、っておっしゃってて。しかも指定された代金の振込先も、本人名義の口座で。そんなところまで本当にDIYで、でもこんなにも素敵な音楽を届け続けられるSCOFに感動したんですよね。

そんなに短くない人生を生きてくると、自分達の好きなことをずっと続けていくっていうのは、そんなに簡単なことじゃないように思えるのですが、SCOFの新しい音楽が届くたびに、何か少しだけ、背中をそっと押してくれるような、ちょっとだけ前向きになれるような、そんな気持ちになるんですよね。

記事で触れたSCOFの曲をベースにSpotifyのプレイリストを作ってみたので、よかったら是非聴いてみてください。最近の曲はもちろん、デビューした頃の曲を聴いても、いまだに最高なので。


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